【転職アンケート結果】1位はキャリアップのため。薬剤師の転職理由5つ
国家資格を持つ薬剤師は、キャリアの中で転職をすることが珍しくありません。
しかし、同じ転職であっても、その理由はさまざまです。
そこで、現役薬剤師にアンケートを取って、そのホンネをきいてみました。
その結果をもとに、薬剤師が転職を考える理由と、その転職を成功させるコツについて解説します。
薬剤師が転職を考える理由5つ
アンケートの結果をふまえて、薬剤師が転職を考える理由として多いものを5つピックアップしました。
いま具体的には転職を考えていない人も、なんとなく思い当たることはあるのではないでしょうか。
年収や待遇をアップしたい
薬剤師は一般的なサラリーマンに比べると年収が高いと言われています。
確かに、新卒時の給料は一般平均に比べると高いのですが、その後の昇給ペースは大きくありません。
また、調剤薬局や病院は少人数なところが多く、昇進できるポストも限られています。
せっかく仕事ができるようになっても、同じ職場にいる限り、管理栄養士や薬局長への昇進もできず、給料がどのくらいまでしか上がらないのかも見えている。
そんな状況に気づいたとき、年収を上げるには転職するしかないと考えるようになるのです。
人間関係に不満がある
究極のところ、働きやすさを左右するのは人間関係ではないでしょうか。
高圧的な上司がいる、どうしても合わない同僚がいる、といった場合、大きな組織ならば異動や転勤で離れることもできます。
しかし、小さな薬局などのスタッフが固定された職場では、苦手な人と距離を取ることは難しいのが現実です。
また、ドラッグストアだと、薬剤師以外にも、一般の販売員、パート、アルバイトなど、立場が違うスタッフともうまくコミュニケーションを取らなければなりません。もちろんお客様への接客もあります。
多くの人と接するのが苦手なタイプの人にとっては、ストレスのたまる状態だといえるでしょう。
やりがいが感じられないのでスキルアップしたい
同じ職場で長く働いていると、同じような仕事の繰り返しという面が強くなります。特に、小規模な薬局では、扱う処方箋も同じ傾向のものとなり、ルーティンワークにもの足りなさを感じるようになるかもしれません。
また、医療の世界は変化が激しく、日々勉強が必要ですが、仕事が忙しすぎたり、逆に刺激がなかったりして、スキルアップが難しい職場もあります。
病院勤務は最先端の医療に関われるということで人気の転職先です。また、薬局でも大型チェーンのほうが研修制度に関しては充実しています。
ライフスタイルを改善したい
処理しなければならない処方箋が多く、残業が多い職場で働いていると、心身ともにストレスがたまります。
また、ドラッグストアは土日休みではなく、夜遅くまでのシフト制なので、私生活とのバランスがとりにくい、日々の疲れが取れないと感じることもあるでしょう。
また、子どもが産まれたため、子育てとの両立しやすさを求めて転職するケースもあります。
引越しなどによりやむを得ず
現在の職場に特に不満がなくても、結婚して夫の転勤のため仕事を辞めざるを得ないこともあります。
また、実家の都合で帰らなければならなくなった、家族の介護が必要になった、ということも。
そのようにやむを得ない場合でも、薬剤師ならばよい条件で転職しやすいといえます。
アンケートにみる薬剤師の転職理由
実際に薬剤師はどのような理由で転職しているのか、アンケートの結果をご紹介します。
キャリアアップとやむを得ない事情での理由が多い
アンケート集計時期:2024年3月、対象:エムスリー会員薬剤師
薬剤師の転職理由では、「キャリアアップのため」と、「結婚や育児、介護などのやむを得ない理由」で転職している人が多いことがわかります。
そのほかにも、給与への不満、人間関係への不満、勤務時間や通勤時間などのワークライフバランスへの不満も同じくらいあることが目を引きます。
このアンケートからは、引越しなどのやむを得ない状況のときはもちろん、何か不満を感じたときに、そのまま我慢せず積極的に転職していることがうかがわれます。
私はこれで転職しました! ホンネを紹介
次に、アンケートの中から、転職した薬剤師の生の声をタイプ別にご紹介します。
年収や待遇をアップしたい
- 病院で多忙な割に給料が安い。
- メーカー勤務。役職付くまでは薬剤師手当なしと判明。役職者がほぼ同年代のため昇進も見込めないので去った。
- 人手が足りないことを訴えても人員補充をしてもらえず、残業時間が増えると、遠回しにサービス残業するよう圧力をかけられた。
