40代薬剤師の平均年収は636万円!転職は管理職経験があると良し
仕事にも慣れ、キャリアを積んできた40代は、働き方を見直すことが多い時期でもあります。
とくに薬剤師は、専門職ということもあり、これまでの経験をもとに新しい環境にチャレンジしたいと思うこともあるでしょう。
ただ、一般的に40代は転職が難しくなると言われる年代。
ここでは、40代薬剤師の転職事情や、転職活動の成功ポイントについて解説します。
満足のいく転職活動をするために、ぜひ参考にしてください。
薬剤師は40代でも転職は可能?
一般的には転職には20〜30代の若手が有利で、40代は難しいとされています。
しかし、結論から言うと、薬剤師は40代での転職も十分に可能です。
薬剤師が40代でも転職しやすい理由の一つは、現場でさまざまなキャリアを積んだ40代薬剤師は、即戦力として重宝されるからです。
もう一つの理由は、薬剤師が求められる勤務場所は多く、さまざまな転職先があることです。
病院や調剤薬局、ドラッグストアなど、薬剤師を必要とする職場は多くあり、特に地方は都市より薬剤師不足です。また、都市も地方も、高齢化が進む日本では、そのニーズが減ることはないでしょう。
薬剤師は、キャリアアップを目的とした転職だけでなく、ワークライフバランスを考えた転職も、他業種に比べれば比較的好条件で探しやすいといえます。
40代薬剤師の平均年収
厚生労働省のデータをもとにすると、40代の薬剤師の平均年収は636万円です。
男女別のデータは、以下の通りです。
年代別 | 男女計 | 男 | 女 |
---|---|---|---|
40~44歳 | 630万円 | 726万円 | 577万円 |
45~49歳 | 641万円 | 719万円 | 608万円 |
40代平均 | 636万円 | 723万円 | 593万円 |
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
一般的なサラリーマンと比べると、年収は男女ともに高いといえます。
女性の平均年収が低くなっているのは、家庭や子育てのために短時間労働を選ぶ方が一定数おり、パート・アルバイト勤務の割合が高くなっているためです。
実際の薬剤師の平均年収は、勤務先や業務内容、地域などによって異なります。
40代薬剤師の転職で求められるのは管理職経験
薬剤師としてキャリアアップしたい、収入を上げたいと思って転職する場合、40代の薬剤師に求められるのは管理職経験です。
20代の若い薬剤師ならば、これからの教育を前提として採用されることもあります。
しかし、40代となると、薬剤師としてのスキルがあることは当たり前で、それに加えて職場全体に対するマネジメント能力が求められます。
40代薬剤師が転職する際には、薬局や店舗をまとめてきた、管理薬剤師としての経験があると有利になります。
40代薬剤師の転職成功ポイント4つ
薬剤師は40代での転職も可能ですが、転職で失敗しないためには、事前にしっかり準備しておくことが重要です。
ここでは、40代の薬剤師が転職で成功するために押さえておきたい4つのポイントについて説明します。
1.転職で得たいものを明確にする
ひとくちに「40代の転職」といっても、転職をする理由は人によって違います。
40代は、これまでの経験から、自分が仕事に求めるものが明確になってくる年代ではないでしょうか。
仕事にやりがいを求めて、キャリアアップしたい、収入をアップしたいと考える人もいれば、自分の生活も大切にして、ワークライフバランスを改善したいと思うようになった人もいるでしょう。
満足度が高い転職をするために大切なのは、自分のホンネを見つめて、何のために転職するのかを明確にすることです。
自分の価値観を見つめ直し、それに沿ってブレずに転職活動をすることが、40代の転職活動では大切です。
40代はこれから先、何度も転職することが難しくなる年代でもあります。これが最後の転職になるという意識を持って、自分が転職によって何を実現させたいのかをはっきりさせましょう。
2.条件にこだわりすぎず柔軟に対応する
自分の理想の条件をすべて満たした職場を探すことは、現実的には難しいですよね。
自分が転職で得たいものをはっきりさせたら、それ以外の条件についてはこだわりすぎないようにしましょう。
仕事内容、収入、勤務時間、職場までの距離、人間関係など、転職するにあたってはさまざまな条件があります。
