薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2025年12月7日 児島 悠史

2025年新薬!インスリン「アウィクリ」のどこが新しい?使用上の注意点は?

【特集】2025年登場の新薬2剤に注目!使用上の注意点とは?のメイン画像
☞この記事でわかること
  • 「アウィクリ(インスリン イコデク)」は、従来のインスリン製剤に比べてどこが新しいか
  • 従来のインスリン製剤から「アウィクリ(インスリン イコデク)」に切り替える際の注意点
  • 「アウィクリ(インスリン イコデク)」の注射を忘れてしまった際の、リカバリーのしかた

「アウィクリ(インスリン イコデク)」は、どこが新しい?~注射の負担を大幅に軽減

「アウィクリ(インスリン イコデク)」は、週1回の投与で血糖管理ができる基礎インスリンです1)

従来、基礎インスリンは1日1回、毎日投与する必要がありましたが、この注射の手間を週1回にまで大幅に軽減しつつ、同等の効果を得られることが確認されています2)

年間の注射回数比較

用法 年間の注射回数
従来の基礎インスリン 1日1回 365回
「アウィクリ」 週1回 52回

こうした注射回数の軽減によって患者本人の身体的・心理的負担を減らすだけでなく、介護者・看護者の負担も軽減し、なおかつアドヒアランス向上による治療成績の向上も期待できる、といったメリットがあります。

これまで、“毎日の注射”が嫌でインスリン導入を躊躇していた人にとっても、十分に検討できる新しい選択肢になります。

「初回だけ増量することがある」~「アウィクリ(インスリン イコデク)」の使用における注意点①

これまでの1日1回のインスリン製剤から「アウィクリ(インスリン イコデク)」に切り替えた際、一時的に血糖値が上昇することがあります1)。そのため、2型糖尿病患者の場合には、“初回”の投与量を通常の1.5倍で投与することがあります1)

このとき、2回目以降も“初回”の投与量のままで注射を継続してしまうケースがあるため、単位量の切り替えについて丁寧に説明する必要があります。

また、この初回の増量対応は、個々の治療状況や低血糖リスクを踏まえて行われるもののため、全員に対して画一的な服薬指導を行わないように注意してください。

「注射をし忘れた際の対応」~「アウィクリ(インスリン イコデク)」の使用における注意点②

「アウィクリ(インスリン イコデク)」は週1回、決められた曜日に注射しますが、もし注射をし忘れてしまった場合は、まず“気づいた時点でただちに注射”を行った上で、次に、“4日以上の間隔をあけて次の注射”を行い、そこからまた改めて週1回のサイクルを開始することになります1)

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

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