脳梗塞の基礎知識(1)そもそも脳梗塞ってどんな病気?
現在、脳血管疾患の総患者数は115万人を超え、介護要因の疾患トップとも言われています。在宅医療の現場でも、脳梗塞の患者へ服薬指導を行うケースも多いのではないでしょうか。この連載では、内科医の視点から「薬剤師が知っておくと役立つ」脳梗塞の基礎知識や治療の変遷について、できるだけ分かりやすく解説します。
1.脳梗塞とは?
脳梗塞を簡単に言えば、「脳の動脈が詰まり脳細胞が死んでしまう」病気です。とはいえ、左右どちらの動脈が詰まったか、太い動脈と細い動脈のどちらが詰まったか、どの程度脳細胞が死んでしまったかなどで症状や重症度は千差万別です。 ちなみに、脳の血管が破ける病気は脳出血、動脈瘤が破裂することはくも膜下出血と言います。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を合わせて脳卒中と総称されます。
2.脳梗塞の種類
脳梗塞には詰まり方によって、大きく分けて4つのパターンがあります。もちろん、正確にはより細かい分類がありますが、臨床を行ううえで重要なこの4つを覚えてもらえればよいと思います。
これらの分類は次のような模式図で表すことができます。そして、分類に応じて治療方針が違うため、検査を経て適切に分類することが必要になります。
出典:国立循環器病研究センターホームページ
3.どんな症状が出るの?
脳梗塞の症状は多彩ですが、特に重要なものは次の4つです。
多少の文言の違いはあっても、おそらくどの教科書にもこれらが特徴的な症状として記載されていると思います。私の経験上は、麻痺が出て驚いて救急車などで病院へ来るという場合がほとんどでした。重要なのが、これらの症状は多くの場合、突然発生することです。なお東北地方では突然起こることに由来し「あたる」と表現されるほどです。
4.予兆は無いの?
全ての例に当てはまるわけではありませんが、脳梗塞の予兆がある場合はあります。この状態のことを一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)と言います。…