薬剤師の資格「栄養サポートチーム(NST)専門療法士」の資格取得体験記
1、「栄養サポートチーム(NST)専門療法士」とは?
まず、栄養サポートチームとは、Nutrition Support Teamの略称で、多職種が協働して、入院中の低栄養患者に対し、疾病の治療や栄養補給法についての検討を行い、より良い栄養管理を行っていくチームのことです。
NST専門療法士は、主として静脈栄養・経腸栄養を用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有するJSPEN(一般社団法人 日本栄養治療学会)が認定した専門療法士です。
管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師のいずれかの国家資格取得者が取得できます。
NST加算や栄養サポートチーム加算の要件には資格取得は必須ではありませんが、より質の高い栄養管理のために重要な役割を担っています。
2、「栄養サポートチーム(NST)専門療法士」の資格取得のきっかけ
資格取得前より、勤務していた病院でNSTの一員として活動していました。その中で、私はチームの一員として、もっと薬剤師視点から疑問を持ったり、評価や提案が出来たりするのではないかと、もどかしさを感じるようになりました。知識をつけて少しでも患者さんの役に立ちたいと思ったのが、資格取得のきっかけです。
また、私は中途採用でもあり、何故か常に焦りがありました。仕事を任されたいという気持ちがありましたが、職場の仲間が皆優秀なのでもっと頑張らないと仕事ができない人と思われそうと考えたり、劣等感を抱いたりしていました。
資格があれば自分に自信もつき、他者からの評価にも繋がります。資格取得はどんな施設で働いていても自分の武器になるという思いもありました。
3、仕事と勉強を両立させるコツは?
私の場合は、資格取得の理由を考えて思い出すことで、仕事と勉強を両立させるモチベーションに繋げていました。
また、NSTチームに属していたため、チーム活動もモチベーション維持に繋がっていたように思います。患者さんの栄養療法の疑問をチームで共有したり、資格取得のために手に入れた『静脈経腸栄養テキストブック』で再確認したりしました。
NST研修時にたまたま大学の同期と遭遇し、同じ年に資格を取得する事が分かったことも励みになりました。
資格取得の確固たる理由を持っていれば勉強へのやる気が維持できて、仕事と勉強を両立できるのではないでしょうか。
4、「栄養サポートチーム(NST)専門療法士」の資格申請に必要なこと
大前提として、日本栄養治療学会(JSPEN)の会員である必要があります。また、国資格取得後3年以上栄養サポート業務に従事した経験も求められます。
そのうえで、JSPENの主催する学術集会やセミナーに参加し、「必須」のものを含む合計30単位を取得し、さらにJSPEN認定教育施設における40時間の実地修練の修了が必要です。実地修練中の40時間で、携わった症例報告も求められます。
詳細は、NST専門療法士認定規程
(https://wpapi.jspen.or.jp/v1/g73bqwu9yibit4y3798eqwfl/certification/nst/protocol/)をご参照ください。
5、「栄養サポートチーム(NST)専門療法士」試験の難易度や試験会場での心構え
試験の難易度は、個人的には高いと思います。
生理・生化、栄養療法の基礎、経腸栄養法と静脈栄養法など出題範囲が広く、覚えることは当然のことながら、計算問題もあります。薬剤師国家試験を受けてから5年以上は経過していたので、本腰を入れて勉強をしました。
普段と違う環境でもこれまでの勉強の成果を発揮し、ベストコンディションで受験に臨むため、持ち物の確認を前日に行い、普段より時間に余裕が生まれるよう行動しました。試験会場は、学会等で何度か行ったことがある京都国際会館でしたが、遠方から受験するということもあり時間に余裕をもって会場に到着できるようにしました。
試験時間は2時間と長くはないですが、腹が減っては戦ができないので、すぐに食べられるおにぎりやチョコレート、眠気対策のミントタブレットを持参しました。トイレも混むので早めに済ましておくのがいいと思います。
試験会場が寒かった記憶があるので、母親が渡してくれたカイロが役に立ちました。着脱できる暖かい恰好で行って良かったなという記憶もあります。
会場の椅子に座り、自分が最後に見直したい部分を見られるようにしておいたので、試験が開始されるまで、ひたすら頭に入っているかを確認できました。
分からない問題は悩んでいても仕方がないので、飛ばしてどんどん解き進めます。マークミスに気を付け、自分に自信を持って平常心を心がけ集中して取り組んでください。