薬剤師の約3割が仕事のやりがいに疑問あり…やりがいを感じにくい理由とは


薬剤師として患者さんの健康を支えたい、かかりつけ薬剤師になって地域の人から頼りにされたい、そんな夢や目標を持って働き始めたはずなのに、日々の業務に忙殺され、いつの間にか何のために働いているのかわからなくなってはいませんか?
ルーティンワークが多くなり、仕事におもしろさを感じられなくなっている人もいるかもしれません。
仕事にやりがいが感じられない、そんな人はぜひこの記事を読んで、もう一度薬剤師の仕事の魅力を確認してみましょう。
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薬剤師が仕事に感じるやりがいとは

薬剤師のみなさんにアンケートを取ったところ、約3割の方が「やりがいを感じていない」「どちらかといえばやりがいを感じていない」「どちらともいえない」と回答しました。
薬剤師アンケート「今の仕事にやりがいを感じていますか?」結果

薬剤師アンケート「今の仕事にやりがいを感じていますか?」結果/薬剤師コラム作成
では、薬剤師が仕事にやりがいを感じるのはどんなときなんでしょうか?
日々の仕事のなかにあるやりがいを具体的にみていきましょう。
患者さんの健康に貢献できる
自分の専門分野である薬を通して患者さんの役に立てる、これこそが薬剤師にとっての大きなやりがいでしょう。
薬剤師は国家資格を持つ薬の専門家です。
調剤や服薬指導だけではなく、セルフメディケーションへの対応、バイタルサインなどの健康チェック、在宅医療の支援等、さまざまな場面で患者さんの健康を支える役目を担います。
薬の扱いについては小さなミスも命取りになりかねないため、責任や緊張が伴いますが、それを担えるのも薬剤師だからこそ。
自分の専門分野を生かして患者さんの健康維持に貢献できることは、大きなやりがいや充実感を与えてくれます。
患者さんから直接感謝される
服薬指導やセルフメディケーション対応など、薬剤師は患者さんと直接コミュニケーションを取る機会が多い仕事です。
自分の説明に納得してもらえたり、患者さんの不安を解消することができたりしたときなど、「ありがとう」と感謝されることもしばしばあるでしょう。
患者さんから頼りにされ、いろいろな相談を受けることもあります。
自分の仕事に対して直接感謝されたり、頼りにされたりするのは嬉しいことです。
仕事へのモチベーションもぐっと上がることでしょう。
医療の進歩を感じながら働ける
医療の世界は日々進歩しており、新しい治療法や新薬の開発など、変化もあります。
薬剤師は、そのような最先端の医療情報に直接触れ、知識をアップデートしていくことができます。大学で6年間学び、国家試験のための勉強をクリアしてきた薬剤師は、新たな知識を勉強し、それを実践していくことに手応えを感じる人が多いといえます。専門性を高めるためのスキルアップは大きなやりがいにつながるでしょう。
また、日々の仕事の中で得た知識やスキルをさらに磨くことで、資格取得やキャリアアップにも役立てることができます。
給与や待遇がよい
薬剤師は高収入であると言われます。
実際に厚生労働省のデータを見てみると、令和6年度の薬剤師の平均年収は599万円となっています。
一般労働者の平均年収が418万円ですので、薬剤師は一般に比べるとかなり高年収であるといえます。
また、同じ医療関係者である看護師の平均年収は520万円でした。この結果から、医療関係者の中でも薬剤師の待遇は比較的よいことがわかります。
給与や待遇のよさは、働く上で大きなモチベーションになるでしょう。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」
※薬剤師、看護師の平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和6年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表2 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移/令和6年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている
ライフステージに合わせて働き方を変えられる
薬剤師資格は国家資格のため、転職や再就職が比較的しやすいのが特徴です。
そのため、生活の変化に合わせて働き方を柔軟に変えやすいという魅力があります。
たとえば女性の場合、結婚や出産などのライフスタイルの変化に合わせて、正社員から時短勤務、パート・アルバイトなどに働き方を変え、子育てが終わった時点で再び正社員として再就職するということも可能です。
家庭の事情で引っ越しが必要になった場合、引っ越し先で新しい職場を探すこともできます。
ライフステージに合わせて働き方を柔軟に変えられるため、無理せず長く働き続けることができます。
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薬剤師の職種によってやりがいは違う