人間関係に不満がある
- 人間関係に疲れた。店舗に頼りにできる人が1人もいなくて孤独だった。
- 残業が多く身体を壊したから。人間関係があまり良くなく、働く人、働かない人、身勝手な人がいたから。
- 上司のパワハラに遭った。辞めるなら代わりを捕まえてこいと言われたが自分がダメと思うところに他の方は紹介できないと言ったら上司にキレられた。
やりがいが感じられないのでスキルアップしたい
- 初めはドラッグストアだった。スキルアップを考え調剤薬局や病院に転職した。
- OTCについても勉強したかったため、調剤薬局からOTCも扱う薬局へ転職。
- 調剤薬局に勤めていたが、病院で経験したいと思い退職願いを提出したら、そこの社長が知り合いの病院を紹介してくれた。
ライフスタイルを改善したい
- 子供の小学校入学に伴い、朝学校へ送り出す時間まで家にいたかったので転職。
- グループ内で条件の合う店舗がなかったため。
- 当直制度が整っておらず、体調を崩すことがあった。有休はとりにくく、給料も高いわけではなかった。
- 病院勤務で、夜勤や残業があり、介護ができなかった。
引越しなどによりやむを得ず
- 家族が転勤族のため、その度に転職している。
- 夫の転勤のため。
- メインで受けていた医院さんの処方枚数が減ってきたため、薬局を閉めることになった。大手のチェーンの1つではあったので、他店への移動も可能だったが、家から通うのに便利なところを探そうと思った。
こうしてみると、実にさまざまな理由で転職していることがわかります。
また、薬剤師は、現在の仕事に不満を感じたときに、その不満を改善する転職先が見つかりやすい職種であることもうかがわれます。
転職を成功させるポイント3つ
では、自分の不満を改善して、満足のいく転職をするにはどうすればいいのでしょうか。
ここでは、転職を成功させるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
転職したい理由を冷静に分析する
もしかしたら、毎日の仕事に100%満足している薬剤師は少ないかもしれません。
誰でも多かれ少なかれ、今の仕事を辞めたい、と思うことはあるでしょう。
そのもやもやした気持ちが大きくなり、転職願望が高まってきたら、自分はなぜ転職したいのかを一度洗い出してみることをおすすめします。
まず、自分が転職したい理由を整理しましょう。転職するのは、給与アップのためなのか、体力的に厳しくなってきたからなのか、人間関係なのか。
次に、その理由をふまえて次の職場に求める条件を書き出し、優先順位をつけましょう。
給与アップを求めるなら、昇進できるポストが多くある大規模なドラッグストアをめざす、シフト勤務が厳しくなってきたのなら、家の近くで定時で終われる薬局を探す、といった具合です。
給与アップをめざすなら仕事はハードになるでしょう。ワークライフバランスを優先するなら給与面では下がるかもしれません。
最初に、転職したい理由と、転職先に求める優先事項を整理しておかないと、転職活動中にブレが出て、定時で帰りたかったはずなのについ給与面で揺れてしまう、ということになりかねません。
また、この部分がしっかりしていると、転職活動を始めてから、履歴書を書いたり、面接したりするときにも、スムーズに対応できるようになります。
転職したい理由をポジティブに転換する
職場を変わりたいということは、多かれ少なかれ現在の職場に不満があるということです。
ただ、いくら客観的にみて妥当であっても、その不満を転職理由としてそのまま転職先に伝えることはおすすめできません。
また、薬剤師の世界では転職は多いとはいえ、一般的に転職にはネガティブなイメージもあります。
転職の動機がネガティブなものであったとしても、実際に動き始めたらポジティブに変換して周囲には伝えるようにしましょう。
転職のプロの手を借りる
転職理由を深掘りすることに行き詰まったり、その理由をどのように志望動機に転換すればいいかに悩んだりしたときは、転職のプロの力を借りてみてはいかがでしょうか。
薬剤師専門の転職エージェントに登録すれば、プロのコンサルタントのアドバイスを受けることができます。
専門職である薬剤師が転職するときには、薬剤師に特化した転職エージェントの利用がおすすめです。
薬剤師ならではの事情をふまえたアドバイスを受けられるだけでなく、一般には出ていない非公開求人を紹介してもらえることもあります。
面接や履歴書ではどう理由を伝えればいい?
