脳梗塞後のリハビリテーション(2)
現在、脳血管疾患の総患者数は115万人を超え、介護要因の疾患トップとも言われています。在宅医療の現場でも、脳梗塞の患者へ服薬指導を行うケースも多いのではないでしょうか。この連載では、内科医の視点から「薬剤師が知っておくと役立つ」脳梗塞の基礎知識や治療の変遷について、できるだけ分かりやすく解説します。
今回は脳梗塞発症後のリハビリテーションについて述べたいと思います。リハビリテーションの実際の内容を紹介します。
1. 主なリハビリテーション
脳梗塞後のリハビリテーションは急性期か回復期かによって行うべきことが変わります。これは急性期であれば脳梗塞自体の治療と並行して実施する必要があるからです。一方、回復期であればその期間に集中的にリハビリテーションを行うことで麻痺の軽減や社会復帰に向けた対策を取ります。
2. 急性期のリハビリテーション
2-1. 概要
脳梗塞を含めた脳卒中急性期のリハビリテーションの主な目的は廃用症候群を予防することです。かつては「離床すると脳への血流が減ってしまうので、発症してから当面は寝かしておく方が良い」と考えられていました。その後、適切な病状評価に基づいて離床しリハビリテーションを開始することの安全性が分かり、かつ廃用症候群を予防し得ることが明らかになりました。このような時代変遷を経て、現在の急性期リハビリテーションが確立されました。
2-2. リハビリテーションの実際
急性期の目標は廃用症候群を予防することに尽きますが、とにかくベッドから離床してもらうことが大切です。そうして、麻痺側の拘縮(関節が固まって動かなくなってしまうこと)、褥瘡や嚥下障害に対するリハビリテーションを行います。特に拘縮はその後のADL(日常生活動作)を阻害する要因であるため、避けるよう努力しなければなりません。これは関節可動域訓練などにより予防を見込めるため、適切に評価した上で対処すべきです(図1-3参照)。
図1. 拘縮の主な症状(出典:介護のお仕事研究所 )
図2. 関節可動域訓練 (出典:看護roo! 看護師イラスト集 )
図3. 歩行訓練 (出典:看護roo! 看護師イラスト集 )
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