まず、自分の中で転職に対して求める条件に優先順位をつけてみましょう。
たとえば、キャリアアップを考えているのならば、責任が重くなり、転勤や出張が多くなることは織り込み済みとなるでしょう。
逆に、家族や生活を大切にしたいと考えるならば、収入減を受け入れなければならないかもしれません。
どうしても譲れない条件以外のものについては、上手に折り合いをつけていくことが、スムーズな転職のためのポイントです。
3.持っているスキルを棚卸しする
転職活動に入る前に、自分が薬剤師として働いてきたキャリアを振り返って、持っているスキルを棚卸ししてみましょう。
調剤薬局で働いていたならば、患者さんと近い距離で、わかりやすい薬の説明ができる、コミュニケーションスキルや、患者さんの話をよく聞き、問題を把握する、傾聴スキルや問題把握スキルがあるはずです。MRならば、論理的に話をするスキル、営業スキル、戦略スキルなど。管理職経験がある方ならば、マネジメントスキルがあります。
40代薬剤師に求められるスキルは、対患者さん、対顧客だけに限りません。職場のスタッフといい関係をつくり、広い視野をもって仕事をスムーズに進めていくスキルも求められます。また、先に触れた、管理職としてのマネジメント経験も、40代で転職する際には大きな武器になります。
このように、自分が持っているスキルを体系化して、自己分析を進めておくと、履歴書や志望動機を書きやすくなります。また、面接でも、自分の強みやアピールポイントを的確に伝えやすくなるでしょう。
これは転職活動において大きなアドバンテージとなります。
4.専門家のサポートを利用する
40代で悔いの残らない転職をするためには、自分軸をもつことと同時に、転職先についてもしっかり調べて、マッチングしていくことが重要になります。
ただ、転職先について詳しい情報を得ることは、なかなか難しいです。
キャリアアップのための転職となると、ますます難易度は上がります。
そのようなときには、薬剤師専門の転職エージェントを利用することを考えてみてはいかがでしょうか。
薬剤師専門の転職エージェントであれば、薬剤師の転職事情に精通したコンサルタントから転職のサポートを受けることができます。
コンサルタントとの面談を通して、自分の考えが整理され、転職の目的もはっきりしてくるでしょう。
履歴書や志望理由についても添削を受けることができ、面接についても一緒に対策を考えてもらえます。
また、薬剤師専門のエージェントは、一般には公開されていない求人も多く持っています。
条件のよい求人や、キャリアアップにつながる求人は、非公開でエージェントを通してのみ募集されることもよくあります。
経験豊富なコンサルタントは、転職先の内情についても把握しているので、外からはわからない情報も教えてもらえます。
その結果、自分に合わない職場に転職してしまうリスクを減らすことができるでしょう。
40代薬剤師の転職しやすい職場
薬剤師が働ける職種はいくつかありますが、転職の難易度は職種によって異なります。
ここでは、40代薬剤師が転職しやすい職場について解説します。
1.調剤薬局
調剤薬局にはクリニックの門前薬局や大手薬局チェーンなど、さまざまな規模のものがあり、薬剤師の需要が高く、求人数も多くなっています。
40代薬剤師でも採用されやすい職場です。
これまでに調剤薬局での経験があれば、より有利に転職活動を進めることができます。
また、未経験であっても、比較的転職しやすい職場だと言えます。
2.ドラッグストア
ドラッグストアも、出店数が多く、調剤併設型の店舗も増えているので、人手が足りない傾向にあります。
40代薬剤師でも転職しやすい職場です。
また、これまで管理職経験があれば、ドラッグストアの店長や、エリアマネージャーといった管理職として採用される可能性もあり、キャリアアップ、年収アップも期待できます。
ただ、ドラッグストアは営業時間が長く、土日が休みでないため、シフト制の勤務となります。転職先の勤務状況と、自分の体力や家庭の状況をしっかり考えて判断するようにしましょう。
3.病院
病院の場合、その病院の規模によって転職の難しさが変わってきます。
大学病院や大規模な病院は、新卒や若年層を採用して育成していくという方針なので、40代での転職は難しいのが実情です。
ただ、慢性期病院やリハビリ専門病院などは、幅広い年代の転職者を受け入れています。
