3分で理解!「PPI(プロトンポンプ阻害薬)長期連用」と小腸・下部消化管出血の関係

- PPI(プロトンポンプ阻害薬)を長期連用した際に、小腸・下部消化管出血を起こしやすくなる理由
- 小腸・下部消化管出血のリスクが気になる場合の“代替案”
PPI(プロトンポンプ阻害薬)は胃や食道といった上部消化管の潰瘍に対しては治療・予防の効果を発揮しますが、長期連用していると小腸などの下部消化管に対しては、逆に潰瘍や出血を起こす方向に作用することがあります。
こうした小腸・下部消化管出血も、前編で紹介した骨粗鬆症・骨折リスクと同様に注意する必要があります。
PPI(プロトンポンプ阻害薬)の長期連用によるリスク:下部消化管・小腸出血のリスク上昇
PPI(プロトンポンプ阻害薬)は、胃酸の分泌を抑えるため胃や食道といった「上部消化管」の潰瘍や出血を防ぐ効果がありますが、その一方で小腸などの「下部消化管」に対しては逆の影響を及ぼし、むしろ出血を増やす可能性があります1)。
これは、PPIが強力に胃酸の分泌を抑えることによって、小腸などの下部消化管の腸内細菌叢が影響を受ける、雑菌が繁殖しやすくなることが一因と考えられています。
特に、NSAIDsの胃粘膜傷害を防ぐ目的でPPIを併用している場合でも、こうした下部消化管に対する悪影響は報告されている2)ことから、「上部消化管」と「下部消化管」への影響は分けて考える必要があります。
PPI(プロトンポンプ阻害薬)による下部消化管・小腸出血のリスクが気になる場合の“代替案”
こうした下部消化管・小腸出血のリスクは、胃粘膜保護薬では観察されていません1)。そのため、症状が落ち着いてきた時点でPPIから胃粘膜保護薬に切り替えることは、下部消化管・小腸出血のリスク軽減に有効な対策と言えます。