小児点眼量の素朴な疑問。「大人と同じ量」なのはなぜ?

- 点眼薬の用法用量が、子どもと大人であまり変わらない、“同じ”であることもある理由
- 副作用を心配する親御さんに、服薬指導で伝えたい点眼薬のポイント
薬剤師であれば、「子どもの薬は体重に応じて用量を調整する」ということを当たり前のように認識していると思います。これは、身体の小さな子どもが大人と同じ量の薬を使うと、薬の量が過剰になってしまうからです。
ところが、点眼薬ではその原則が当てはまらず、子どもでも大人でも“同じ量”で使うことがしばしばあります。なぜそんな使い方になっているのか、薬の投与経路・薬物動態の観点からおさらいしておきましょう。
理由①点眼薬は、基本的に“全身作用”をほとんど起こさない
内服薬は、消化管から吸収されて全身を巡ります。この過程では、体重や血液量、肝臓の代謝能力、腎臓の排泄能力などが大きく影響するため、子どもと成人で同じ量を投与していると、体格の小さな子どもでは過量投与になるリスクがあります。そのため、体重ごとに用量を細かく設定する必要があります。
一方で、点眼薬は主に「眼」での局所作用を期待して用いる薬です。結膜や角膜からわずかに吸収されるものもありますが、基本的に全身への移行量はごくわずかに留まります。そのため、体重による薬物動態の差は小さく、体格差によって薬の用量を細かく調節する必要性は低い、という面があります。
患者説明のポイント
点眼薬は、血液中に吸収されて作用するわけではないので、薬の効果は「体重」にあまり左右されない
理由②点眼薬は、もともと投与量が少ない
同じ有効成分の薬であっても、全身作用を期待する内服薬に比べると、点眼薬に含まれる薬の量はかなり少なめです。