脳梗塞患者の服薬指導、皆さんの質問に答えます!会話編
現在、脳血管疾患の総患者数は115万人を超え、介護要因の疾患トップとも言われています。在宅医療の現場でも、脳梗塞の患者へ服薬指導を行うケースも多いのではないでしょうか。この連載では、内科医の視点から「薬剤師が知っておくと役立つ」脳梗塞の基礎知識や治療の変遷について、できるだけ分かりやすく解説します。
今回は「脳梗塞患者の服薬指導」について、m3薬剤師会員の皆さんから寄せられた疑問にお答えしたいと思います。指導においての何らかのヒントになれば幸いです。
「脳梗塞患者への服薬指導」アンケートまとめはこちら
脳梗塞患者への服薬指導で困っていること
- 患者さんとの会話や文書のやりとりが困難で困っている。
- 自分の服薬指導がどの程度伝わっているかが分からなくて不安。
- 患者さんの失語症状により会話が成立しない。
このように高次脳機能障害に伴う諸症状により、服薬指導に困ることは往々にしてあることだと思います。これは服薬指導に限らず、医師や看護師による療養指導(退院後にどういう生活をすべきか)をする際にも問題となります。私も病院勤務時代、患者さんに療養指導をする際に「本当にわかっているのかな?」と思った経験は一度や二度ではありません。
残念ながら、高次脳機能障害を劇的に治すことは現代医療では困難であると言わざるをえません(参考:vol.13「リハビリテーション(2)」)。以前に比べればリハビリテーションが進歩し多少の改善の見込みはあるものの、退院までに回復する程度というのはそこまで大きくないのが現状です。