ステロイド内服薬・副作用の虎の巻~服用から数週間~数ヶ月後の注意点
- ステロイド(内服)の副作用にはどんなものがあるか
 - 服薬開始から数週間~数ヶ月後には、それぞれどのような副作用が現れやすいか
 - 「中~長期処方」の際には、どんな服薬指導が効果的か
 
前編では、服用開始直後~数日後に現れやすいステロイド(内服)の代表的な副作用を紹介しましたが、今回の後編では、中~長期処方の際、服用開始から数週間~数ヶ月後に特に注意したい副作用について整理します。
血糖値の上昇~「服薬開始から2~3週間後」に注意したい副作用
ステロイド(内服)が持つグルココルチコイド作用は、「血糖値の上昇」を引き起こすことがあります。実際、1週間を超えてステロイドを内服していると、糖尿病患者でなくとも何らかの耐糖能異常が現れ始めるとされ、特に服用期間が1ヵ月を超えると、3人に1人の頻度で一過性の高血糖状態を起こす、とされています1)。
ステロイドによる血糖値上昇作用は強力なため、インスリン治療などが必要になる場合もありますが、症状が軽めの場合には、「DPP-4阻害薬」などの低血糖リスクの少ない経口薬も良い選択肢になります2)。
感染症と外観の変化~「服薬開始から1ヶ月後」に注意したい副作用
ステロイド(内服)の服用を1ヶ月以上続ける場合、免疫抑制作用による「感染症」リスクの上昇や、にきびや中心性肥満といった「外観の変化」にも注意を払う必要が出てきます。「感染症」リスクの上昇はそのまま生命の危機に、「外観の変化」は服薬アドヒアランスに大きく影響するからです。
「感染症」に対しては、必要なワクチン接種を済ませておくほか、手洗いやマスク着用といった基本的な方法で感染リスクを下げる対策が必要です。場合によっては、ST合剤の予防投与などを行うこともあります。
また、ステロイドを服用していると、感染症を起こしていても発熱しないこともあります。全身倦怠感や食欲不振といった全身症状にも注意を払っておく必要があります。
「外観の変化」に関しては、にきびには外用薬の活用、中心性肥満には摂取カロリーを控えたり運動を行ったり、といった個々の対応が有効ですが、場合によってはステロイドの減量なども検討することもあります。
骨粗しょう症~「服薬開始から数ヶ月後」に注意したい副作用
ステロイドの服用を始めて3~6ヶ月が経過すると、その用量に応じて骨折リスクは明確に高くなっていきます3)。特に高齢者の場合は、もともとの骨粗鬆症を加速させることにも繋がるため注意が必要です。