薬剤師のための転職・求人コラム

更新日: 2024年5月8日 薬剤師コラム編集部

50代薬剤師の転職は難しい?転職を成功させるためのコツ

薬剤師のための転職・求人コラム「薬剤師」「年収」「1000万」
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薬剤師は普通のサラリーマンに比べると、よい条件で転職しやすい職業です。
これまでに転職を経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、どの職業でも、年齢が上がれば上がるほど転職は難しくなっていきます。
50代になった薬剤師は、これまでと同じようにスムーズに転職できるのでしょうか。
ここでは、50代薬剤師の転職事情と、満足度の高い転職を成功させる7つのポイントについて説明していきます。

50代の薬剤師の転職難易度は高い

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比較的転職しやすい薬剤師ですが、率直にいって、50代になるとやはり転職の難易度は上がります。
とくに、これまでより給与面などの条件がアップした転職はなかなか望めず、これまでと同じくらいの条件での転職も難しいと考えておいたほうがいいでしょう。

もし、50代で転職を考える方なら、転職活動を始める前に、今回の転職で得られるものと失うかもしれないものについてきちんと整理してみましょう。
そのうえで、転職するかどうかを決めることをおすすめします。

50代薬剤師の転職難易度が高い理由

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ここからは、50代になると薬剤師の転職難易度が上がる理由についてみていきます。

給料が高い

キャリアを重ねた50代は、30代や40代と比べても年収が高くなっています。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」によると、
50代薬剤師の平均年収は以下のようになっています。

年齢
50~54歳 738万円 613万円
55~59歳 856万円 609万円

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12カ月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

転職先からすると、50代の薬剤師を採用するとより大きなコストがかかることになるのです。
もし仕事の内容が同じならば、給与の安い、より若い人のほうが有利になります。

定年までの時間が短い

現在は薬剤師の定年も65歳というところが増えてきましたが、50代での採用となると、新しい職場で働く期間も10年程度ということになります。
高いコストをかけて採用しても、すぐに定年、退職金も必要となるのであれば、採用側も50代を採用するよりも若い人を採用して育てていこうと考えるでしょう。

転職先の年齢構成にフィットしない

たとえキャリアがあっても、いざ転職となると、新しい職場ではわからないことも多く、教えてもらう立場からのスタートとなります。
20代の若手であれば、そのような状態でも新しい環境にスムーズになじめるでしょう。しかし、50代の新人となると、迎える側にとっても転職して入る側にとっても気を遣うことが多くなります。

また、管理職としての転職であればスムーズであっても、一般の薬剤師としての採用の場合、50代薬剤師よりも上司のほうが年下になってしまうということもあります。
そのような職場では、スタッフ全体の働きやすさを考えると、50代の薬剤師を積極的に採用しようとはなかなかならないでしょう。

体力面で不安がある

50代になって、体力の衰えや、健康面の不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
体力面で不安があると、夜勤があったり、長時間の残業があったりする職場への転職は難しくなるので、転職先の選択肢が狭くなります。

また、転職先のほうでも、健康面で配慮が必要になるかもしれない50代よりも、元気に長時間勤務や立ち仕事をこなしてくれる若手を採用したいと考えるでしょう。

50代薬剤師におすすめの転職先

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これまでみてきたように、50代の薬剤師の転職難易度は高くなっています。
しかし、50代薬剤師の転職が無理だというわけではありません。
薬剤師が人手不足である状況は続いているので、50代であっても採用したいという職種はあります。
では、50代であっても比較的転職しやすい転職先はどこでしょうか。

中小の調剤薬局

調剤薬局も人手不足に悩んでいますが、大手の調剤薬局は新卒採用が基本で、転職先としての人気も高いため、50代で採用される可能性は低くなっています。

50代から転職するなら、中小や個人の調剤薬局がおすすめです。
大手と違って、採用に悩んでいる中小や個人の調剤薬局は少なくありません。
そんな調剤薬局にとって、即戦力となるベテランの薬剤師はありがたい存在です。
調剤経験のある薬剤師ならば50代であっても採用したいという薬局を探しましょう。

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ドラッグストア

ドラッグストアは、店舗の数が増加傾向にあり、調剤併設型の店舗も増えているので、常に人手が足りない状態にあります。
経験豊富でスキルのある人材は常に求められているので、50代の薬剤師にとっても転職のハードルは低い転職先といえます。

ただ、ドラッグストアは、年中無休、土日が休みというわけではなく、営業時間も長く、シフト制での勤務です。体力面に不安を感じて転職を考えている人は、自分が求める働き方ができるかどうか、事前にきちんと確認しておきましょう。

