SOAP薬歴・S情報・O情報の正しい書き方とは?薬剤師226人アンケート結果発表

ここではSOAP、S情報、O情報、薬歴の書き方などを薬剤師226人にアンケートした結果をまとめています。現在の薬歴の書き方の主流はSOAP式で、誰が見てもわかりやすく記載することが求められます。SOAPの書き方では、多くの人がA(アセスメント)とプロブレムを課題としています。その解決には「アセスメントの根拠がO情報」「プロブレム1つにSOAP1つが大原則」という2つのポイントが重要です。
薬歴の書き方の主流、SOAP式
薬歴は「SOAP式」で書くことが今の主流となっています。SOAPとは「Subjective Data (主観的データ)」「Objective Data (客観的データ)」「Assessment (分析・評価)」「Plan (計画)」のことで、POS(Problem Oriented System)における分析方法として主に医師の診療システムのなかで発展してきました。
SOAP薬歴のメリットは、他の薬剤師だけでなく、医師や看護師といった他職種に対しても、患者の現状と課題、課題への対策を分かりやすく伝えられること。m3.com薬剤師会員へのアンケート(対象者266人)では「SOAPを心がけて書いているか」と聞いたところ、8割以上が「はい」と回答しており、SOAP薬歴は一般的な書き方になっているようです。

また、SOAP薬歴を書く際には、「誰が読んでもわかるように完結に書く」「次の投薬時に参考になる内容を書く」「患者さんの様子が伝わるように書く」など、チーム医療が重視される地域医療のシーンを踏まえて、それぞれに工夫をしているようです。
「SOAP薬歴を書く際に心けていること」のアンケートの自由回答を一部紹介
誰が読んでも分かりやすく!
- 誰が読んでも1回でわかるように書く
- 新人の薬剤師が見てもその方の経過がわかるように。
- 他の医療者が読むこと、最終的にはカルテ開示で患者家族が読むことを考えて、薬学的アプローチの根拠と狙い・見通しのようなことをわかりやすく書くように心がけている。
数値を入れて簡潔に!
- 細かく書かない。専門用語や略語を使わない。
- ポイントをできるだけ簡潔に記載する。
- 数値がわかるものは数値を記載
- 指導事項は箇条書きにする。
患者の様子が伝わるように
- 患者が話したことはできるだけそのまま記載する
- 疾患に関わるところだけではなく、話し方や性格、家族や友人のことなど、本人の人物像の把握に役立つものは記載している
- 「S」はできるだけ患者さんの主訴、ニュアンスが伝わるように記入
- 患者さんの様子がわかるように記載
その他
- 次回の投薬につながる情報を必ず入れる
- SOAPを心掛けているが、結局患者さんにとって重要と思われることは、形式に囚われず記録している
- Do処方の時でも何か前回と異なるように記載するように心がけている。
SOAP薬歴の基本的な書き方
SOAP薬歴を書くときの流れ
薬局のルールによって異なる場合もありますが、SOAP薬歴を書くときは、多くの場合はSOAP(ソープ・Subjective data・Objective data・Assessment・Plan)の流れにそって書いていきます。
SOAP薬歴は早いうちに書くことがポイントです。多忙の際には中々すぐに書くということは難しいこともありますが、忘れないように服薬指導から早めに記入するようにしましょう。
基本的なSOAP薬歴を書くときのポイント
薬歴に記載しなくてはならない内容は、薬剤服用歴管理指導料の算定要件に掲げられています。具体的には服薬状況、残薬確認、体調変化、併用薬、既往歴、他科受診、副作用、飲食物、後発品の意向、手帳の有無、服薬指導の要点などがあります。
上記は、誰が見てもわかりやすい記載を意識してください。具体的で継続的な流れが重要です。
初回患者の薬歴記入時の注意点
初回患者の薬歴は、服薬指導の内容だけでなく、既往歴などの基本的な情報も記入する必要があります。そのため、再来患者の場合よりも情報量が多くなってしまうもの。もし薬歴を書けない状況ならば、随時メモをとるなどの工夫も必要です。
再来患者の薬歴記入時の注意点
再来患者の薬歴を記入する際には、前回見つかった問題点のその後の経過や、新たな問題点の解決方法について、分かりやすく記載することが大切です。
また、継続的にいらっしゃる患者さまの薬歴では、短期的に変化している内容を見極めることが重要です。体調変化・服薬状況・副作用については、毎回確認しなくてはなりません。
薬歴をスムーズに書くには、「箇条書きで丁寧」を心がけましょう
薬歴をスムーズに書くためには、以下の要領で書きましょう。
記載は箇条書きで簡潔に
薬歴をスムーズに書くときは箇条書きで簡潔に書くことも必要です。記入内容の取捨選択をおこなう
薬歴は、患者さんとのやりとりを全て書かずに服薬指導の中で必要性の低い内容は、省きましょう。ただし、「最近フィットネスクラブに通い始めた」のように、直接関係ないと思える内容の中にも大切な言葉が隠されていることもあります。運動が治療に功を奏する場合や、逆に薬の副作用で転倒をおこす可能性を考慮すると、薬歴に記載する必要性はあるといえるのです。
「SOAP薬歴を書く際に心けていること」のアンケートの自由回答を一部紹介
現在では、電子薬歴が使われていますが、実はレセコンには薬歴をスムーズに書くために役立つ多くの機能があります。操作方法はメーカーによって違いますが、音声入力機能、過去の薬歴の引用機能、定型文の登録機能などが代表例として上げられます。もし、今これらを使ったことがなければ、あらゆる機能を試してみることをおすすめします。レセコンの説明書などを時間のある時に確認してみましょう。
レセコンの機能を活用する
「S」「O」「A」「P」についておさらい
・SOAP薬歴を書くときの流れ
S:Subjective Data(主観的データ)
服薬指導で収集する患者の意見などです
O:Objective Data (客観的データ)
血糖値など検査データのことです
A:Assessment(分析・評価)
SとOを踏まえて薬剤師として何が課題か判断をします
P:Plan(計画)
Aに基づいて、今後の服薬指導の方針や注意点です
SOAP薬歴の記載時のポイント・コツ
SOAP薬歴を記載する際、どのような点に工夫をしているのか紹介します。