薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2026年9月18日 児島 悠史

P-CABとPPIはどう使い分ける?除菌・潰瘍・GERDの効果を比較

【特集】徹底比較!P-CABとPPIの薬理・使い分けのメイン画像
☞この記事に登場する主な薬剤
  • P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー): ボノプラザン(タケキャブ)
  • PPI(プロトンポンプ阻害薬): ランソプラゾール(タケプロン) など
  • 抗菌薬(ピロリ除菌): アモキシシリン、クラリスロマイシン

☞この記事でわかること
  • 「P-CAB」の強みが治療効果に繋がるのはどのような病態か
  • 「PPI」でも十分なのはどんな場面か

前編では、「P-CAB(ボノプラザン)」が酸による活性化を必要とせず、PPIよりも速やかで持続的に胃酸分泌を抑えられることを解説しました。

しかし、薬理作用が強いことと、実際の治療成績が優れていることは、必ずしも直結するわけではありません。PPIでも十分な胃酸分泌抑制作用を得られる病態では、P-CABを使っても症状改善や治癒に大きな差は生じないこともあるからです。

そこで今回は、ピロリ菌の除菌、消化性潰瘍、胃食道逆流症の3つの場面で、P-CABとPPIの効果にどのくらいの差があるのか、使い分けのポイントを整理します。

一次除菌でなぜP-CAB?患者説明に活かせるPPIとのピロリ菌の除菌率差

ピロリ菌の除菌では、一般的に酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて治療を行います。このとき、胃酸分泌抑制薬は、単に胃痛を抑えるためではなく、胃内pHを高く保ち、抗菌薬が働きやすい環境を整える役割を担っています。

そのため、速やかで持続的な酸分泌抑制作用を持つ「P-CAB」は、ピロリ除菌においてメリットを得やすい、と言えます。

実際、P-CABの「ボノプラザン」とPPIの「ランソプラゾール」で、ピロリ菌の一次除菌療法を比較した研究では、除菌成功率はボノプラザン群で92.6%、ランソプラゾール群で75.9%と、P-CABのボノプラザンを用いた治療の方が高い効果を得られることが確認されています1)

なお、二次除菌に関しては、P-CABが優れるとする報告2)と、P-CABとPPIで大きな差はないとする報告3)があり、まだはっきりしたことはわかっていません。そのため、二次除菌においても「P-CAB」は効果的な選択肢ですが、一次除菌ほど明確に優れるわけではなさそうです。

「PPIで十分?」消化性潰瘍でP-CABへ切り替え・選定を迷ったときの考え方

胃潰瘍や十二指腸潰瘍でも、胃酸分泌を抑えることは治癒を促すうえで重要です。しかし、こういった疾患では「PPI」でも十分に高い治癒率が得られるため、「P-CAB」の強力な酸分泌抑制作用が、必ずしも大きな治療効果の差につながるわけではないようです。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

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