薬剤師のための転職・求人コラム

更新日: 2025年7月2日 薬剤師コラム編集部

薬剤師の将来性は?AIの影響で薬剤師の仕事はなくなるの?今後ついて解説

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薬剤師になれば結婚しても子供が生まれても職に困ることはない、そう考えて薬剤師免許を取った人も多いのではないでしょうか。しかし、薬剤師は数が増えて飽和状態になる、AIの発展で職を奪われるのではないか、そんな話も聞こえてきます。
ここでは、本当に薬剤師の仕事はなくなってしまうのか、薬剤師の将来性について考えていきます。

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薬剤師に将来性がないと言われる理由

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薬剤師は医療現場で重要な役割を担っていますが、近年「薬剤師には将来性がない」と聞いたことはないでしょうか。こうした声の背景には、薬剤師の業界や社会の構造的な変化があります。まず、そのように言われる理由についてみていきましょう。

1. 薬剤師が増えて供給過多になる

厚生労働省の調査によると、2020年の全国の薬剤師数は32万3690 人 で、2018年と比べると 1708人、0.5%の増加となっています。
また、2024年の薬剤師国家試験の合格者は9296名 、合格率は68.4% です。

このように、薬剤師の数は増加傾向が続いています。薬剤師は定年に関係なく長く働ける職業であり、新卒に関しても、薬剤師の人気は根強いものがあると言えます。

このような薬剤師の状況から、薬剤師の数が飽和して、過剰になる時代が来るのではないかと言われたりもしています。

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2. AIに業務を代替される

ChatGPTの登場などもあり、AIやロボット技術の進展が注目を集めています。
薬局内でも、全自動分包機のような調剤機器はすでに導入が進んでおり、業務の効率化に役立っています。薬歴管理や在庫管理などにもAIが利用されています。
この流れが進めば、薬剤師の仕事がどんどんAIに代替されて、薬剤師の必要性が低下し、雇用が減るのではないかという懸念が生じています。

3. 薬剤師の業務をほかの人が行える

以前は医薬品に関する業務は薬剤師の独占業務でした。
しかし、医薬品が販売される場所がドラッグストアなどに広がったことなどを受けて、OTC医薬品の販売は登録販売者が行えるようになりました。現在では登録販売者はドラッグストアの主戦力となっています。

2019年には、薬剤師の監督のもとという条件つきですが、非薬剤師のピッキング業務が認められました。
また、海外では認められているファーマシーテクニシャン(調剤助手)の導入についても検討されています。
このような流れが広がれば、薬剤師が担当する業務が減り、薬剤師のニーズが減少するのではないかという不安が生じています。

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では、薬剤師の実情はどうなの?

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ここまで、薬剤師の将来性が不安と感じられる理由として、「薬剤師の数が増えて飽和状態になる」「AIに業務を代替される」「薬剤師業務をほかの人も行えるようになる」という3つをあげました。
しかし、この3つの理由は本当なのでしょうか。
ここからは、実際の薬剤師の現場ではどのような状況にあるのかについてみていきます。

1. 薬剤師の求人倍率

2024年7月の「医師・歯科医師・獣医師・薬剤師 」の有効求人倍率は2.12倍となっています。2016年には6倍を超えていたので、それに比べると下がったように思われるかもしれません。しかし、全体の有効求人倍率は1.11 なので、薬剤師の求人倍率は一般に比べると依然として高いと言えます。

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また、薬剤師は薬学部のある大学が都市部にあることもあり、都市部に多く、地方には少ないという特徴があります。都市部では薬剤師数が飽和状態となっており、求人倍率が低下していますが、地方では薬剤師不足が問題視されています。
このように薬剤師の数は地域ごとの差が大きく、求人状況にも違いがあります。

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2. 登録販売者の増加

セルフメディケーションの推奨などもあり、登録販売者が働く場所は広がっています。ドラッグストアでも、OTC医薬品の販売においては登録販売者の比重が高まっています。
しかし、医師の処方箋に基づく調剤業務は薬剤師にしかできません。ドラッグストアでは、OTC販売だけでなく調剤も併設した店舗が増えています。そのような店舗で必要とされるのは薬剤師です。

また、登録販売者が扱えるのは第2類と第3類医薬品だけで、要指導医薬品と第1類医薬品が販売できるのは薬剤師だけです。
このように、登録販売者が増えたとしても、薬剤師のニーズが減ることはありません。

3. ピッキングなどを薬剤師以外が行える

先ほど解説したように非薬剤師のピッキング業務が認められたため、調剤薬局や病院では、調剤のピッキングや薬品の管理業務を薬剤師以外のスタッフが行うケースが増えています。
しかし、これは薬剤師の業務を奪うというよりも、ピッキング業務をほかのスタッフに任せることで、薬剤師は監査や服薬指導などの付加価値の高い業務に専念できるようになるメリットが大きくなっています。

4. AIやITの普及

AIやITの普及も、薬剤師の仕事に多くのメリットをもたらしています。
調剤業務においては、AIを活用した調剤ロボットが作業効率を向上させています。また、電子薬歴システムでは、患者の服薬履歴やアレルギー情報を即時に参照できるため、より適切な薬剤選択や服薬指導が可能です。

