1. 薬剤師トップ
  2. 薬剤師コラム・特集
  3. Dr.竜平の脳梗塞治療と薬剤選択
  4. 狭窄した血管が引き起こす脳梗塞とは?

Dr.竜平の脳梗塞治療と薬剤選択

更新日: 2020年8月17日 Dr. 竜平

脳梗塞治療の実際③(アテローム血栓性脳梗塞)

脳梗塞治療の実際③(アテローム血栓性脳梗塞)の画像1

現在、脳血管疾患の総患者数は115万人を超え、介護要因の疾患トップとも言われています。在宅医療の現場でも、脳梗塞の患者へ服薬指導を行うケースも多いのではないでしょうか。この連載では、内科医の視点から「薬剤師が知っておくと役立つ」脳梗塞の基礎知識や治療の変遷について、できるだけ分かりやすく解説します。
今回は脳梗塞のパターンの一つ、アテローム血栓性脳梗塞について解説します。このパターン脳梗塞はさまざまな管理が必要で、見るべきポイントが多いのが特徴です。

1. アテローム血栓性脳梗塞の概要

1-1. どんな脳梗塞?

アテローム血栓性脳梗塞は比較的太い頭蓋内動脈、頚動脈や椎骨動脈が50%以上の狭窄もしくは閉塞したことに伴う脳梗塞です。急性閉塞という重症例から、たまたま見つかった軽症例まで、多彩な症状を示します。このため、頭部MRI検査や頚部血管エコー検査を行い、血管の狭窄の程度を見極める必要があります。

1-2. 症状発現のパターン

血管内腔が動脈硬化により狭窄している(図1)という前提条件のもと、症状を引き起こすパターンがいくつかあります。やや専門的な話になりますが、理解するうえで非常に重要であるため簡単に説明したいと思います。

脳梗塞治療の実際③(アテローム血栓性脳梗塞)の画像2

図1. 動脈狭窄の概要

a. 血栓性

動脈硬化が強い部分には炎症が起こりやすく、そこに血小板が付着しやすいと言われています。徐々に血小板が血栓を形成して、何かの拍子にその血栓が剥がれて末梢血管まで運ばれて、脳梗塞を起こします。このような場合を血栓性脳梗塞と言います(図2)。

脳梗塞治療の実際③(アテローム血栓性脳梗塞)の画像3

図2. 血栓性パターンの模式図
血小板(茶色)が剥がれて末梢へ飛んでいきます。

b. 塞栓性

例えば、頚動脈にプラークがあり、このプラークが剥がれやすい状態であったとします。何かの拍子にプラークの一部が剥がれ、末梢血管まで運ばれてしまい脳梗塞を起こします。このような場合を塞栓性と言います(図3)。
ちなみに心原性脳梗塞は心臓でできた血栓が脳血管へ運ばれていくため、すべて塞栓性脳梗塞と定義されます。

脳梗塞治療の実際③(アテローム血栓性脳梗塞)の画像4

図3. 塞栓性パターンの模式図
プラーク(赤色)が剥がれて末梢へ飛んでいきます。

c. 血行力学性

または

m3.com会員登録いただくと、医療ニュースや全てのコラム記事が読み放題&ポイントが貯まる

新規会員登録(無料)

こちらもおすすめ

Dr. 竜平の画像

Dr. 竜平
ドクター りゅうへい

地方の医学部を卒業後、大学病院で脳神経内科診療に従事しました。その後、実家のクリニックに副院長として入職し内科診療を行なっています。また在宅医療にも興味を持ち診療業務を行なっています。趣味は格闘技やプロ野球観戦です。

キーワード一覧

Dr.竜平の脳梗塞治療と薬剤選択

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 調剤報酬改定 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット ライフ・雑学 薬局経営 脳梗塞 医療クイズ 疾患・病態 診療報酬改定