P-CABとPPIはどう使い分ける?除菌・潰瘍・GERDの効果を比較
- P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー): ボノプラザン(タケキャブ)
- PPI(プロトンポンプ阻害薬): ランソプラゾール(タケプロン) など
- 抗菌薬(ピロリ除菌): アモキシシリン、クラリスロマイシン
- 「P-CAB」の強みが治療効果に繋がるのはどのような病態か
- 「PPI」でも十分なのはどんな場面か
前編では、「P-CAB(ボノプラザン)」が酸による活性化を必要とせず、PPIよりも速やかで持続的に胃酸分泌を抑えられることを解説しました。
しかし、薬理作用が強いことと、実際の治療成績が優れていることは、必ずしも直結するわけではありません。PPIでも十分な胃酸分泌抑制作用を得られる病態では、P-CABを使っても症状改善や治癒に大きな差は生じないこともあるからです。
そこで今回は、ピロリ菌の除菌、消化性潰瘍、胃食道逆流症の3つの場面で、P-CABとPPIの効果にどのくらいの差があるのか、使い分けのポイントを整理します。
一次除菌でなぜP-CAB?患者説明に活かせるPPIとのピロリ菌の除菌率差
ピロリ菌の除菌では、一般的に酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて治療を行います。このとき、胃酸分泌抑制薬は、単に胃痛を抑えるためではなく、胃内pHを高く保ち、抗菌薬が働きやすい環境を整える役割を担っています。
そのため、速やかで持続的な酸分泌抑制作用を持つ「P-CAB」は、ピロリ除菌においてメリットを得やすい、と言えます。
実際、P-CABの「ボノプラザン」とPPIの「ランソプラゾール」で、ピロリ菌の一次除菌療法を比較した研究では、除菌成功率はボノプラザン群で92.6%、ランソプラゾール群で75.9%と、P-CABのボノプラザンを用いた治療の方が高い効果を得られることが確認されています1)。
なお、二次除菌に関しては、P-CABが優れるとする報告2)と、P-CABとPPIで大きな差はないとする報告3)があり、まだはっきりしたことはわかっていません。そのため、二次除菌においても「P-CAB」は効果的な選択肢ですが、一次除菌ほど明確に優れるわけではなさそうです。
「PPIで十分?」消化性潰瘍でP-CABへ切り替え・選定を迷ったときの考え方
胃潰瘍や十二指腸潰瘍でも、胃酸分泌を抑えることは治癒を促すうえで重要です。しかし、こういった疾患では「PPI」でも十分に高い治癒率が得られるため、「P-CAB」の強力な酸分泌抑制作用が、必ずしも大きな治療効果の差につながるわけではないようです。