『ステロイドの虎』國松淳和医師が明るく回答! 〜薬剤師が知りたいステロイドの疑問〜

更新日: 2025年11月13日 國松 淳和

ステロイド薬「プレドニゾロン」の総量、多い?少ない?判断の線引き

:『ステロイドの虎』國松淳和医師が明るく回答!〜薬剤師が知りたいステロイドの疑問のメイン画像

薬剤師からの質問:「プレドニゾロンの総量について『多い・少ない』の線引きを教えてください!」

「プレドニゾロン5mg錠」を何錠飲んでいたら『おー、これは多いね』ってなるのか、逆に『この量はまだまだ大丈夫やね』となるかのラインが知りたいです。

各科でプレドニゾロン5mg錠は出ると思います。

例えば、自分の薬局では、整形外科だと肩関節周囲炎で1錠/日です。どんなに酷い人でも3錠/日。呼吸器内科だと、6錠/日の人も見たことあります。

疾患ごと、処方された科ごとのプレドニゾロンの総量について、この量は「多い・少ない」のライン引きが把握できてないので教えてください!(調剤薬局の薬剤師より)

國松淳和医師が「ステロイド総量の考え方」をわかりやすく解説

ステロイド(以下、ステロイドと言ったら「グルココルチコイド」のことです)は、そもそも外的に、すなわち外から薬として投与されている時点ですごく不自然で、生理的な副腎ホルモンの分泌カーブは描かれず、また生体の状況に応じた調節もできていないことになるわけです。

この内的に備わっている副腎皮質からの生理的なステロイドの分泌とその調節が抑制されてしまうのは、外因のステロイドが連日投与されてそれが2~3週間を超えたあたりと想定されています。

「2週間」と慎重に設定する先生もいれば、ざっくり「1ヵ月」とする先生もいます。患者の元々の強さ的なものとか、今おかれている病状の重さやステロイドの需要量にも依存すると思いますが、まあ私の場合はその間をとって3週間というのを目安にしています。

シンプルに、解釈的に述べれば、「ステロイドを要するような病態の問題がほぼないか解決されたという条件で、3週以内の投与なら、連日投与していたステロイドは即時中止できる」と原則的に考えて良いと思います。

微妙に質問の回答になっていないじゃないかと思うかもしれませんが、わかっています。焦らず聞いてください。この3週という期間以内なら、量はあまり問わないんです。

質問者さんの例示した5〜30mg/日などまったく大丈夫で、量ではなく「連日投与された期間」を意識して欲しいです。量にびびらないようにしましょう。「いつから毎日飲んでいるんだろう、この患者さん…」のように自問しましょう。

3週間を超えた、3週どころか何ヵ月とか3年とか、そういう長く飲んでいる人の場合であれば、維持されている量が3mg/日を超えていれば、「この量は多いなあ」と感じられます。

10mg/日を5年飲んでいたら「すごく多いなあ」と思うし、7.5mg/日を1年飲んでいたら「けっこう多いけどそれで大丈夫?」と思います。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

國松 淳和の画像

國松 淳和
くにまつ じゅんわ

日本医科大学卒業。日本医科大学第2内科で初期研修後、国立国際医療研究センター膠原病科、国立国際医療研究センター病院 総合診療科、2018年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医。『ステロイドの虎』(金芳堂)、『國松の内科学』(金原出版)など著書多数。

キーワード一覧

『ステロイドの虎』國松淳和医師が明るく回答! 〜薬剤師が知りたいステロイドの疑問〜

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医師の意見 医療過誤・ヒヤリハット 薬物療法 医療クイズ ebm 感染症対策 薬剤師あるある アセスメント 調剤基本料 薬剤師ブロガー