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50代薬剤師の転職成功ポイント7つ

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50代の薬剤師にとって、今回の転職が人生最後の転職になるかもしれません。
そんな50代薬剤師が、成功だと思える転職をするためのポイントを7つ説明します。

1.なぜいま転職するのかを明確にする

これまで見てきたように、50代での転職はハードルが高いだけでなく、収入が下がることもあり、手放しでおすすめできるものではありません。
そんな状況のなかで転職を成功させるためには、あえて50代のいま転職する理由を自分のなかではっきりさせておく必要があります。

たとえば、50代になって体力の低下を感じて、シフト制のドラッグストアから定時で帰れる調剤薬局への転職を考えるのであれば、給与が下がることは受け入れなければなりません。

人生で最後になるかもしれない転職で、満足できる働き方を手にするためにも、自分のなかで実現させたい優先順位をしっかり確認しておきましょう。

2.「年齢不問」「50代活躍中」の求人を探す

現在は、年齢や性別を限定した募集をすることは原則として禁止されています。
しかし、実際に応募してみたら、長く働いてくれる若い人しか採用するつもりはなかった、という採用側の意向から不採用…というのは、時間のロスになるので避けたいものです。

募集要項のなかに「年齢不問」「50代活躍中」というフレーズがある職場は、50代に対しても採用意欲が高いということです。
50代になると、ポテンシャルを見込んでの採用ということはないので、高年齢の薬剤師を積極的に募集している求人から応募していくようにしましょう。

3.これまでの経験が生かせる職種にしぼる

50代になると、未経験の職種への転職はほぼできないと考えておきましょう。
転職先にとって、50代薬剤師は即戦力としての採用です。また、これまで身につけたスキルを、若いスタッフに伝えてくれることを期待されています。

また、管理薬剤師は不足傾向にあるので、管理薬剤師の経験があってドラッグストアの店長やエリアマネージャーができる、というのであれば転職のチャンスは広がります。

転職先はこれまでの経験が生かせる職種にしぼって探していきましょう。

4.希望年収にこだわりすぎない

50代ですと、まだ家のローンを払わなければならない、子どもの教育にお金がかかる、ということがあるかもしれません。
また、現在の職場で管理職的なポジションにあり、それなりの年収をもらっているという人も多いでしょう。

50代の転職で、前職と同じような年収、あるいは年収アップを求めると、難易度はぐっと上がってしまいます。
とくに、体調のことを考えて転職を考えているような場合は、希望年収にはこだわりすぎないようにしましょう。

逆に、いまは年収を落としたくない、という場合は、まだ転職するタイミングではない、ということかもしれません。

ただ、管理薬剤師の経験がある場合は、調剤薬局の管理職やドラッグストアの店長、エリアマネージャーなどへ、年収アップが期待できる転職ができる場合があります。

5.謙虚な姿勢で臨む

50代は、これまで積み上げたキャリアがあり、現在の職場では、それなりのポジションについている方も多いでしょう。
しかし、新しい職場では、何歳であっても新人で、新しく覚えなければならないこともいろいろあるでしょう。なのに、これまでのキャリアをひけらかすような態度でいると、職場にとって扱いにくい人になってしまいます。

採用担当者から、
「この人ならば採用しても職場の輪を乱さずになじんでくれそうだ」
「若手にこれまでの経験を伝えてよい影響を与えてくれそうだ」
と思ってもらえるように、転職活動には、これまでのキャリアにこだわらず、謙虚な姿勢で臨むようにしましょう。

6.新しいことに対応していく姿勢を示す

現在は、薬局の現場でも、どんどんデジタル化が進んでいます。
処方箋の電子化、オンラインでの服薬指導、データのクラウド管理などにより、業務の効率化が行われています。
しかし、生まれたときからデジタルになじんでいる若い世代と違い、50代の薬剤師は、ついこれまでのやり方で定年まで乗り切りたいと考え、新しい技術に対しては、消極的になりがちです。

50代という条件を不利に感じさせないためにも、職場のデジタル化に対応して、新しい機器を使いこなしていく姿勢があることを、積極的に伝えていくようにしましょう。

7.専門家のサポートを受ける

50代薬剤師の転職が難易度が高いことは、ご理解いただけたかと思います。
自力でハローワークや転職サイトで求人を探すより、薬剤師専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。
転職コンサルタントは、その地域の転職事情を把握していたり、非公開求人を持っていたりします。特に、就職難易度が高い50代の場合は、自力応募より、転職コンサルタントという専門家の力添えが大変有効です。
求人元の希望と、あなたの希望をすり合わせ、双方にアドバイスをしながら、導いてくれます。