こういった求人の数は、調剤薬局やドラッグストアに比べると多くはありません。病院への転職を希望する場合は、自分の希望するエリアで募集があるかどうか、日ごろからこまめにチェックしておくようにしましょう。
また、病院によっては夜勤が求められることもあります。給与水準も、一般的にドラッグストアに比べると低くなっています。
病院によって勤務条件や給与に違いがあるので、応募する際はしっかり確認して検討しましょう。
4.製薬会社
製薬会社での勤務は、やりがいがあり、土日が休みで福利厚生が充実しているので人気の転職先です。
しかし、募集そのものがほとんどないため、同業他社で同じような仕事の経験がない限り、転職は難しくなっています。
製薬会社への転職を考えるときは、専門の薬剤師転職エージェントに相談することをおすすめします。
ただ、一般企業で薬剤師資格を生かして働きたいと考えるならば、可能性は広がります。
医療品卸や物流センター、製薬会社の関連企業などにも薬剤師のニーズはあるので、対象を広げて探してみるのがいいでしょう。
40代薬剤師転職への不安
40代の薬剤師は、どういうときに転職を考えるのでしょうか。
ここでは、40代薬剤師が転職を考える理由と、注意すべきポイントについて説明します。
同年代との年収の差
薬剤師は比較的高収入が期待できる職種ですが、同じ薬剤師の間での収入の差が気になる方も多いのではないでしょうか。
給与は職場によっても違いますし、40代となると同じ職場内でもポジションによって違いが出てきます。
現在の職場の給与水準が低い、キャリアアップのルートがない、という場合は、転職して収入をアップさせることを考えてもよいでしょう。
ただ、現在の職場で管理職手当などがついている場合、転職により一時的に給与が下がることもあります。
そのことをふまえたうえで、新しい職場でのキャリアパスや給与体系はしっかり確認しておきましょう。
体力の低下
40代になると、20代や30代では気にならなかった体力の低下を感じることが増えてきます。
夜勤や当直のある病院や、営業時間の長いドラッグストア勤務では、特にきつく感じるのではないでしょうか。
長く健康に働き続けるためにも、体力の低下を感じ始めた40代薬剤師にとって、より働きやすい職場への転職は現実的な選択となります。
ただ、転職してみたら実は残業が多かった、とならないように、事前のリサーチは大切です。
同年代とのスキルの差
調剤薬局でのルーティンワークが中心となると、仕事には慣れて大きな不満はないものの、やりがいが感じられなくなることがあります。
病院勤務の薬剤師が最新の情報に触れてスキルアップしている姿を見て、自分との差を感じてしまうこともあるでしょう。
転職することで、これまでのスキルを生かしながら、新しい情報に触れる機会を増やすことができます。
これまでがハードワークだった方は、スキルアップや資格獲得のための時間を作ることもできるでしょう。
スキルアップを望む場合は、転職先の研修制度についても調べておくことをおすすめします。
職場への不満や不安、人間関係など
転職の理由として大きなものに、職場内の人間関係があります。
たとえ職場の給与や勤務条件に問題がなかったとしても、人間関係が悪いと大きなストレスとなります。
また、業務が多いのに人員の補充がない、残業が多いといった労働環境が悪い場合も、薬剤師の個人的な努力ではどうすることもできません。
このようにブラックな労働環境を変えたいときは、転職も選択肢に入ってくるでしょう。
このような人間関係や、実際の労働環境については、転職した場合でも、働き始めないとわからないのが実情です。
不安に思うときは、さまざまな生の情報を持っている転職エージェントに相談すると、アドバイスを受けられるかもしれません。
40代薬剤師が転職で失敗しないために
ここまで見てきたように、専門職である薬剤師は、40代でも比較的転職のチャンスがあるといえます。
実際に転職する際には、自分が求めるものをはっきりさせたうえで、持っているスキルを的確にアピールしていきましょう。
若いうちならば、どんな転職をしても経験が増えたとプラスにとらえることができますが、40代の転職では失敗は避けたいもの。
薬剤師という仕事の専門性からいっても、転職の際は、豊富な経験を持つ薬剤師専門の転職エージェントを利用することがおすすめです。
満足度の高い転職をするためにも、上手にサービスを活用してください。