バルプロ酸の安易な変更はNG?ジェネリック切替で血中濃度が変わる理由
- 抗てんかん薬、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、ラモトリギン (普通錠 / OD錠 / 先発医薬品 / ジェネリック医薬品)
- 「てんかん」治療の薬を、ジェネリック医薬品に変更することは可能か
- 注意するのは「先発医薬品からジェネリック医薬品への変更」だけで良いか
前編では、ジェネリック医薬品が「生物学的同等性試験」によって、先発医薬品と同等の有効性・安全性を期待できる薬として承認されている、という点について解説しました。
しかし、すべての患者さんで、いつでも気軽にジェネリック医薬品へ変更してよいかというと、そういうわけでもありません。わずかな血中濃度の変化でも、いま落ち着いている症状の再燃・再発や副作用につながる可能性がある場合には、安易な変更をしない方が良いケースもあります。
そこで今回は、特にこうした血中濃度の変化に注意したい「てんかん」治療を例に、ジェネリック医薬品への変更の是非について解説します。
抗てんかん薬のジェネリック変更はNG?ガイドラインの推奨とは
ジェネリック医薬品への変更がよく問題になる薬の代表例が、「バルプロ酸ナトリウム」や「カルバマゼピン」、「ラモトリギン」などといった「抗てんかん薬」です。
抗てんかん薬のなかには有効血中濃度域が比較的狭く、わずかな血中濃度の変化が治療効果や副作用に影響する可能性のある薬が存在するからです。
そのため、実際に「てんかん診療ガイドライン2018」では、抗てんかん薬のジェネリック医薬品への変更に関して、“いま発作が抑制されている患者”さんでは、現在服用している薬を安易に切り替えないことが推奨されています1)。
「てんかん」では、1回の発作再発でも、転倒や交通事故などにつながる可能性があります。運転免許や就労、日常生活にも大きな影響を及ぼすため、発作が長期間抑制されている患者さんでは、わずかな変化もなるべく避けたい、という事情もあります。
これらを踏まえると、確かにてんかん治療の薬をジェネリック医薬品に変更することは、避けた方が良さそう、と考えられます。
しかし、ここで問題になっているのは、ジェネリック医薬品の品質ではなく、発作が安定している患者さんが“現在使っている製剤を変更する“というアクションである、ということに注意が必要です。
同等性試験クリア=血中濃度が完全一致ではない理由
ジェネリック医薬品は「生物学的同等性試験」によって、確かに先発医薬品と薬の吸収量や吸収速度が同等であることが確認されています。
しかし、この「生物学的同等性」は集団の平均値と、そのばらつきを統計学的に評価したものです。そのため、たとえ“生物学的に同等であると確認されている薬”同士であったとしても、個々の患者さんにおける実際の血中濃度変化が、切り替えの前後で“完全に一致”することは保証されません。わずかな血中濃度の変化が治療に大きく影響する患者さんでは、薬の切り替えに伴う血中濃度の変動リスクを慎重に評価する必要があります。
では、こうしたわずかな血中濃度の変化は、先発医薬品からジェネリック医薬品への切り替えの際にのみ起こるものでしょうか。