抗凝固薬が特に“ハイリスク”になる状況の要注意ポイントとは?
- DOACによる出血リスクが顕著になるのはどんな時か
- DOACの出血リスクを増加させる可能性がある併用薬には、どんなものがあるか
- DOACの過剰投与を防ぐために、日頃からどんな声掛けをしておく必要があるか
「DOAC(直接作用型経口抗凝固薬)」を使った治療が安定している患者さんの場合、わざわざ薬剤師が何かアクションを起こす必要はない、と考える人も多いかもしれません。しかし、薬の投与量や使い方は同じであっても、薬を使う患者さんの状況は刻一刻と変化しているため、DOACによる出血リスクもずっと一定というわけではありません。
そこで今回は、ずっと経過を追い続けている患者さんであっても注意したい、特に“ハイリスク”になるような状況を整理します。
「併用薬が変わったとき」:「DOAC(直接作用型経口抗凝固薬)」投与の注意したいタイミング①
「DOAC(直接作用型経口抗凝固薬)」は、P-糖タンパク阻害作用やCYP3A4阻害作用を持つ薬と併用すると血中濃度が上昇し、出血リスクが高まることがあります。そのため、患者さんが新しい薬を使い始めたとき、併用薬が追加になった場合には、その薬がDOACと相互作用を起こす可能性がないかを丁寧に確認する必要があります。
実際、P-糖タンパク/CYP3A4阻害作用を持つ薬を併用しているDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)服用患者の約3分の2で、DOACの投与量が潜在的に不適切になっており、これが死亡リスクの増加に関連している可能性がある、とする報告もあります1)。