オレキシン受容体拮抗薬ってどんな薬?ベンゾジアゼピン系の睡眠薬との違い
- 「オレキシン受容体拮抗薬」は、「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」と比べてどんな点が優れているか
- 逆に、あえて「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」が優先されるのはどんな場面か
“覚醒”を抑える新メカニズム?「オレキシン受容体拮抗薬」と「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」の違い
「オレキシン受容体拮抗薬」は、脳の“覚醒”を維持するために重要な「オレキシン」の作用に拮抗することで、脳を“覚醒”から“睡眠”へと移行させていくタイプの睡眠薬です。ベンゾジアゼピン受容体に作用することでGABAの働きを強める「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」とは全く異なる作用メカニズムを持ちます。
2014年に「ベルソムラ(一般名:スボレキサント)」が登場して以降、「デエビゴ(一般名:レンボレキサント)」、「クービビック(一般名:ダリドレキサント)」、「ボルズィ(一般名:ボルノレキサント)」の4種が用いられており、不眠症治療の薬として「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」から置き換わっていくケースも多く見受けられます。
「オレキシン受容体拮抗薬」が登場した年代と作用メカニズムの違い
| 分類 | 登場した年代 | 基本的な作用メカニズム |
| オレキシン受容体拮抗薬 | 2014年以降 | “覚醒”を司るオレキシンの受容体に拮抗 |
| ベンゾジアゼピン系の睡眠薬 | 1960年ころ | ベンゾジアゼピン受容体に作用し、GABAの神経伝達を亢進 |
「オレキシン受容体拮抗薬」のメリットとは?「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」より優れる3つのポイント
近年、「オレキシン受容体拮抗薬」が不眠症の治療によく用いられているのには、「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」よりも優れた点がいくつかあるからです。
① 比較的長期で用いても効果が期待できる
まず、基本的に長期的な使用では依存・耐性が生じやすい「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」に比べると、GABAにあまり作用しない「オレキシン受容体拮抗薬」では依存・耐性が起こりにくく1)、比較的長期で用いても効果が期待できる2)という面が挙げられます。
② ふらつき・転倒リスクが低い
「オレキシン受容体拮抗薬」は「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」より筋弛緩作用も弱いため、ふらつき・転倒リスクも低い可能性が指摘されています3)。
③ 非常に扱いやすい
「オレキシン受容体拮抗薬」には1つで「入眠困難」と「中途覚醒」の両方に効果を期待できるもの4)もあります。これは、不眠のタイプが「入眠困難」か「中途覚醒」のどちらかによって、作用時間で使い分ける必要があった「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」に比べて、非常に扱いやすい特性と言えます。
こうした点から、新しく睡眠薬を使う場合に選ばれるだけでなく、既に「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」で治療をしている場合にも「オレキシン受容体拮抗薬」への切り替え5)はしばしば行われています。
あえて「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」が優先されるのはどんな場面?
一方で、全ての患者で「オレキシン受容体拮抗薬」の方が優先されるか、というと、そうとも限りません。