ステロイド内服薬の副作用を知ろう:服用開始直後~数日後
- ステロイド(内服)の副作用にはどんなものがあるか
 - 服薬開始直後や数日後には、それぞれどのような副作用が現れやすいか
 - 「短期処方」の際には、どんな服薬指導が効果的か
 
「ステロイド(内服)で注意すべき副作用」というと、ざっと挙げるだけでも消化器系(消化性潰瘍、膵炎)、筋骨格系(骨粗鬆症、ステロイド筋症)、免疫系(感染症)、心血管系(浮腫、不整脈、高血圧)、内分泌系(血糖値上昇、脂質異常症、性ホルモン抑制)、眼科系(白内障、緑内障)、皮膚科系(にきび、多毛)、精神系(不眠、食欲増加、うつ)など、非常に多岐に渡ります。
実際に薬を服用する患者さんにこれだけの副作用をまとめて注意喚起することは非現実的で、むしろ服薬を怖がらせてしまう原因にもなりかねません。そのため、ステロイド(内服)の副作用についてはあまり詳しく説明しない、注意喚起をしない、という服薬指導になってしまいがちです。
しかし、そういった服薬指導では、患者さんは副作用リスクを適切にマネジメントできず、早期発見・早期対応にも大きな支障を来たします。
そこで今回は、ステロイド(内服)の副作用を、「時期」ごとに現れやすい症状で整理し、どういったところを重点的に服薬指導・注意喚起すれば良いのか、を整理します。
眠りづらくなる“不眠”~「服薬開始直後」に注意したい副作用
ステロイドの服用を始めた直後に注意したい代表的な副作用としては、「精神高揚による不眠」といった精神系の症状が挙げられます1)。
もともとステロイドは体内にも存在している物質ですが、自然な状態では朝から日中にかけて多く、夕方から夜にかけて少なくなる、というリズムで維持されています。そのため、この増減の波が大きく乱れると睡眠のリズムにも支障を来たし、夜なのに精神が昂って眠れない、といった不眠の症状を起こすことになります。
こうした副作用を避けるには、体内のステロイド増減リズムを崩さないよう、ステロイドの服用は「朝」に行う2)など対策が考えられます。
そのため、もし「1日1回」の薬が「夕食後」などで処方されている場合には、よほど特別な事情がない限りは、「朝食後」などに切り替えるのが妥当です。また、複数回に分けて服用する場合も、用量を均等に分割するのではなく、「朝」は多め、「夜」は少なめ、といった特殊な使い方をすることがあります。
血圧上昇や浮腫~「服薬開始から数日後」で注意したい副作用
ステロイドを服用した際に多い副作用として、Na貯留や体液量増加を伴う「血圧上昇」が挙げられますが、この副作用もステロイド服用開始から比較的すぐに現れ始めます。