鎮咳薬をまるっと理解!麻薬性・非麻薬性の種類の違いや特徴を解説
[目次]
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☞この記事でわかること
- 鎮咳薬は、咳反射を抑制する作用部位によって大きく分類される
- 中枢性鎮咳薬は化学構造と依存性の有無から分類され、適切な使い分けが必要
- 末梢性鎮咳薬は安全性が高いが、去痰薬との併用に注意が必要
鎮咳薬は年齢を問わず幅広く使われています。近年は出荷調整の影響で代替薬へ変更する機会も多く、薬ごとの違いを正しく把握することが大切です。麻薬性・非麻薬性といった種類の違いや特徴を理解し、適切な使い分けができるようになっていきましょう。
咳のメカニズムと鎮咳薬の作用機序をおさらい
咳は、気道に入り込んだ異物や病原体を追い出そうとして起こる防御反応です。その一連の流れを「咳反射」といいます。
咳反射の流れ
- 気管の受容体が異物などの刺激をキャッチ
- 迷走神経を介して刺激が伝わる
- 延髄の咳中枢で刺激を受けとる
- 脳から呼吸筋に収縮の指令がでる
- 肺が縮むことで咳がでる
鎮咳薬はこの咳反射を抑えることで効果を発揮します。
図:咳のメカニズム(著者作成)
経路のどこに作用するかによって、鎮咳薬の強さや副作用に違いがでてくるのです。
鎮咳薬の分類は作用によって「中枢性」と「末梢性」に分けられる
鎮咳薬は作用部位によって「中枢性」と「末梢性」に分類されます。
| 区分 | 作用機序 | 特徴 |
| 中枢性鎮咳薬 |
延髄の咳中枢に作用して、 咳反射そのものを抑制 |
鎮咳作用:強い 副作用:依存や眠気などリスク高い |
| 末梢性鎮咳薬 | 気道粘膜や迷走神経など末梢 における刺激の伝達を抑制 |
鎮咳作用:穏やか 副作用:少ない |
効果も副作用も強い「中枢性」か、安全だが効きめも穏やかな「末梢性」。実務上は、咳の程度や患者背景に応じて、どちらを選ぶか判断します。
中枢性鎮咳薬の種類と特徴をみてみよう
中枢性鎮咳薬はさらに、「麻薬性鎮咳薬」と「非麻薬性鎮咳薬」に分けられます。これらの違いは、“化学構造”と“依存性の有無”です。
1) 中枢性“麻薬性” 鎮咳薬の種類と特徴
麻薬性鎮咳薬は、モルヒネ類似の化学構造をもちます。延髄の咳中枢にあるオピオイドμ受容体に作用し、強力な鎮咳効果を発揮します。