薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2025年10月15日 児島 悠史

“やさしい薬”と誤解されている「刺激性」のOTC便秘薬の話

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☞この記事でわかること
  • 便秘の薬物治療では、どの薬が“第一選択”になるか
  • “やさしい薬”のように扱われているが、実は「刺激性」に分類される薬

便秘薬は、セルフメディケーションにおいても需要の高い薬の1つです。そのため、薬剤師が便秘薬を選択・提案する機会も多い一方で、その「選び方」や「使い方」に関しては患者さんに正しく伝わっていないケースも多々あります。今回は、そんなOTC医薬品の便秘薬に関して見落とされがちな問題点について、ガイドライン等の推奨事項も踏まえながら解説します。

便秘の薬物治療では、まずは「非刺激性」の薬が優先

便秘治療に関しても、色々なガイドラインや推奨事項があります。それぞれの資料で細かな差異はありますが、最初は生活習慣の改善、薬を使う場合には「非刺激性」の薬が優先で、「刺激性」の薬はどうしても必要な場合に限って短期使用する、といった大まかな流れはだいたい共通しています1,2,3)。これは、「刺激性」の薬では連用による耐性や依存がよく問題になるからです。

そのため、便秘に対するセルフメディケーションにおいても、基本はこの「非刺激性」→「刺激性」の流れに沿って薬を選ぶことが重要になります。

便秘に対する基本的なアプローチ

  • 生活習慣の改善(適度な運動・水分と食物繊維の摂取)
  • 非刺激性の薬を試す
  • 刺激性の薬を追加する(※短期使用に限る)
分類 代表的な薬
非刺激性の薬 酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ラクツロース、
ジオクチルソジウムスルホサクシネート
刺激性の薬 センナ、センノシド、ピコスルファート、ビサコジル、アロエ

ところが、「刺激性」の薬は使って数時間で効果が現れること、また腹痛などの副作用をよく伴うことから、“よく効く”と感じられて好まれる傾向にあります。そのため、OTC医薬品を選ぶ際にも、最初から「刺激性」の薬を購入してしまうケースが少なくありません。

まずは「非刺激性」の薬から始めるのが基本であること、「刺激性」の薬はそれでも十分な効果が得られない場合の“レスキュー”として使うものであることを、しっかりと説明し、必要に応じてより適切な商品を案内する必要があります。

“やさしい薬”と誤解されている「刺激性」の薬

OTC医薬品を選ぶ際には、ここでもう1点注意が必要です。それは、「刺激性」の薬が、むしろ最初に選ぶべき“やさしい薬”だと誤解されていることもある、という点です。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

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