小児服薬後嘔吐は「30分ルール」で足りる?薬物動態で迫る解決策
- バルプロ酸ナトリウム / カルバマゼピン / 抗てんかん薬 / 徐放錠
- 子どもが服薬後に嘔吐した際、「飲み直し」を判断する基本的な考え方
- よく使われる「服薬後30分」という目安を、どう捉えれば良いか
- 「30分」という目安のほかに考慮すべき3つのポイント
小児の服薬指導では、「薬を飲ませた直後に吐いてしまったが、もう一度飲ませても良いか?」という相談を受ける機会は少なくありません。
しかし、この質問に対する普遍的な“正解”は存在しません。治療におけるその薬の目的や重要性、薬を服用してからどのくらい時間が経っているのか、どのくらいの量を吐いたのかなど様々な情報によって、適した対応は変わるからです。
実際、こうした服薬後の嘔吐については、医療現場で頻繁に遭遇する問題であるにもかかわらず、明確な判断指針や統一されたガイドラインはなく、対応に困るケースが多いとされています1)。
では、そんな難しい問題に対応する際、薬剤師は何を基準に「飲み直す・飲み直さない」を考えれば良いのでしょうか。まずは、その基本となる判断材料を整理しておきましょう。
「服薬後30分」の目安は本当?薬物動態からみる臨床的根拠
判断の目安としてよく使われているのが、「服薬から30分以上経過しているかどうか」です。
たとえば「国立成育医療研究センター」のWebサイトでも、薬を飲んですぐ吐いた場合にはもう1度1回分を服用しますが、30分以上経ってから吐いた場合は、薬が吸収された可能性があるため再度服用する必要はない、と案内しています2)。
また、海外の医療従事者を対象にした調査でも、「30分以内であれば再投与する」と回答した人が60%と最も多い3)など、この「30分」という目安は国内・国外を問わず広く現場で用いられているものと言えます。
しかし、この「30」という数字は、明確な薬物動態学のデータによって導かれたものではない1)ため、経験的に定着してきた実務上の目安、と捉えた方が無難です。
ということはもちろん、実際の対応も「29分なら飲み直す」「31分なら飲み直さない」と単純に線引きできるものではありません。では、この「30分」を1つの目安にしつつも、他にどんなことを考えれば良いでしょうか。
「30分目安」の先にある判断軸とは?薬剤師が再投与で確認すべき3つのこと
まず考えたいのが、「その薬が不足した場合」と、逆に「過剰投与になった場合」の、どちらの不利益が大きいか、という点です。ここでは、大きく3つのポイントに分けて整理すると考えやすくなります。