薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2026年3月11日 根本真吾

2026年度調剤報酬改定:かかりつけ薬剤師はどう変わる?新旧点数を徹底比較

【特集】2026年度調剤報酬改訂 かかりつけ薬剤師の変更ポイント大解説のメイン画像
☞この記事でわかること
  • これまでの「かかりつけ薬剤師」の評価構造とその課題
  • 2026年改定で、「かかりつけ薬剤師」の評価軸はどう変わったか
  • これらを踏まえて、現場の薬剤師はどのような対応をする必要があるか

2026年の調剤報酬改定では、「かかりつけ薬剤師指導料」や「かかりつけ薬剤師包括管理料」の項目が削除されることになりました1)。これだけ聞くと、かかりつけ薬剤師の制度そのものが後退したようにも見えますが、内容を詳しく見てみると、そういう方向性の改定ではないようです。

これまで「かかりつけ薬剤師」を算定していた薬局も、算定してこなかった薬局も、今後この制度に対してどう向き合っていけば良いのか、“現場”での対応はどう変えていく必要があるのか、重要なポイントを整理します。

2026年改訂で、「かかりつけ薬剤師」の指導料や包括管理料は廃止された

これまでの「かかりつけ薬剤師」制度は、以下の要件を満たすことで算定可能となっていました。

1) 患者の同意取得
2) 継続的な服薬管理
3) 一元的な情報把握
4) 時間外対応体制

今回の改定では、こうした「かかりつけ薬剤師」として関わっていること自体の評価は廃止され、その機能は服薬管理指導料の枠組みに再編されることになります(詳細は後述)。

これにより、「かかりつけ薬剤師」が服薬指導を行った場合に発生していた追加の指導料はなくなります。

2026度報酬改定:かかりつけ薬剤師項目の廃止と現行対照

改定案 現行
【かかりつけ薬剤師指導料】
(削除)

【かかりつけ薬剤師包括管理料】
(削除)
【かかりつけ薬剤師指導料】
13の2 かかりつけ薬剤師指導料     76点

【かかりつけ薬剤師包括管理料】
13の3 かかりつけ薬剤師包括管理料   291点

※一部抜粋

新制度は「かかりつけ薬剤師」の“関わり方=行動”を評価する

では、「かかりつけ薬剤師」という存在そのものが不要になったのか、というと、そういうわけではありません。色々な点数が、「かかりつけ薬剤師」の“行動”を評価するように変わっているからです。

たとえば、「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算」や「かかりつけ薬剤師訪問加算」は、患者への継続的な関与を評価する仕組みとして新設されました。

電話などで服薬状況を確認することや、訪問して残薬を整理することなど、これまで現場で行われてきた業務が制度として明確に位置付けられた形です。

「かかりつけ薬剤師指導料」における新設加算の概要(現行・改定案の比較)

改定案 現行
服薬管理指導料
【かかりつけ薬剤師フォローアップ加算】
3月に1回に限り50点を所定点数に加算
※対象患者や算定要件、算定タイミング等については
 後編で解説します。


【かかりつけ薬剤師訪問加算】
6月に1回に限り230点を所定点数に加算
※対象患者や算定要件、算定タイミング等については
 後編で解説します。

(【かかりつけ薬剤師フォローアップ加算】)
(新設)



(【かかりつけ薬剤師訪問加算】)
(新設)

※参考資料1)より筆者作成

また、服用薬剤調整支援料2についても見直しが行われ、継続的な薬剤管理や処方提案がより専門性の高い業務として評価される方向が示されています。これはポリファーマシー対策の強化を背景とした動きと考えられます。

こうして見ると、今回の改定は「かかりつけ薬剤師」の制度を縮小するものではなく、評価対象を「役割」から「行動」へ移したものと理解できます。患者との関係性を持っているかどうか(点)ではなく、その関係の中で継続して何をしているか(線)が問われるようになったと言えるでしょう。

「かかりつけ薬剤師制度」に関して現場の薬剤師は新しく何をするべき?

ここで重要なのは、特別な新しい仕事が増えるわけではない、という点です。電話での確認や残薬の整理、処方内容の提案(服用タイミングを分3から分2に変更など)といった業務は以前から行われてきたものです。今回の改定は、それらを「かかりつけ薬剤師」という制度の中心に据え直したに過ぎません。

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根本真吾
ねもとしんご

薬剤師/薬学博士(星薬科大学大学院)。 保険薬局に勤務し、服薬支援・処方鑑査・医療安全の実務に携わる一方、医薬品安全性評価や薬剤疫学研究にも取り組んでいる。特にJADERデータベースを用いたシグナル解析やフォーミュラリ研究を行い、日本医薬品情報学会総会などで発表歴を有する。臨床現場で生じる疑問を起点に、制度解説や薬剤情報を「現場で再現できる形」に整理することを重視。論文活用、処方鑑査、医薬品安全性などをテーマに、エビデンスと実務の橋渡しとなる情報発信を行っている。

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