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認定・専門資格薬剤師の資格取得体験記

更新日: 2025年1月16日 松本健司

【薬剤師の資格】日本糖尿病療養指導士の資格取得体験記

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「日本糖尿病療養指導士」とは?

現在の一般社団法人日本糖尿病学会、一般社団法人日本糖尿病教育・看護学会、一般社団法人日本病態栄養学会が協力して2000年2月29日に設立した一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構が認定を行っている資格です。

糖尿病を持つ患者さんが糖尿病のない人と変わらない寿命とQOLの実現を支援するために多職種が協働して療養指導を行うためのリーダーの育成を目的としています。

継続した知識の習得や研鑽を積むことによって病院内や地域の医療スタッフの指導的な立場となり、合併症に苦しむ患者を少しでも減らすことが期待されています。医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士が認定を受けていて、病院の垣根を越えて多職種で情報交換できる資格です。

「日本糖尿病療養指導士」を取得したきっかけ

私が「日本糖尿病療養指導士」の資格を取得したのは、2006年で大昔になります。当時勤務していた宮城県石巻市の地域中核病院で、糖尿病代謝科と整形外科の混合病棟の担当薬剤師になったことがきっかけです。

当時は「αグルコシダーゼ阻害剤」が発売された頃で、治療薬は少なく、糖尿病患者は、高血糖による糖尿病合併症の治療や教育入院の血糖コントロールを病院の片隅で行っていました。

私は、薬剤管理指導で病棟に行くのは初めてで、本当に右も左もわからない状態でした。糖尿病代謝科はマイナーな病棟のイメージが強かったのですが、それに反して看護師さんたちはやる気のある方が多く、「薬剤師がこの病棟にも必要」と優しく言ってくれました。

やる気のある看護師さんの前で何度か薬の講義をする機会がありましたが、当時の私は、質問されると答えられなくて、あまりの糖尿病治療薬の知識のなさに自分自身でもあきれてしまい、糖尿病自体をもっと勉強しなくてはと考えました。

そんなとき、当時の薬剤部長が「糖尿病療養指導士の試験を受けたら?」と背中を押してくれました。はたから見れば小さい出来事ですが、私の中では人生を変えるくらい大きな出来事になりました。

仕事と勉強を両立させるコツは?

資格取得に簡単なものはないと思います。当たり前のことですが、その資格取得が必要であるかということと、その分野の知識を学ぶのが好きかということを考えるべきです。

私は、自分を「研修会オタク」と人にわざと言って、「研修会に行くと、あの人いつもいるよね」という状況に自分を置くことにしました。

今はWEB研修がありますが、私が研修会に参加していた当時は、交通費・参加費がたくさんかかりました。これだけお金と時間をかけたから絶対に資格を取るという決意が生まれたのだと思います。

また、私は糖尿病専門の仕事をやりたいので「病棟でインスリンの講義させてください」と言って回り、その講義の前に勉強をしました。さらに、職場で「私はこの専門になりたいので担当させてください」「患者さんから相談あったら連絡ください」と言ってアピールすると、症例から知識を学ぶことができました。近くに頼れる医師がいれば良いですし、先輩薬剤師や優秀な看護師や医療スタッフも巻き込むと実務と薬学の知識が両方学べると思います。

「日本糖尿病療養指導士」の申請に必要なこと

日本糖尿病療養指導士は、リーダー的な立場を求められることから、資格申請はかなり厳しいです。まず、指導医が必要です。必ずしも専門医でなくても良いのですが、認定機構の決めた条件があります。療養指導の自験例の提出も求められます。

講習会の受講も必須です。詳しくは、一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構のホームページをご覧下さい。条件が厳しいのですが、それをクリアすると達成感は大きなものになります。

資格申請が難しい方もあきらめてはいけません。地域の糖尿病療養指導士(宮城であれば宮城県糖尿病療養指導士委員会が認定)制度もあります。講習会受講や自験例の提出はありますが、指導医は必要ありません。各県の糖尿病療養指導士認定委員会にお問い合わせください。

また、日本糖尿病療養指導士の資格取得が難しい方でも選択肢が増え、少しハードルは高くなりますが、一般社団法人日本くすりと糖尿病学会の認定薬剤師制度は、保険薬局勤務の方にも受験資格があります。こちらはハードルが高い分、さらに魅力のある資格です。

「日本糖尿病療養指導士」資格試験の心構え

試験の準備は必須です。現場で活躍していて糖尿病の知識は十分と思っていても落とし穴に陥ることがあります。最近は、学ばなくてはならない治療薬も増えてきました。SMBG(血糖自己測定)やCGM(続グルコースモニタリング)も新しい機種が増えて多岐にわたっています。

糖尿病療養指導は患者とのコミュニケーションも大切です。筆記試験のみ合格しても良い療養指導士にはなれません。機会があれば資格取得前に糖尿病医療学やコーチングなども勉強しておくことと良いでしょう。

「日本糖尿病療養指導士」を取得してよかったこと・変わったこと

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松本健司
まつもとけんじ

還暦を過ぎた宮城県の中小病院の薬剤師。小規模病院から中規模病院、医療法人や公立病院と5つの病院勤務経験があり、糖尿病療養指導はもちろん、感染対策、医療安全、褥瘡管理、栄養管理等、業務領域は多岐に渡る。趣味は、ボーっとして国内から海外の医療ドラマを見続けること。

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