「超短時間型の睡眠薬であれば、代謝が阻害されても半減期が少し延びるだけ?」
患者さんからテレビやネットで流れた医療情報について相談を受けたことはありませんか?データに基づいた情報といえども、巧みな拡大解釈により、新薬や健康食品の有効性と安全性は歪曲されて伝わってしまうことがあります。この連載では、患者さんの悩みを解消し、適切な指導をするうえで役に立つ知識を噛み砕いて解説します。
これを読んだらわかる データの読み方のエッセンス
- 「併用注意」の組み合わせにも、副作用リスクが問題になるものがある
- 代謝阻害というと「消失が遅れる」イメージが強いが、最高血中濃度の上昇も起こり得る
医師から薬局に問い合わせ
「睡眠薬のネルネルーネを服用している患者さん、朝の寝起きが悪いそうです。最近、副鼻腔炎で耳鼻科に通院していて、抗菌薬のチクノロマイシンを飲んでいるそうなんですが、飲み合わせの影響ってありますかね?超短時間作用型の睡眠薬であれば、半減期が延びたところで朝までには効果が切れるはずだと思うのですが、念のためちょっと調べてもらえますか?」
ネルネルーネ(架空の薬)
超短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬
半減期2時間
主にCYP3A4で代謝される
チクノロマイシン(架空の薬)
マクロライド系抗菌薬
CYP3A4阻害作用を有する
今回のテーマは薬物代謝酵素「CYP3A4」にまつわる相互作用です。…