ステロイド:中〜高用量と少量長期使用の副作用は違う?國松医師が1分で解決!

薬剤師からの質問:「ステロイドの副作用ってどれくらいつらいものですか?」
すいません、また副作用の質問です…。あまり経験がないので敢えてお聞きするのですが、ステロイドの副作用がシンプルにどれくらいつらい・調子悪いのか知りたいです。どれくらい調子悪いかを知る事で、指導内容も変わってくるのかなと思ったので。よろしくお願いします! (調剤薬局の薬剤師より)
國松淳和医師が「ステロイドの副作用のつらさの度合い」を3つのパターンで解説
そうですね!すごく良い疑問だと思います!
これはステロイド(以下、断りなければ「グルココルチコイド」のことを指します)の「用量と日数」次第なところがあります。ここではざっくり、①プレドニゾロンで1mg/kg/日といった高用量で開始され治療されているような診療、②3週間以内で服薬終了となるような診療、③長期的に少量が維持されているような診療、の3つに分けて考えることにしましょう。
① プレドニゾロンで1mg/kg/日といった高用量で開始され治療されているような診療
これは、調剤薬局ではなかなかないなと思われたかもしれませんがそんなことはありません。入院して退院したあとの診療で、来局の段階では30mgだったとしても、入院中は60mgを飲んでいた人かもしれません。
このような使い方をするのは、膠原病のことが多いです。全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、血管炎などです。間質性肺炎や糸球体腎炎などでも高用量を用いて治療されることがありますね(『國松の内科学』[金原出版, 2025年]という私の本を読んで、疾患についてもたまに勉強しておくと良いでしょう)。
こういうときは、開始1ヵ月くらい過ぎた後にかなり身体の変化を感じることが多く、これは精神的につらいです。
例えば、ひどいざ瘡(にきび)が出来たり、脂肪の分布が変わって体型が変化したり、顎の下の脂肪量が増え、顔が丸くなり「ムーンフェイス」になったり、食欲亢進の副作用のせいでよく食べてしまい体重が増加してしまったり。
さらに時間が経つと皮膚が薄くなったり、皮下の毛細血管が脆弱になりごく小さな物理刺激で血管が崩壊し内出血してあざができたりなど、見かけの変化が多く現れます。これはつらいです。あとは、眠りが浅くなっているせいか、熟眠感がなく、良眠が得られず体内リズムが崩れ、肌の調子の改善を阻害したりします。
疾患の治療が順調にいったとしてもこういうことが起きるわけで、原病が再発して再治療となったときの患者さんの絶望感を考えると非常に切なく、やり切れません。