救急認定薬剤師の資格取得体験記
「救急認定薬剤師」とは?
救急認定薬剤師とは、救急医療の薬物療法における高度な知識、技術、倫理観を備え、薬学的管理においてチーム医療に参画・貢献することを理念とした、救急領域を担う薬剤師です。
日本病院薬剤師会の協力のもと、日本臨床救急医学会によって2011年度に認定制度が始まった比較的新しい資格です。2016年度の診療報酬改定で「病院薬剤業務実施加算2」を受けて、救急病棟に薬剤師を配置する病院も増え、救急認定薬剤師を目指す人も増えているのではないでしょうか。
現在までの認定者数は306名(※)です。また、2023年度からより高度な「救急専門薬剤師」が新設され、認定者数は23名(※)います。(※)2024年8月現在
「救急認定薬剤師」取得のきっかけ
私が救急認定薬剤師を目指したきっかけは、ある先生とのご縁です。新人時代にお世話になったA先生が認定制度の発起人の一人だったのです。
当時は,薬剤師が救急領域へ進出して間もない頃。勤務していた病院でも救急病棟業務が立ち上げられ、勤務2年目の私がなぜか選出されました。その出来事が私の薬剤師人生を決めたと言っても過言ではありません。
医療ドラマヲタクだった私は救急領域に魅了され、そこで活躍する先輩薬剤師に憧れ、自然と認定を目指すに至りました。A先生は生前によく「女性の救急認定薬剤師がもっと増えてほしい」とおっしゃっていました。微力ながら私もその一人として、今後も救急分野に尽力していきたいです。そして、おこがましいですが私に続く後輩を育てて、A先生へ恩返ししたいと思っています。
仕事と勉強を両立させるコツは?
6年間かけて学び,薬剤師になっても勉強の日々が待っています。若手の頃は、仕事の延長線上で勉強することが多いでしょう。例えば、算定記録を書くためにわからないことを勉強するなどは、仕事と勉強の線引きが難しいこともあります。
仕事は給与が発生し、時間制限があります。一方、勉強は無給で気のすむまでできます。
では,どう両立するか。その答えは「これは仕事なのか勉強なのか」を吟味しながら時間を意識することです。
もちろん,最初は勉強しながら仕事する時間があってもいいでしょう。ポイントは、漫然と時間を過ごさないことです。時間管理は社会人として大切なスキルであり、日頃からこれを意識すると仕事に必要な勉強だけでなく、自分のための自己研鑽(主体的に学ぶこと)する時間も作れるようになります。
若手の頃の貴重な時間をどう過ごすかは、その後の薬剤師人生を左右すると言っても過言ではありません。
「救急認定薬剤師」の資格申請に必要なこと
申請基準の中で、まずこの3つを満たしていることを確認する必要があります。
- 薬剤師としての病院・診療所勤務歴が5年以上であり、そのうち2年以上救急医療に従事している
- 日本臨床救急医学会の正会員歴が2年以上(会費を完納している)
- 学会の指定した認定薬剤師資格を持っている(詳細は学会ホームページ参照)
その上で、①救急医療に関する症例:25例以上、②規定の単位取得:50単位(学会参加/発表、論文掲載など)、③認定委員会の開催する講習会への参加、④ICLSコース受講またはBLS/AEDコース指導の要件を満たせるように準備を進めるとよいです。
※最新の情報および詳細は、必ず日本臨床救急医学会のホームページより確認してください。
「救急認定薬剤師」の試験会場での心構え
試験は年1回、東京会場でのみ行われます。
試験開始30分前から会場入りできますが、待合スペースはないので早く着きすぎないことをおすすめします。
国家試験のようなピリピリした雰囲気はありませんので、緊張しすぎず挑んでください。試験開始直前まで参考書「薬剤師のための救急・集中治療領域標準テキスト」を見ていた人が多い印象でした。
試験時間は90分間です。出題範囲からまんべんなく出題されるので、1つの問題にはまると時間がなくなります。わからない問題はどんどん飛ばして、確実にわかる問題からの回答をおすすめします。
わからない問題はあると思いますが、選択問題なので何かしら回答しましょう。試験問題は回収されますので、記憶が新鮮なうちに答え合わせをするといいでしょう。