認定薬剤師を総まとめ。メリットや学習法を解説
厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」によると、2025年までにすべての薬局を「かかりつけ薬局」にすることが掲げられています。薬剤師には患者のかかりつけ薬剤師として、地域医療に貢献することが求められているのです。かかりつけ薬剤師になるにはいくつかの要件を満たす必要があり、その一つが「研修認定薬剤師」の資格です。診療報酬改定には、「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している」と記されています。また、m3.com薬剤師会員に行った調査でも60%が「研修認定薬剤師資格を取得している」と回答しています。
しかし、薬剤師のスキルアップやキャリアを考えるうえで「研修認定薬剤師の資格が重要そうだ」と知っていても、資格取得の費用や期間、実際の業務への生かし方などが「よくわからない」と感じている薬剤師も多いのではないでしょうか。
ここでは「研修認定薬剤師の概要」から「費用や期間」「資格取得のメリット」など研修認定薬剤師に関して網羅的にお伝えします。
今さら聞けない!認定薬剤師への道のり
かかりつけ薬剤師の算定要件でもある研修認定薬剤師の資格。調剤薬局に勤める薬剤師にとっては、かかりつけ薬剤師の需要拡大とともに、研修認定薬剤師の資格取得もキャリアアップの必須要件になっていくでしょう。すでに多くの調剤薬局や調剤併設のドラッグストアでは資格取得の支援をしているケースも少なくありません。
ここでは「認定薬剤師の資格ってどうやって取得するの?」「いまから勉強をはじめたらいつごろ認定資格を取得できる?」といった、認定薬剤師資格の基本情報をお知らせします。これから資格取得にチャレンジしよう!と考えている方はぜひ参考にしてください。
また、m3.com薬剤師会員に実施した研修認定薬剤師資格に関するアンケート結果では、「かかりつけ薬剤師の算定要件を満たすためには必要」といった声が多く聞かれる中、「研修はするが、資格にメリットがない」といった不要派の意見も寄せられました。ただ、資格取得派も不要派も「薬剤師なら生涯学習は絶対必要」という意見は同じで、勉強熱心な薬剤師の側面を表す結果となりました。
認定薬剤師認証研修機関の選び方から資格取得まで
認定薬剤師になるためには、認定薬剤師認証研修機関(プロバイダー)に申請を行い、そこでの研修を受けなければなりません。単位は4年以内に40単位以上を取得という明確なラインが設けられています。3年ごとに更新手続きをすることも必要です。また、資格取得から次の更新までの3年間で30単位以上、年間5単位以上を取得する必要があります。
プロバイダーは現在31機関(2019年12月時点)あり、プロバイダーごとに、講習の受講費用や時間が異なります。プロバイダー選びのポイントは二つ。一つ目は、自分が忙しくても休むことなく受講できる近隣の場所にあるか? 二つ目は、自分が学びたい研修プログラムを実施しているか?という点です。
プロバイダーを選んだら、次は手帳を入手します。手帳の入手方法はプロバイダーごとに異なるので、注意してください。手帳を入手したらプロバイダーが提供する研修を受講して単位(シール)を取得します。
資格取得に必要な単位(シール)を取得し終えたら、プロバイダーに申請書を提出、認定手数料を収めて、認定証の交付となります。
研修認定薬剤師になるメリットを解説します!
調剤薬局においてかかりつけ薬剤師の配置が必須になれば、薬剤師の昇給や昇進、好条件な転職においては、研修認定薬剤師の資格を取得していることが重要になるでしょう。調剤薬局など各社でも「資格取得の費用を一部、もしくは全額負担」や「講習会の参加費用は会社負担」など、研修認定薬剤師の資格取得を積極的にサポートしているケースが増えています。
m3.com薬剤師会員に、「研修認定薬剤師の資格を取得したきっかけは?」と聞いたところ、「資格取得が昇給に影響していた」「これから薬剤師が余ってくるなら、自分に付加価値を付けたいと思った」など、市場価値を高めるために、資格取得をめざしたという声が多く集まりました。また、「研修認定薬剤師になるメリットはなんですか?」という質問に対しては、「資格取得の費用はかかるが、昇級した」「資格手当がついた」「転職で差別化するアピールポイントになった」など、キャリアップ面のほか、「他職種・患者からの信頼を得られる」といった声も聞かれました。
かかりつけ薬剤師の需要の高まりとともに、薬剤師にとって研修認定薬剤師の資格取得が必要になることは明らかです。また、かかりつけ薬剤師にならなかったとしても、アンケートに回答した薬剤師の言葉にあったように、薬剤師の生涯学習は必須。さまざまな講習会や勉強会に参加し、知識や技術のアップデートを図っていくことは、薬剤師として地域医療に貢献するうえで重要なスキルアップといえるでしょう。そうした生涯学習のきっかけとして、研修認定薬剤師の資格取得や更新のための単位(シール)取得などに取り組む、といった薬剤師も多いようです。
認定資格取得のための講習会で、地域の薬剤師と情報交換をしたり、看護師をはじめ他職種からの話を聞いてチーム医療への考えを深めたり、といった機会が生まれることも副次的なメリット。地域医療への第一歩として、研修認定薬剤師の資格をうまく活用してみましょう。