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薬剤師 転職向上委員会

更新日: 2021年2月2日

薬剤師を辞めたい!コロナ禍で辞めて大丈夫?!

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薬剤師が働く場所には薬局、病院、製薬企業など様々な職場がありますが、働いている薬剤師からの「辞めたい」という言葉はどこの職場からも聞こえてきます。今回は、新型コロナウイルス感染症の流行によって打撃を受けている医薬業界で、薬剤師が今の仕事を辞めてしまうと今後の就職・転職活動にどんな問題があるのか、考えていきたいと思います。

なぜ薬剤師は「辞めたい」と考えるのか

今の仕事を「辞めたい」と考える薬剤師は、実際にどのくらいいるのでしょうか。以前行われた実態調査「ベンゼン三兄弟がレポート!薬剤師実態調査」では、薬剤師の8割弱が職場に不満を持っており、5割弱の薬剤師が「辞めたい」と考えていました。更に、「辞めたい」と考える原因の多くが「上司との人間関係」や「同僚との人間関係」という結果でした。薬剤師のほとんどが職場に不満を持って勤務しており、その多くは人間関係が原因で「辞めたい」とすら考えているようです。毎日同じ職場、同じスタッフで働くことが多い薬剤師にとって、職場で一度人間関係がこじれてしまうとその修復は難しく、「辞めたい」と悩まれる方が多いのかもしれません。このようなことから、薬剤師の「辞めたい」という悩みの原因として「人間関係」は、誰にとっても避けられない大きな問題の一つになっているようです。

薬剤師を辞めたら「求人がほとんどない」ということもありえる

多くの薬剤師が人間関係などを理由に「辞めたい」と考える一方で、本当に辞めてしまったらその先はどうなるのか、そこも悩みの種となっているのではないでしょうか。これまでは今の仕事を本当に辞めても、新しい職場はすぐに見つかったかもしれませんが、今は新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、そうもいかなそうです。厚生労働省の発表している有効求人倍率(含パート)をみると、新型コロナウイルス感染症が本格的に流行する前(令和2年1月)の薬剤師の求人倍率は3.61倍であったのに対し、新型コロナウイルス感染症の流行が起きた後(令和2年10月)の求人倍率は1.99倍と、大きく減少しました。数年前は5倍を軽く超えていた求人倍率が1倍台まで落ちてきたのは、大きな変化と言わざるを得ません。実際に、私の周囲でも新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて薬局が派遣切りを行ってしまい、派遣薬剤師としては仕事ができなくなったという声もあります。これまでは「辞める」という選択肢をとっても、その後の転職活動は難しくありませんでしたが、今は「辞めたい」と思ってもこれまで以上に慎重に考える必要がありそうです。

辞めたときには薬剤師過剰時代の到来?

今後、転職を考える薬剤師が気をつけておかなければいけないことがもうひとつあります。それが「薬剤師過剰時代」の到来です。以前より薬剤師は過剰になると言われていましたが、その根拠となるのが平成30年度に厚生労働省が行った薬剤師の需給調査 です。この調査によれば、2043年に2万5千人の薬剤師が過剰になると予測されています。しかし、この調査は平成30年度の状況が続いた時のものであったため、当然ですが新型コロナウイルス感染症の影響は加味されていません。上記で示したように、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年には求人倍率が急激に落ちていることから、この予測よりも厳しい時代が来ると考えられます。すでに派遣薬剤師を仕事にしていくことが難しくなっていることからも、早々に薬剤師過剰時代は到来すると考えられます。

今の仕事を辞めたら年収にも影響がある

薬剤師を辞めたいと考えたときには、今後の年収がどうなるかも気になる項目のひとつです。「徹底調査!薬剤師の平均年収比較」や「都道府県別 薬剤師年収ランキング(2020年版)」で記載されているように、薬剤師の年収は2019年度末まで年々上昇してきました。これが新型コロナウイルス感染症の影響でどのように変化していくか、注意しておく必要があります。現在のところ、コロナ禍における薬剤師の年収の変化について明確なデータはありませんが、求人倍率が急激に低下していることからもこれまで通りに上昇するとは考えにくいです。また、現在の年収でそのまま採用してもらうことも難しくなり、年収を下げてでも採用してもらうといったことも十分に考えられます。そのため、今の仕事を「辞めたい」と考えている薬剤師は、年収を維持するために薬剤師としての市場価値を高めておくことも必要でしょう。

辞める前に、薬剤師としての市場価値を高めておこう

今後薬剤師が過剰になっていく中で、どのような能力をもっていれば薬剤師としての市場価値を高めることができるのでしょうか。いまの仕事を辞めた後に、新たに働きたいと考えられる職場があったとしても、自分の強みが調剤経験年数だけでは新卒の薬剤師に比べて魅力が弱く写ってしまうこともあるかもしれません。そんな時に役立つ、薬剤師のわかりやすい能力の指標のひとつとして、認定資格や専門資格があります。もし今の仕事を辞めたい、転職したいと考えていながら、まだ認定資格を持っていないという方がいれば、認定資格を取ることは真っ先に取り組むべきことかもしれません。
他にも今後求められる薬剤師像として、参考になる資料があります。厚生労働省が2020年7月立ち上げた「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 」で討論された内容です。これまで通り、地域医療に貢献できる薬剤師であることと共に、ICTやIT化、AI導入の話も出ており、今後はデジタル技術を活用できる薬剤師の需要は一層高まると考えられます。クラウド型の電子カルテの普及やオンライン服薬指導が広がっていくことから、薬剤師もデジタル技術の活用に慣れていく必要があるでしょう。

薬剤師も、これからの転職はよく考えて

今の仕事を辞めたいと思う薬剤師が多くいる中で、新型コロナウイルス感染症を契機に求人倍率の低下や年収の低下が起きてしまう可能性があることを紹介してきました。また、薬剤師であっても今の仕事を辞めたあと、必ずしも思っていたような職場と出会えないことも十分に考えられます。よく考えてから行動しないと、何度も同じことを繰り返してしまう可能性もあります。そのため、転職を考える際には、転職エージェントを利用し、コンサルタントにキャリアを相談してみるのも良いかもしれません。業界に詳しいコンサルタントに相談することで、本当に自分に合った就職先が見つかる可能性は高くなります。今後の薬剤師過剰時代が到来する前に、一度自分に合った職場探し、さらに自分の薬剤師としての市場価値向上のための努力を、始めてみてください。

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