『ステロイドの虎』國松淳和医師が明るく回答! 〜薬剤師が知りたいステロイドの疑問〜

更新日: 2025年10月3日 國松 淳和

ステロイド:中〜高用量と少量長期使用の副作用は違う?國松医師が1分で解決!

『ステロイドの虎』國松淳和医師が明るく回答!〜薬剤師が知りたいステロイドの疑問のメイン画像

薬剤師からの質問:「ステロイドの副作用ってどれくらいつらいものですか?」

すいません、また副作用の質問です…。あまり経験がないので敢えてお聞きするのですが、ステロイドの副作用がシンプルにどれくらいつらい・調子悪いのか知りたいです。どれくらい調子悪いかを知る事で、指導内容も変わってくるのかなと思ったので。よろしくお願いします! (調剤薬局の薬剤師より)

國松淳和医師が「ステロイドの副作用のつらさの度合い」を3つのパターンで解説

そうですね!すごく良い疑問だと思います!

これはステロイド(以下、断りなければ「グルココルチコイド」のことを指します)の「用量と日数」次第なところがあります。ここではざっくり、①プレドニゾロンで1mg/kg/日といった高用量で開始され治療されているような診療、②3週間以内で服薬終了となるような診療、③長期的に少量が維持されているような診療、の3つに分けて考えることにしましょう。

① プレドニゾロンで1mg/kg/日といった高用量で開始され治療されているような診療

これは、調剤薬局ではなかなかないなと思われたかもしれませんがそんなことはありません。入院して退院したあとの診療で、来局の段階では30mgだったとしても、入院中は60mgを飲んでいた人かもしれません。

このような使い方をするのは、膠原病のことが多いです。全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、血管炎などです。間質性肺炎や糸球体腎炎などでも高用量を用いて治療されることがありますね(『國松の内科学』[金原出版, 2025年]という私の本を読んで、疾患についてもたまに勉強しておくと良いでしょう)。

こういうときは、開始1ヵ月くらい過ぎた後にかなり身体の変化を感じることが多く、これは精神的につらいです。

例えば、ひどいざ瘡(にきび)が出来たり、脂肪の分布が変わって体型が変化したり、顎の下の脂肪量が増え、顔が丸くなり「ムーンフェイス」になったり、食欲亢進の副作用のせいでよく食べてしまい体重が増加してしまったり。

さらに時間が経つと皮膚が薄くなったり、皮下の毛細血管が脆弱になりごく小さな物理刺激で血管が崩壊し内出血してあざができたりなど、見かけの変化が多く現れます。これはつらいです。あとは、眠りが浅くなっているせいか、熟眠感がなく、良眠が得られず体内リズムが崩れ、肌の調子の改善を阻害したりします。

疾患の治療が順調にいったとしてもこういうことが起きるわけで、原病が再発して再治療となったときの患者さんの絶望感を考えると非常に切なく、やり切れません。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

國松 淳和の画像

國松 淳和
くにまつ じゅんわ

日本医科大学卒業。日本医科大学第2内科で初期研修後、国立国際医療研究センター膠原病科、国立国際医療研究センター病院 総合診療科、2018年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医。『ステロイドの虎』(金芳堂)、『國松の内科学』(金原出版)など著書多数。

キーワード一覧

『ステロイドの虎』國松淳和医師が明るく回答! 〜薬剤師が知りたいステロイドの疑問〜

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療クイズ ebm 感染症対策 薬剤師あるある アセスメント 調剤基本料 薬剤師ブロガー