実際に履歴書を書いたり、面接で受け答えをしたりする際に、転職の理由をどのように伝えればいいのでしょうか。
ここからは、具体的な伝え方について考えていきます。
ネガティブな理由も妥当な内容に言い換える
先ほども説明したように、転職の理由が人間関係や給料への不満のようなネガティブなものであった場合、そのまま出すことはNGです。
この人を採用すると、この職場でも同じように仕事に不満を持つのではと警戒されてしまいかねません。
ネガティブな理由は、面接官が受け入れやすい妥当な内容に言い換えましょう。
また、あえて触れずに他の面でアピールするという方法もあります。
中心となる転職理由はきちんと伝える
中心となるネガテイブな転職理由をそのまま出すことはおすすめしませんが、自分が転職して実現したいと思っていることについてはきちんと伝えるようにしましょう。
この部分がはっきりしていないと、再び転職先とのミスマッチが起こってしまう可能性があります。
面接のときについ自分を良く見せようとしてしまい、体力面での不安から転職するのに「残業できます」、給与が低いことが不満だったのに「給料は問いません」となどと言うことは避けたいものです。
給与面での不安は「管理薬剤師や店長を目指してキャリアアップしたい」、体力面での不安は「安定して長くこの職場に貢献できる働き方をしたい」というように、表現を選びながらも中心となる理由はきちんと伝えるようにしましょう。
転職先が求めるものと自分の転職理由がマッチするように意識する
こちらに転職先に求めることがあるのと同様、転職先にも「こういう薬剤師に来てほしい」という希望があります。
キャッチボールで相手に投げやすいボールを投げるように、自分が転職先のニーズを満たす人材であることを伝えられれば、採用される確率が上がります。
たとえば、通勤時間を短くするために自宅の近くで転職先を探しているときは、「地元への貢献を運営方針に掲げている御社で働きたい」というように伝えるとよいでしょう。
すぐに使える! 転職理由の書き方例
ここからは、具体的に履歴書や面接で使える転職理由の言い換え方について紹介します。
これらの例を参考にして、自分の状況にあてはめながらアレンジしてください。
年収や待遇に不満があった場合の書き方例
前職ではいろいろな処方箋に触れる機会があり、薬剤師として基本的なスキルを積むことができました。これからも仕事の幅を広げていきたいという希望があるのですが、門前薬局ではこれ以上のスキルアップが難しく、管理職のポストも限られています。御社に入りましたら、調剤業務の幅を広げながら、マネジメント面での研鑽も積んでいきたいと考えております。
人間関係に不満があった場合の書き方例
前職では基本的に上司の指示のもとに仕事を行ってきました。その指導のもとで調剤について基本的なスキルは身につけることができたと考えております。これからは、その枠から出て、自分自身の力で挑戦していきたいと考え、より幅広い仕事ができる御社を志望しております。
スキルアップしたい場合の書き方例
前職は門前薬局だったため、処方箋のバリエーションも限られていて、業務の大半がルーティンワークとなっていました。自分ひとりで薬剤についての勉強をしても、実務に生かして患者様に貢献できないことにもどかしさを感じるようになりました。どんどん進歩していく医学界についていけるように、より幅広い経験ができる環境に身を起きたいと考え、転職を決意しました。
生活環境を変えたい場合の書き方例
結婚をして前職の職場から遠くなってしまったため、転職することになりました。これからは地元で長く働きたいと思っているので、地域に根ざし、介護医療にも力を入れている御社に魅力を感じました。これからは、ますます増える要介護の方のお役に立てるように、訪問看護指導面での経験を積んで、スキルを磨いていきたいと考えております。
円満退社のための退社理由の伝え方
転職先が無事決まったら、今までの職場に退社を告げなければなりません。
いろいろと不満はあるかもしれませんが、「立つ鳥跡を濁さず」。
世間は意外と狭いので、波風を立てずに退社したほうが、結局は自分のためになります。
たとえば、人間関係やスキルアップができないといった、自分の心情的なことが原因であったとしても、家が遠く通勤が体調面でつらくなった、家族の都合で働く時間に制限ができた、といった外的な理由がつけられるのなら、そちらを表に出したほうがスムーズでしょう。
また、具体的な給与や時間のことを口にすると、それを改善するからと引き止めにあう可能性もあります。自分が転職に至った状況をすべて説明する義務はないので、「家庭の事情」「詳細は言えないが私的なこと」などと上手にぼかして伝えることも時には有効です。
退社理由を無難に伝えると同時に、退社が決まったら早めに報告する、しっかり次の人に引き継ぎをする、感謝をもってまわりの人に接する、といったふるまいも、円満退社の鍵になります。
まとめ
転職が一般的な薬剤師ですが、その理由にはさまざまなパターンがあります。
転職を成功させるには、自分のホンネを見つめたうえで、ネガティブな理由もポジティブな方向で変換して活動することが大切です。
この記事を参考にして、ぜひ満足のいく転職を行ってくださいね。
そんな方は、ぜひご相談ください。
転職したいけれど、今の職場のことを考えると、なかなか行動できない。でも、今のままじゃ自分が困る…。
そんな方は、転職コンサルタントに相談してみませんか?
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