薬剤師のいまを知るトピックまとめ

更新日: 2025年3月27日 薬剤師コラム編集部

薬剤師の役割が今後変わる?2025年問題を薬剤師の視点から解説

高齢者が急増する2025年問題 その影響と薬剤師の役割とは?のメイン画像

団塊の世代が後期高齢者となることで、高齢者人口が急増する「2025年問題」。この問題が、医療や介護、年金制度に大きな影響を与えることが懸念されています。2025年問題による、医療費の増加や人手不足といった課題の中で、薬剤師にはどのような役割が求められ、対策ができるのでしょうか。本記事では、2025年問題が薬剤師に与える影響、果たすべき役割について詳しく解説します。今後の医療現場において求められる薬剤師のスキルや行動を理解し、より良い医療の提供を目指しましょう。

2025年問題とは

2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本の高齢者人口が急増する社会問題を指します。これに伴い、医療や福祉、年金制度などに大きな影響が予想されています。それらの詳細を整理していきます。

医療・薬剤師における2025年問題

2025年には75歳以上の高齢者が約800万人に達すると推計されています。これは総人口の約18%です。また、65歳以上の割合は約30%、約3500万人です。医療、介護を必要とする人たちが増加していきますが、現役世代の人口は減少していきます。この2025年問題は医療・薬剤師の現場、国の医療費などにどう影響するのでしょうか。

人手不足

高齢者が増加する一方で、現役世代の人口が減少するため、医療・福祉の現場では人手不足が加速します。薬剤師も例外ではなく、患者対応や在宅医療の需要が増し、負担が増大する可能性があります。

後継者不足

高齢化が進むことで、医療機関や薬局の経営者も高齢化し、後継者不足が深刻化します。特に地方では薬局の閉鎖や薬剤師が不足する可能性があります。個人経営の調剤薬局が、大手チェーン店への身売りする事例が増加しています。

医療費の増加

高齢者の増加により、医療費の負担が増すことが予測されています。特に生活習慣病や新しい医療技術に対応するための医療費が膨らみ、薬剤師にも医薬品の適正使用を促す役割が求められます。具体的にはジェネリック利用の促進、残薬管理の徹底などが求められます。

年金受給額の減少

現役世代の減少、年金受給者の増加により、年金制度の維持が難しくなり、年金受給額の減少が懸念されています。また少子高齢化が進むことで、現役世代の社会保険料の負担は増えていくことが予想されます。

薬剤師ができる2025年問題への対策

2025年問題についてみてきましたが、薬剤師ができる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。医療サービスの維持のためにも2025年問題の対策をひとつずつ考えてみましょう。

対人業務の強化

対策のひとつとしては対人業務の強化が挙げられます。薬剤師の対物業務とは、処方箋の受け取り、薬の調製、在庫管理、報酬の算定などです。ここで強化すべき対人業務とは、処方内容のチェックや疑義照会、服薬指導などがあります。

薬剤師が患者ひとりひとりと向き合い、服薬指導や健康相談に力を入れることが重要です。特に高齢者は複数の薬を服用するケースが多いため、重複投与の防止や副作用の確認など、薬剤師が介入することで医療の質が向上します。

疾患の早期発見・早期治療の手助け

薬剤師は、患者への服薬指導、健康管理を通じて、疾患の予防や早期発見・早期治療に貢献できます。具体的には、生活習慣病予防のアドバイスや、セルフメディケーションの促進を行っていきましょう。薬局は、処方せんに関係なく、地域の人たちが集まり、健康や病気、薬について相談できる場所になっていかなければいけません。患者が自身の健康を管理できるようサポートすることで、医療機関への負担軽減にもつながります。

地域医療への参加

薬剤師であれば、在宅医療、介護施設との連携などで地域医療の参加をすることが可能です。地域の健康イベントや講習会に積極的に参加し、医療知識の普及や予防意識の向上を図ることも問題への対策のひとつとなります。

また入退院を繰り返す患者さんの場合、医療機関や介護施設との情報共有が必要です。地域医療へ参加したときは、医療従事者、介護士などと連携をとり患者さんのための医療サービスを充実させてください。

2025年問題で薬剤師に求められる役割

2025年問題において、薬剤師が求められる役割についてみていきましょう。薬剤師がその役割を果たすことで地域医療の質が保たれます。

かかりつけ薬局としての役割

患者が信頼して相談できる「かかりつけ薬局」としての役割は重要です。薬剤師が患者さんの生活環境や服薬状況を把握し、継続的な健康サポートを行うことで、医療の質の向上が期待できます。

かかりつけ薬局の機能としては、医療機関と連携し、患者さんを在宅医療や夜間休日でもサポートできるシステムが求められます。さらにひとりの患者さんに専属の薬剤師がつく「かかりつけ薬剤師」についても厚生労働省が推進しています。

地域包括ケアシステムの一員としての役割

地域包括ケアシステムでは、地域の専門職が協力し、在宅医療、介護を提供します。薬剤師は、医師や看護師、介護職と連携し、患者さんの健康維持に貢献します。患者さんの服薬情報を管理し、医療チームに適切な情報を提供することで、より良い医療体制の構築に役立ちます。ほかにも地域住民の医療の窓口として健康相談や病気の予防策を提供する場として薬局・薬剤師は重要です。

在宅医療・在宅看護サポートの役割

高齢者の増加に伴い、在宅医療のニーズが高まっています。今や在宅医療は、外来、入院の次のステップの大切な医療なのです。薬剤師は、訪問服薬指導や薬剤管理を通じて、在宅医療の薬物療法において重要な役割を担います。在宅医療の対象は、高齢者だけでなく、がん患者、難病、障害者など医療を長期的に必要とする方です。患者さんやその家族と密接に連携し、安心して治療を受けられる環境を整えることが求められます。

2025年問題で薬剤師ができることとは

2025年問題によって、薬剤師の役割がこれまで以上に重要になってきています。疾患の早期発見の手助け、地域医療への貢献、対人業務の強化など、多方面での活躍が期待されています。薬剤師自身が積極的に知識やスキルを磨き、役割を果たすことで医療の質を向上させることができます。

さらに、医療機関や介護施設、地域住民との連携を深めることで、より包括的な医療サービスが提供できます。特に在宅医療の分野では、薬剤師が患者やその家族と密接に関わり、服薬管理や健康相談を通じて、生活の質(QOL)向上に寄与する役割が求められます。

また、IT技術を活用した「オンライン服薬指導」などの導入も進んでおり、薬剤師の新たな活躍の場が広がっています。これらの取り組みを通じて、薬剤師は2025年問題がもたらす課題に柔軟に対応し、より良い医療の提供に貢献していくことができるでしょう。2025年問題だけでなく、どんな時代にも柔軟に対応し求められる薬剤師を目指しましょう。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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