“やさしい薬”と誤解されている「刺激性」のOTC便秘薬の話

- 便秘の薬物治療では、どの薬が“第一選択”になるか
- “やさしい薬”のように扱われているが、実は「刺激性」に分類される薬
便秘薬は、セルフメディケーションにおいても需要の高い薬の1つです。そのため、薬剤師が便秘薬を選択・提案する機会も多い一方で、その「選び方」や「使い方」に関しては患者さんに正しく伝わっていないケースも多々あります。今回は、そんなOTC医薬品の便秘薬に関して見落とされがちな問題点について、ガイドライン等の推奨事項も踏まえながら解説します。
便秘の薬物治療では、まずは「非刺激性」の薬が優先
便秘治療に関しても、色々なガイドラインや推奨事項があります。それぞれの資料で細かな差異はありますが、最初は生活習慣の改善、薬を使う場合には「非刺激性」の薬が優先で、「刺激性」の薬はどうしても必要な場合に限って短期使用する、といった大まかな流れはだいたい共通しています1,2,3)。これは、「刺激性」の薬では連用による耐性や依存がよく問題になるからです。
そのため、便秘に対するセルフメディケーションにおいても、基本はこの「非刺激性」→「刺激性」の流れに沿って薬を選ぶことが重要になります。
便秘に対する基本的なアプローチ
- 生活習慣の改善(適度な運動・水分と食物繊維の摂取)
- 非刺激性の薬を試す
- 刺激性の薬を追加する(※短期使用に限る)
分類 | 代表的な薬 |
非刺激性の薬 | 酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ラクツロース、 ジオクチルソジウムスルホサクシネート |
刺激性の薬 | センナ、センノシド、ピコスルファート、ビサコジル、アロエ |
ところが、「刺激性」の薬は使って数時間で効果が現れること、また腹痛などの副作用をよく伴うことから、“よく効く”と感じられて好まれる傾向にあります。そのため、OTC医薬品を選ぶ際にも、最初から「刺激性」の薬を購入してしまうケースが少なくありません。
まずは「非刺激性」の薬から始めるのが基本であること、「刺激性」の薬はそれでも十分な効果が得られない場合の“レスキュー”として使うものであることを、しっかりと説明し、必要に応じてより適切な商品を案内する必要があります。
“やさしい薬”と誤解されている「刺激性」の薬
OTC医薬品を選ぶ際には、ここでもう1点注意が必要です。それは、「刺激性」の薬が、むしろ最初に選ぶべき“やさしい薬”だと誤解されていることもある、という点です。