無駄な活動をして時間をロスしないためにも、薬剤師専門の転職エージェントの上手な利用を検討してみましょう。

50代薬剤師が転職する理由

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キャリアを積んだ50代の薬剤師が転職を考えるのはどういうときでしょうか。
ここでは、50代薬剤師が転職する理由をご紹介します。

ワークライフバランスを改善したい

50代になると、体力が落ちてきたり、健康面で不安を感じたりして、これまでのような長時間勤務が難しいと感じることが増えてきます。
また、仕事に追われてなかなか取れなかった家族との時間や、自分のための時間を充実させたいと思う方もいるでしょう。
家を建てたり、子どもを育てたりするために、これまではお金を優先していたのが、そういう事情もひと段落して、これからは、私生活を大切にしたい、という価値観の変化が起こる年代でもあります。

50代にとって、ワークライフバランスを改善したいということは、大きな転職の理由になります。

子育てが落ち着いた

とくに女性の場合、50代になり、子育てが落ち着いたために転職する方も多いです。
これまで、子育てのために仕事をセーブしていたけれど、その必要がなくなった、自分の老後のことを考えて、お金を貯めるために、フルタイムで働きたい…などと考えて、転職したいと思うようになるのです。

子どものことで急に呼び出されるような、まわりの都合に振り回されることがなくなるため、転職活動に対して前向きに取り組めることはメリットになります。転職先にとっても採用しやすいといえるでしょう。

定年後のキャリアを考えた

資格職である薬剤師は、定年に関係なく長く働ける職業です。
人生100年と言われるようになり、定年まで働いてそのあとはセカンドライフを楽しむというのではなく、元気に働ける間は働き続けたいと考える人は増えています。
定年になったら辞めなければならない職場で働いている場合、定年を迎えてから、60代で転職をすることは、50代で転職をするよりも、もっとハードルが上がってしまいます。
そのような状況では、定年後も働き続けることのできる職場へ、早めに転職することも一つの選択肢になります。

50代薬剤師、転職への不安

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どんな年齢であっても、転職には不安がつきものですが、50代になると、その不安は大きくなります。
50代が転職で感じる不安には、どのようなことがあるでしょうか。

体力的についていけるか不安

50代の転職の大きな理由になっている体力面の不安ですが、知らない職場で新たに始める仕事に体力的についていけるのか、という不安は、実際に働き始めるまでは、なかなか解消できないでしょう。
リカバリーの難しい50代の転職に、無理は禁物です。
転職コンサルタントは、なかなか事前にわかりにくい裏情報も把握していることがありますので、専門家に頼るのも一つの手です。
転職先の残業時間やシフトなどの勤務状況については、事前にしっかり確認しておきましょう。

新しい技術に対応できるか不安

医療の世界は日進月歩。医薬品やドラッグストアで扱うOTC医薬品についての勉強は欠かせません。
また、電子薬歴のような職場のデジタル化もどんどん進んでいきます。
もう50代だし、そのような新しい情報や技術についていけるのか、と不安に感じる方もいるでしょう。

ただ、大学でしっかり学び、難しい国家試験を突破して資格を手にした薬剤師は、もともとの能力が高いので、たとえ50代であっても、新しい技術を使いこなせるはずです。
わからないことは、同僚が年下であっても、素直に教えてもらう柔軟性をもって、乗り切っていきましょう。

人間関係をうまくやっていけるか不安

仕事をしていくうえで、一番の問題は、人間関係だといえます。
新しい職場に入るのは、いくつになっても不安なものですし、年長になれば、若い人とうまくやっていけるか、心配は尽きません。
年上の人が入ってくるということで、不安を抱いているのは、新しい職場のスタッフも同じです。
転職する側が、謙虚な気持ちで、職場の輪に入っていくようにしましょう。

50代になると、長く働いてくるなかで、職場のスタッフや患者さんなどのまわりの人と、気持ちよく関係をつくるために心がけてきたコツがあるのではないでしょうか。
また、50代では、20代のころのように職場の人とプライベートでも仲よくなるような、深いつきあい方をする必要もなくなります。
職場では、割り切るところは割り切って、大人の余裕で適度な距離感を保ちながら、上手にまわりの人とつきあっていきたいですね。

まとめ

50代の転職は、薬剤師であってもハードルが高くなります。
ただ、薬剤師に対するニーズはこれからも高い状態が続くので、転職先がなくなるということはありません。
自分の体力や状況、これからどんな人生をおくっていきたいのかを考えて、悔いのない転職を成功させてくださいね。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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