さらに、遠隔医療分野では、ITを活用したオンライン服薬指導が可能となり、地理的制約を超えて患者のサポートが実現しています。通院の難しいへき地の患者さんや在宅で介護が必要な方に対しても、質の高いサービスを提供することができます。

今後は、自動ピッキングシステムが導入され、薬の調剤ミスを大幅に減らすことや、AIの自然言語処理技術を利用した薬剤情報検索システムにより情報提供業務を支援することなどが期待されています。

しかし、患者さんと話しながら病気の状況を聞き取り、適切な服薬指導を行うといった薬剤師の中心となる業務は、AIやITで代替することはできません。
AIやITは薬剤師がより重要な業務に集中することをサポートするツールであり、薬剤師の仕事を奪うような存在にはならないと言えるでしょう。

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【職場別】薬剤師の将来性

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薬剤師の将来性は働く場所によって違いがあるのでしょうか。ここからは、主要な職場ごとの将来性について解説します。

1. 病院

病院薬剤師は、患者の治療を支援する専門性の高い役割を担っています。特に、抗がん剤の調製やTDM(治療薬物モニタリング)など、高度な専門知識が必要な業務はAIで代替することは難しいでしょう。

また、病院での仕事においては、医師や看護師などと連携したチーム医療の重要性が増しています。病気で入院している患者さんに対しては、身体面だけでなく心の面でもきめ細やかなケアが必要となります。
このような高い専門性とコミュニケーション能力が必要とされる病院においては、薬剤師のニーズは安定していると言えます。

2. 調剤薬局

先ほどみたように、調剤薬局では、調剤ロボットの導入などによって、単純な調剤業務は効率化されつつあります。AIに代替されるようなスキルしかない薬剤師は将来が保証されないかもしれません。

しかし、AIをうまく利用すれば、薬剤師は患者さんのケアという本来の仕事により集中することができます。
これからの時代は、かかりつけ薬剤師制度の推進や在宅医療の需要増加により、薬剤師が地域で担う役割が拡大していきます。患者さんときめ細やかにコミュニケーションをとることができ、在宅医療に関するスキルを持つ薬剤師が、調剤薬局では今後ますます必要とされるでしょう。

3. ドラッグストア

ドラッグストア業界は成長を続けており、店舗数も増加しています。また、大手ドラッグストアチェーンでは、調剤併設型店舗も増えています。
このような状況から、ドラッグストアにおける薬剤師の需要が高まっています。

しかし、ドラッグストアは薬剤師の就職先として、病院や調剤薬局ほど人気がありません。年中無休で長時間営業であることも、薬剤師の確保を難しくしています。
そのため、ドラッグストアにおける薬剤師のニーズは高く、将来性もあると言えます。
今後は調剤スキルとともに、セルフメディケーション支援が求められる場面が増えるでしょう。

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薬剤師としての将来性を高めるために必要なこと

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ここまで見てきたように、薬剤師のニーズがなくなることはありません。ただ、個人として薬剤師としての将来性を高めるためには、従来の業務だけでなく、新しい知識やスキルを積極的に習得することが求められます。

1. 資格を取る

将来にわたって必要とされる薬剤師になるためには、専門性の高い資格を取得することが有効です。ただ毎日のルーティンワークを繰り返すのではなく、仕事に関連して、専門性を証明する資格を取得することで、キャリアアップの可能性が広がります。

また、転職を考えている場合は、転職先で役立つ資格を取るのもよいでしょう。認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取ることで、特定の分野でより専門的なスキルを持っていることをアピールできます。

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2. かかりつけ薬剤師を目指す

かかりつけ薬剤師も現在ニーズが高まっています。
かかりつけ薬剤師になるためには「薬局勤務経験が3年以上」「同一の薬局で1週間に32時間以上勤務していること」といった要件を満たす必要がありますが、かかりつけ薬剤師に指名されることは、勤務先の薬局にとってもメリットが大きいことであり、薬剤師としての価値を高めてくれるでしょう。

3. 在宅医療のスキルを身につける

高齢化が進む中、在宅医療の需要は拡大しています。在宅医療では、患者宅を訪問し、薬の管理や服薬指導を行う薬剤師は重要な存在となっています。
医師や看護師と適切に連携を取りながら在宅医療に対応できる薬剤師は、今後の医療現場でますます重宝されるでしょう。

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まとめ

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薬剤師の将来性に対する懸念が語られることがありますが、ここまで見てきたように、単なるイメージで語られている面が強く、薬剤師の実態とは合っていません。
薬剤師の現場で起きている変化は、基本的には薬剤師の業務の負担を軽減して、より重要な仕事に力を注ぐことをサポートするものです。

AIが発展し、登録販売者が増加する一方で、かかりつけ薬剤師や在宅医療など、薬剤師にしかできない分野の需要は拡大しています。
これからの薬剤師には、専門性を深める資格取得や、新しい医療スキルを磨いていくことが求められます。

時代の変化に柔軟に対応し、自らの価値を高める努力を続けることが、薬剤師としての将来性を確保するためには大切だと言えるでしょう。

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