ALT上昇だけでOK?薬剤性肝障害を見抜く検査値の読み解き方
- 薬剤性肝障害では、「AST」や「ALT」の上昇とあわせて、どんなところに注意が必要か
「AST」や「ALT」は、肝臓などの臓器が“現在進行形で障害を受けている”ことを示す指標である、ということを前編で紹介しました。そのため、この「AST」や「ALT」の高さや比、変化の速さは、様々な疾患の可能性を疑う重要な手がかりになります。
一方で、病気の診断を行うわけではない薬剤師にとって、これらの検査値はあまり重要な情報にはならないのか、というと、そういうわけでもありません。たとえば、薬剤性肝障害の副作用を疑う重要な情報になるからです。
「AST」と「ALT」は、薬剤性肝障害でも高くなる
「AST」や「ALT」の値は肝臓がダメージを受けていると高くなるため、薬剤性肝障害のときにも高い値を示すようになります。
むしろ、特異的な自覚症状に乏しい薬剤性肝障害では、こうした「AST」や「ALT」の上昇はその兆候をつかむ重要な手がかりになるため、薬剤師はその変化に注意を払っておく必要があります。
特に、薬剤性肝障害のうち薬が肝臓の細胞を直接障害するタイプのもの(肝細胞障害型)の場合、「ALT」が主に高い値を示すようになります。
「ALT」が高いだけで副作用と決めつけることはできませんが、患者さんの体重や基礎疾患などを踏まえ、脂肪肝のような他の要因が見当たらないにもかかわらず「ALT」が上昇してきた場合には、このタイプの薬剤性肝障害を疑うのが妥当です。
検査値を確認した現時点と、以前に「AST」や「ALT」に問題がなかった時期との間で、新しく使い始めた薬がないか確認し、疑わしいものがある場合には主治医と情報共有しながら対応を考えることが重要です。
なお、ここでは薬だけでなく、サプリメントや健康食品も含めて確認するようにしてください。サプリメントや健康食品でも肝障害は起こりますが、特にこうした“薬以外のもの”で起こる肝障害は、発見や対応が遅れ、急性肝不全に移行するリスクが高い傾向にある1)からです。
サプリメントや健康食品で副作用は“起こらない”と誤解・油断したまま使っているケースが多く、医師・薬剤師もその使用状況を正確に把握できていないことが多々あります。確認の際には、「サプリメント」や「健康食品」といったキーワードも使って、丁寧な聞き取りを行う必要があります。