SGLT2阻害薬の服薬指導。心不全と糖尿病で変わる優先順位とは?
- 心不全治療と糖尿病治療で、SGLT2阻害薬の注意点はどう変わるか
- 心不全治療にSGLT2阻害薬を用いる場合、どんな服薬指導が必要になるか
「SGLT2阻害薬」は糖尿病だけでなく心不全の治療にも広く用いられるようになりましたが、その結果、SGLT2阻害薬の服薬指導は非常に難しくなりました。
SGLT2阻害薬が処方されているだけでは、何の疾患の治療かわからない上に、糖尿病治療と心不全治療では注意すべきポイントも微妙に異なるからです。
そこで今回は、特にSGLT2阻害薬が心不全治療に用いられている場合にはどんな服薬指導をすべきか、糖尿病治療との違いと押さえておきたい要所をおさらいします。
「一律の指導」では不十分?心不全と糖尿病で優先順位が少し変わる「SGLT2阻害薬」の注意点
「SGLT2阻害薬」で注意したい代表的な副作用としては、「低血糖」・「脱水」・「性器感染症」の3つが挙げられます。
これらの副作用は、SGLT2阻害薬の“糖を尿中に排泄する”という作用に基づくもののため、糖尿病治療か心不全治療かを問わず注意する必要があります。
では、糖尿病治療か心不全治療かにかかわらず、同じような服薬指導で良いかというと、そういうわけにもいきません。
糖尿病の患者さんと心不全の患者さんとでは、身体の状態や他に使っている薬が大きく異なるため、どの副作用をより優先的に警戒すべきか、といったポイントは違うからです。
心不全患者では特に注意が必要な「脱水」:SGLT2阻害薬を使い始めたときに気を付けたいリスク
「SGLT2阻害薬」には利尿作用があるため、服用を開始すると尿量が増えるようになります1)が、これによって「脱水」を起こしやすくなります。特に心不全の患者さんの場合、他にも利尿薬を併用していることが多く、この利尿作用がさらに増強される2)恐れがあるため、「脱水」のリスクは高くなります。
「脱水」は、急性腎障害やケトアシドーシスといったより大きな副作用を誘発するため、軽視するわけにはいきません。このことから、SGLT2阻害薬が心不全の患者さんに処方されている場合は、「脱水」への注意喚起をより優先的に行う必要があります。
なお、SGLT2阻害薬による利尿作用は、特に投与開始初期に現れやすく、このときの“頻尿”の症状が治療挫折の原因になってしまうことも少なくありません3)。SGLT2阻害薬の利尿作用は次第に落ち着いていく傾向にある1,2)ことも併せて説明することも重要です。