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Dr.竜平の脳梗塞治療と薬剤選択

更新日: 2024年7月1日 Dr. 竜平

DOAC(ドアック)とワルファリンはどう使い分ける?

DOAC(ドアック)とワルファリンはどう使い分ける?の画像

脳血管疾患の患者数は増加傾向にあり、心原性脳梗塞の予防薬としてDOAC(ドアック)に注目が集まっています。この記事では従来の薬剤・ワルファリンとDOACの使い分け方、作用機序や代謝経路、適応疾患の違いなどを詳しく解説してきます。薬の注意点や最新の情報にも目を通しておきましょう。

<参考文献>
1) 『脳梗塞診療読本』(中外医学社 2019) 豊田一則 編
2) 『脳卒中ガイドライン2015 [追補2019対応]』編集:日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会
3) 櫻井 まみ 伊勢 雄也 片山 志郎:直接経口抗凝固薬(DOAC)の特徴と使い分け. 日医大医会誌 2018; 14(3)113.
4) 鶴屋 和彦 : 慢性腎臓病における ワルファリンとDOACの使い方. 日内会誌 107:856~864,2018

1. 【復習】DOAC(ドアック)とは?基礎知識を知ろう

前回、心原性脳梗塞の予防に重要な薬剤としてDOAC(ドアック:Direct Oral AntiCoagulants)を紹介しました(参考「脳梗塞治療と薬剤選択vol.4」)。DOACとは、日本語では直接経口抗凝固薬と表記され、凝固因子を直接阻害することのできる経口投与薬の総称です。 2009年にダビガトラン(商品名:プラザキサ)が論文で発表されて以降、アピキサバン(商品名:エリキュース)、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)、エドキサバン(商品名:リクシアナ)の合計4種類のDOACが登場して日本で使用されています。ちなみに、かつてはNOAC(Novel Oral AntiCoagulants)と呼ばれていましたが国際止血学会の推奨でDOACという呼称で統一されました。

2.DOACとワルファリンの違い、使い分けは?

2-1. 作用機序の違い

DOACとワルファリンはともに抗凝固薬という分類です。人間の身体には血液凝固カスケードという血液が固まるようにする反応経路があります。抗凝固薬はその反応経路の一部を止めることで「血液が固まりにくい=血液がサラサラになる」という作用を示します。 DOACはダビガトラン(商品:プラザキサ)が直接トロンビン阻害薬、その他のDOACは第Xa因子阻害薬であり、一方でワルファリンはビタミンKが作用する部位を阻害するビタミンK阻害経口抗凝固薬です。それぞれの薬剤が作用するポイントが違います(図1・表1)。

図1. 血液凝固カスケードと抗凝固薬の作用点

ワルファリンとDOACはどう使い分ける? 図1. 血液凝固カスケードと抗凝固薬の作用点の画像

表1. ワルファリンとDOACの早見表

商品名 ワーファリン プラザキサ イグザレルト エリキュース リクシアナ
一般名 ワルファリンカリウム ダビガトラン リバーロキサバン アピキサバン エドキサバン
作用 ビタミンK拮抗 抗トロンビン Xa因子阻害
代謝経路 主に肝代謝 主に腎代謝
剤形 粉砕あり カプセル製剤 細粒製剤あり - DO錠あり

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Dr. 竜平
ドクター りゅうへい

地方の医学部を卒業後、大学病院で脳神経内科診療に従事しました。その後、実家のクリニックに副院長として入職し内科診療を行なっています。また在宅医療にも興味を持ち診療業務を行なっています。趣味は格闘技やプロ野球観戦です。

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