薬剤師のいまを知るトピックまとめ

更新日: 2020年7月28日 薬剤師コラム編集部

服薬指導とは?薬剤師が押さえておきたいポイントやコツを総まとめ

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服薬指導における薬剤師の役割とは?

服薬指導とは、患者さんに適切な薬物治療を提供するため、薬剤師が服薬方法や取り扱いについて説明することです。たとえば、服薬の時間や回数、量、保管方法についての説明に加え、すでに飲んでいる別の薬との飲み合わせや、患者さんの検査数値情報などをもとに、一人一人の患者さんが「安全に」薬物治療を受けられるようにサポートするのが「服薬指導」です。

また、患者さんは薬物治療に対するさまざまな不安を抱えているものです。不安や悩みの解決策を提示するためにも、薬剤師には薬の知識だけでなく、患者さんと良い関係を築くためのコミュニケーション能力も必要と言えるでしょう。医師の前では身構えて「本音を話せない」患者さんも、身近な薬剤師になら、胸に抱えた不安を話してくれる例もあります。

しかし、この服薬指導に苦手意識を持つ薬剤師は少なくありません。ここでは、服薬指導を単なる説明や事務的な手続きで終わらないためのポイントについて解説します。
よい服薬指導のポイントは、「患者さんの生活習慣に興味をもつこと」「開いた質問(オープン・クエスチョン)をすること」「臨床論文を通して知識をアップデートすること」。
服薬指導の基本や患者さんとのコミュニケーションのコツのほか、実践力が身につくe-ラーニング講座についてもご紹介します。

服薬指導の手順

まずはじめに、服薬指導の基本的な手順についておさらいしておきましょう。

1 .患者さんへのお声がけ

患者さんのお名前を呼び、投薬台へ誘導します。その際、足の不自由な方や具合の悪い方への配慮も心がけ、状況によっては薬剤師自らが患者さんの席まで出向きます。名前を名乗り、あいさつをして服薬指導を開始します。

2.症状のヒアリング

はじめに現状の症状のヒアリングをおこないます。特に初回来局の患者さんでは、既往歴や併用薬、アレルギーの有無の聞き取りも必要です。既に薬を処方されている方には、経過や副作用についても確認します。

3.医薬品の説明

次に医薬品の服用方法や保管方法、飲み合わせや副作用などをご説明します。お薬と一緒に、お薬手帳や領収書、明細書などもお渡しします。説明内容やお渡しするものが多くなりますので、ひとつひとつ忘れずにおこないましょう。

4.不明点や質問事項の確認

最後に不明点や質問がないか確認しましょう。また、場合によっては副作用への対応方法や緊急時の連絡先をお伝えします。

以上で服薬指導を終了し、患者さんをお見送りします。

患者さんの生活習慣にも注目して服薬指導を

服薬指導がうまくいかないという人のなかには、薬学的な内容を伝えることだけが服薬指導だと思い込んでいる人もいるのではないでしょうか。
薬物療法では、日常生活の何気ないクセや習慣が、治療の成果に大きく関わることも珍しくありません。

たとえば、食生活に関しては、1日の食事回数、時間帯、味付けや料理法などの好み、コーヒーやお茶の摂取頻度などについてうかがいます。その他、薬の飲み方、日常的な運動量、昼寝の有無など、患者さんの生活スタイルを把握したうえで、患者さんが正しく服薬を続けられるようにサポートするのが服薬指導です。特に、糖尿病患者など生活習慣が治療の成果を左右するような場合は、服薬指導が非常に重要といえるでしょう。

また、患者さんの立場に立てば、熱心に話を聞いてくれる薬剤師には、「自分を大切にしてくれる」と感じて安心感や信頼を抱きやすいです。もちろん、患者さん一人当たりに割ける時間に限度はありますが、積極的に患者さんと、会話することでよりよい薬剤治療につながる服薬指導を心がけましょう。

薬剤師向け服薬指導のツボより
DO処方で服薬指導がマンネリ化してしまうときの対応
毎回同じ処方薬の患者さんへの服薬指導はマンネリ化してしまいます。患者さんのアドヒアランスを向上させるためにどんな接遇を心がけたらいいでしょうか。
薬剤師向け服薬指導のツボより
服薬指導が苦手な薬剤師へどのように声をかけるべきか
服薬指導に苦手意識を持つ薬剤師には、どのように指導するとよいでしょうか。また、同じ職場で働く仲間としてできることはあるでしょうか?

服薬指導では「開いた質問」が対話のきっかけに

薬剤師の皆さんは普段の業務で、服薬指導を一通り終えた後、どんな言葉で締めくくっていますか?
もし、薬剤師からの説明の後、すぐに会計に移っているのであれば、説明後、患者さんへ開いた質問(オープン・クエスチョン)の時間を設けてみると良いでしょう。

オープン・クエスチョンとは、「はい」「いいえ」で回答するような質問(クローズド・クエスチョン)ではなく、回答者が自由な形式で回答できるような質問のことです。

たとえば、「何か質問はございませんか?」「お困りのことはございませんか?」といった質問です。服薬指導の後、薬剤師からこうした質問をするだけで、それまで話をあまりしてくださらなかった患者さんが、「実は...」と、相談してくれるケースがあるのです。

たった一つの質問を加えるだけで、患者さんとの会話が増え、患者さんと薬剤師の距離が近づくことも少なくありません。患者さんがいまどんな不安を抱えているのか、患者さんの感情に注目して、寄り添うことを心掛けてみてください。

患者さんから発せられる悩みや質問は、薬剤師が服薬指導をするための多くの情報を含んでいます。患者さんとの会話から情報をキャッし、最適な服薬指導をめざしましょう。

薬剤師mokaの漫画エッセイより
開いた質問をしてみよう!
開いた質問をするのは、勇気がいりますが、患者さんの不安や疑問を解消するのも薬剤師の仕事です。新人薬剤師のみなさんもぜひチャレンジしてみましょう。
薬歴ビフォーアフター~薬歴の悩み、解決します~より
この服薬指導で、患者さんはきちんと薬を飲んでくれるのか?
最善の服薬指導とは、患者さんがどんな感情でいるか、何に悩んでいるかによって変わってきます。服薬意欲に着目してプロブレムを構成することから始めてみましょう。

良い服薬指導には知識のアップデートも不可欠

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