1. 薬剤師トップ
  2. 薬剤師コラム・特集
  3. 薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集
  4. 抗てんかん薬のジェネリック変更が危険は本当か?

薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2026年9月22日 児島 悠史

バルプロ酸の安易な変更はNG?ジェネリック切替で血中濃度が変わる理由

【特集】患者に即答できる!「ジェネリック」切り替えの注意点のメイン画像
☞この記事に登場する主な薬剤・成分
  • 抗てんかん薬、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、ラモトリギン (普通錠 / OD錠 / 先発医薬品 / ジェネリック医薬品)

☞この記事でわかること
  • 「てんかん」治療の薬を、ジェネリック医薬品に変更することは可能か
  • 注意するのは「先発医薬品からジェネリック医薬品への変更」だけで良いか

前編では、ジェネリック医薬品が「生物学的同等性試験」によって、先発医薬品と同等の有効性・安全性を期待できる薬として承認されている、という点について解説しました。

しかし、すべての患者さんで、いつでも気軽にジェネリック医薬品へ変更してよいかというと、そういうわけでもありません。わずかな血中濃度の変化でも、いま落ち着いている症状の再燃・再発や副作用につながる可能性がある場合には、安易な変更をしない方が良いケースもあります。

そこで今回は、特にこうした血中濃度の変化に注意したい「てんかん」治療を例に、ジェネリック医薬品への変更の是非について解説します。

抗てんかん薬のジェネリック変更はNG?ガイドラインの推奨とは

ジェネリック医薬品への変更がよく問題になる薬の代表例が、「バルプロ酸ナトリウム」や「カルバマゼピン」、「ラモトリギン」などといった「抗てんかん薬」です。

抗てんかん薬のなかには有効血中濃度域が比較的狭く、わずかな血中濃度の変化が治療効果や副作用に影響する可能性のある薬が存在するからです。

そのため、実際に「てんかん診療ガイドライン2018」では、抗てんかん薬のジェネリック医薬品への変更に関して、“いま発作が抑制されている患者”さんでは、現在服用している薬を安易に切り替えないことが推奨されています1)

「てんかん」では、1回の発作再発でも、転倒や交通事故などにつながる可能性があります。運転免許や就労、日常生活にも大きな影響を及ぼすため、発作が長期間抑制されている患者さんでは、わずかな変化もなるべく避けたい、という事情もあります。

これらを踏まえると、確かにてんかん治療の薬をジェネリック医薬品に変更することは、避けた方が良さそう、と考えられます。

しかし、ここで問題になっているのは、ジェネリック医薬品の品質ではなく、発作が安定している患者さんが“現在使っている製剤を変更する“というアクションである、ということに注意が必要です。

同等性試験クリア=血中濃度が完全一致ではない理由

ジェネリック医薬品は「生物学的同等性試験」によって、確かに先発医薬品と薬の吸収量や吸収速度が同等であることが確認されています。

しかし、この「生物学的同等性」は集団の平均値と、そのばらつきを統計学的に評価したものです。そのため、たとえ“生物学的に同等であると確認されている薬”同士であったとしても、個々の患者さんにおける実際の血中濃度変化が、切り替えの前後で“完全に一致”することは保証されません。わずかな血中濃度の変化が治療に大きく影響する患者さんでは、薬の切り替えに伴う血中濃度の変動リスクを慎重に評価する必要があります。

では、こうしたわずかな血中濃度の変化は、先発医薬品からジェネリック医薬品への切り替えの際にのみ起こるものでしょうか。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

児島 悠史の画像

児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

キーワード一覧

薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

キャリア 禁忌 医薬品情報・DI 薬物療法・作用機序 脂質異常症 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット 研修認定薬剤師資格 OTC医薬品 専門・認定薬剤師資格