薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2025年11月25日 ずみ

鎮咳薬の使い分けを極める!咳の3要素(タイプ・原因疾患・患者背景)で選ぼう

【特集】鎮咳薬を使い分けよう。種類と作用機序、なにが違う?のメイン画像
☞この記事でわかること
  • 鎮咳薬は「乾性・湿性の咳のタイプ」、「咳の原因となる疾患」、「小児・高齢者・妊婦などの患者背景」の3点を総合的に考慮して選択する
  • 小児や高齢者など、副作用リスクの高い患者背景には特に慎重な対応が求められる
  • 鎮咳薬以外の対処法(加湿、安静など)を指導することも大切

前回の記事では、鎮咳薬の分類と作用機序、薬ごとの特徴をお伝えしました。今回はそれぞれの違いをふまえたうえで、鎮咳薬を適切に使い分けられるように、大切なポイントを確認していきましょう。

鎮咳薬を使い分ける時の重要なポイント

鎮咳薬を使い分ける際に注目したいのは、①咳のタイプ(乾性or湿性) ②原因 ③患者の背景の3点です。

1)咳のタイプ

咳には「乾性咳嗽(痰を伴わない乾いた咳)」と「湿性咳嗽(痰がらみのある咳)」の2つのタイプがあります。抑えたいのはどちらの咳なのかを必ず確認しましょう。

なぜなら痰が絡んだ咳では、咳止め薬を使用することで痰の排出を妨げ、症状を悪化させてしまうリスクがあるためです。咳のタイプにあわせた適切な薬選びが大切です。

咳のタイプごとの鎮咳薬の選択

咳のタイプ 症状 咳止めの種類と治療方針
乾性咳嗽 ・喉の刺激感
・痰がでない
・夜間に多い
中枢性鎮咳薬
咳を止めてOK
連続的な咳や夜間の咳を軽減する
湿性咳嗽 ・痰が出る
・呼吸がしづらい
・気管支炎や風邪の後期に多い
去痰薬』中心
痰の排出を妨げないようにする
咳止め併用時は慎重に

2)咳の原因

咳の原因となる疾患によっても、選ぶべき薬が変わってきます。

咳は風邪、気管支炎、COPD、気管支喘息、肺結核、肺がんなどさまざまな病気が原因でおこります。たとえ咳がでていても、気管支喘息の発作時のように、鎮咳薬を控えた方がよい場合もあるでしょう。

まずは原因となる疾患を適切に治療することが大切です。そのうえで咳のコントロールが必要であれば、鎮咳薬や去痰薬、気管支拡張剤などの薬で対症療法をしていきます。

3)患者の背景

鎮咳薬を使用する際は、年齢・併用薬・基礎疾患の有無など、患者背景への配慮も重要です。特に小児・高齢者・妊婦・授乳婦では副作用リスクが高いため、慎重な対応が求められます。

対象 確認事項
小児 ・適応年齢を満たしているか
・12歳未満は麻薬性鎮咳薬が禁忌
・10代の乱用薬物として市販の鎮咳薬に注意
 (デキストロメトルファンなど)
高齢者 ・肝・腎機能など身体機能の低下
・眠気やめまいによる転倒
・便秘の副作用は高齢者が特にでやすい
妊婦・授乳婦 ・使用の可否(特に中枢性鎮咳薬)
・妊娠の週数にも注意

鎮咳薬の代表的な副作用への対策とは?

鎮咳薬を選ぶ際は、できるだけ副作用リスクが少ない薬剤を選択したいところです。

しかし、咳が強くて眠れない、日常生活に支障をきたしているといった場合には、症状の緩和を優先することもあります。代表的な副作用やその対策を把握しておくことで、薬剤選択の幅が広がるでしょう。また、もしも副作用があらわれても、適切な対応が可能です。

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ずみ
ずみ

2018年北里大学薬学部卒業。 保険薬局やドラッグストア併設調剤薬局で6年間の経験を積んだ後、薬剤師としての現場を離れ、海外移住を決意。 様々な国の医療に触れ、現地で暮らす人々から健康相談を受ける経験をとおして、どこに住む人でも健康への不安なく過ごせるよう、薬剤師として自分にできることを模索中。 現在は医療ライターとして活動しながら、世界各地の医療・薬に関する情報や、日本に住む外国人向けの医療情報も発信中。

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