飲み忘れで死亡リスク5%増。DOACのアドヒアランス維持が絶対必要な理由
- 心房細動の患者さんは、なぜ抗凝固薬(DOAC)を使う必要があるのか
- 抗凝固薬(DOAC)は、なぜ“飲み忘れ”に警戒しなければならないのか
「ダビガトラン(商品名:プラザキサ)」、「リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)」、「アピキサバン(商品名:エリキュース)」、「エドキサバン(商品名:リクシアナ)」は、心房細動の患者さんに広く用いられている直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)です。
このDOACは血栓症の予防に極めて重要な薬ですが、効果を実感できるわけではなく、また出血リスクへの心配も多いことから、その治療の目的や意義をしっかり説明できないと、患者さんは途中で治療を挫折してしまうことになります。
そこで今回は、心房細動の患者さんが、なぜ血液を固まりにくくする抗凝固薬を使うのか、その理由や目的・背景を改めて復習します。
抗凝固薬(DOAC)を使う目的とは?心房細動で血栓症を起こしやすくなるメカニズム
心房細動とは、心臓の「心房」と呼ばれる場所が小刻みに震えてしまい、心臓がうまく拍動できなくなる状態(不整脈)のことを指します。
本来、心房は洞結節から電気信号が規則正しく発せられることによって正確に動いています。しかし、ここに何らかの異常が起こり、無秩序な電気信号が頻発するようになると、それによって心房は細かく震えるような状態(細動)に陥ることになります。
この状態では、心臓は血液をうまく全身に送り出すことができないため、“心房内で血液が滞る”ようになりますが、こうして流れが滞った血液は固まって「血栓」を作りやすくなります。
こうして心臓内でできてしまった「血栓」が血流に乗って、脳の血管を詰まらせれば「心原性脳梗塞(心原性脳塞栓症)」、肺の血管を詰まらせれば「肺塞栓」を起こすことになります。
特に、この心臓内でできる「血栓」は、動脈硬化が原因でできるものに比べるとサイズが大きくなるため、その塞栓症は致命的・重篤なものになりやすい傾向があります。
【図表】心房細動で血栓症を起こしやすくなるメカニズム
つまり心房細動は、それがすぐに生命に直結するような疾患ではありませんが、身体を「大きな血栓ができやすい状態」にするという意味で、非常に危険なものと言えます。
では、抗凝固薬の「DOAC」は何のために使うのかというと、それは心房細動そのものの治療ではなく、心房細動によって生じる悪影響の「大きな血栓ができやすい状態」を治療し、致命的・重篤な塞栓症を起こすリスクを下げる、というところが目的になります。