ここまでは薬剤師に共通するやりがいについて見てきました。
薬剤師は、調剤薬局や病院、ドラッグストア、企業など、さまざまな場所で働いています。
それぞれの職種によって仕事の内容は異なりますし、それに応じてやりがいの感じ方にも違いがあります。
ここからは、薬剤師の職種別のやりがいについて解説します。
調剤薬局
調剤薬局でのやりがいは、患者さんとコミュニケーションを取りながら、一人ひとりの健康サポートに深く関われることです。
調剤薬局では医師の処方箋をもとに調剤し、患者さんに服薬の仕方や副作用について、わかりやすく説明します。
その際、今抱えている症状についての不安や疑問点などを上手に聞き取り、患者さんの心情に寄り添いながら不安を解消できるようにサポートするのが薬剤師の役目です。
たとえば患者さんから医師には直接聞きにくいことも、薬剤師が間に立つことで、患者さんと医師との意思疎通がスムーズにいくこともあります。
在宅医療が必要な患者さんへの支援など、地域医療の担い手として活躍できるのも調剤薬局ならではのやりがいといえるでしょう。
病院
病院薬剤師のやりがいは、チーム医療の一員として患者さんの治療計画に直接関わり、患者さんの回復具合を間近で見られる喜びが得られることです。
入院患者さんとは長期的な関わりを持つことになるため、信頼関係を構築していく過程もやりがいの1つでしょう。
医師や看護師、他の医療スタッフから薬剤についての意見を求められる場面も多く、薬剤の専門家として活躍しているという充実感が得られます。
臨床の現場で、最先端の高度な医療に触れることができますし、また、点滴剤や注射剤、抗がん剤の調剤など、一般の調剤薬局では得られない専門スキルを学ぶことができるのも、病院勤務の大きな魅力です。
ドラッグストア
ドラッグストアでのやりがいは、OTC医薬品等の知識を生かして患者さんのセルフメディケーションに貢献できることです。
処方箋に基づく調剤業務とは違い、ドラッグストアでは薬剤師が自分の判断で患者さんの症状に合ったOTC医薬品などを選び、提案することができます。これは一般の調剤薬局や病院勤務では得られない経験でしょう。
また、未病対策として、健康食品やサプリメントについて患者さんの相談に乗ったりアドバイスをしたりすることも、ドラッグストアならではの仕事です。
自分が持つ知識やスキルで、直接患者さんの健康をサポートできるという実感は、大きなやりがいを感じさせてくれるでしょう。
製薬会社
製薬会社でのやりがいは、新薬の開発や普及により、医療全体の進歩に貢献できることです。
他の職種の薬剤師のように、患者さん一人ひとりに寄り添ったり直接関わったりする機会はありませんが、自社が開発した薬により、日本中の患者さんの健康を支えることができることは、薬剤師にとって大きな喜びとなります。
自分が研究や開発に携わった新薬なら、なおのこと喜びも増すでしょう。
また、医師や薬局薬剤師に、薬剤の効能や副作用などの正しい情報を伝え、安全な薬物治療が行われるようサポートすることも、製薬会社の大事な役割です。
研究や開発だけではなく、薬剤の流通や情報提供という面からも医療に貢献できる点にやりがいを感じる人もいます。
薬剤師がやりがいを感じられなくなる理由

薬剤師にはさまざまな職種があり、それぞれの職種によってやりがいの感じ方は違います。
ただ、どの職種でも、長く働いているうちにふとやりがいを見失ってしまうことがあるかもしれません。
薬剤師が仕事にやりがいを感じられなくなるのはどんな理由によるのでしょうか。
仕事がルーティンワークに感じられる
一日の仕事がルーティンワークと化してしまうと、単調な繰り返しの作業に思えてやる気を失ってしまうことがあります。
たとえば調剤薬局では、調剤、監査、服薬指導という業務を、一日中何度も繰り返すことになります。
持ち込まれる処方箋が同じような内容のものばかりだと、服薬指導の内容もほぼ同じになり、ますます単調なものに思えてしまうかもしれません。
このままでは自身のスキルアップを図ることも難しく思えて、やりがいを感じられなくなってしまうのです。
業務量が多く、忙しい
薬剤師の人数に対して業務量が多すぎることも、やりがいを失ってしまう原因になりがちです。
患者さん一人ひとりに丁寧に応対したくても、忙しすぎると余裕がなくなったり、事務処理が溜まってしまって残業が発生したりと、思うような仕事ができないことにストレスが溜まります。
担当する仕事が多岐に渡り、やることが多すぎる場合も、同じようなストレスを抱え込みがちです。
忙しすぎると、当初思い描いていたような患者さんに寄り添う働き方ができなくなり、結果としてやりがいを見失ってしまうことがあります。
人間関係でトラブルがある
薬剤師は限られたスペースの中、少人数の同じメンバーで仕事をすることが多い職業です。
そのため、もし職場内の人間関係にトラブルが発生すると、非常なストレスを抱えながら働くことになりかねません。
性格的に合わない人や、仕事のスタイルが相容れない人が同じ職場にいると、モチベーションを保つのが難しく感じられ、仕事そのものが苦痛になることもあります。
そうすると、仕事へのやりがいも感じられなくなってしまうのです。
給与に不満がある
業務内容に対して給与の金額が見合っていないと感じると、仕事へのモチベーションが下がってしまいます。
前述したように、薬剤師は基本的には高収入の職業です。
しかし、責任の重さや業務の忙しさに対する評価や手当が低いと感じると、やはり不満を抱えることになるでしょう。
また、昇給の見込みがない職場だと、将来への不安を感じずにはいられません。
その結果、どうしても仕事へのやりがいが薄れてしまいがちになります。
薬剤師がやりがいを感じられなくなったときの対処法

仕事にやりがいを感じられなくなる瞬間は、誰にでも訪れる可能性があります。
もし、薬剤師の仕事にやりがいを感じられなくなったときには、まずは次のことを試してみてはいかがでしょうか。
患者さんに感謝されたことを思い出す
薬剤師がもっともやりがいを感じる瞬間は、患者さんから直接感謝されるときではないでしょうか。
他にもさまざまな場面でやりがいを感じることはあると思いますが、直接「ありがとう」と感謝の言葉をもらうときほど嬉しい瞬間はないと思います。
仕事にやりがいが感じられずつらい気持ちになったときは、多くの患者さんから感謝されたときの嬉しさを思い出してみましょう。
患者さんのために、もう一度がんばってみようと思えるかもしれません。
休暇を取って心身をリフレッシュする
仕事にやりがいが感じられないのは、積み重なった過労により、精神的な疲れが溜まってしまっているせいかもしれません。
忙しすぎると気持ちに余裕がなくなり、どうしてもつらいことばかりに目が向きがちになるものです。
そんなときは無理をせずに、思い切って休暇を取ってみるのもよい方法です。
仕事から離れ、好きなことをしてゆっくり過ごしてみましょう。
心身ともにリフレッシュすれば、自然ともう一度がんばる気持ちが湧き出てくることもあります。
信頼できる人に話を聞いてもらう
1人で悩んでいるだけでは、客観的な判断をすることが難しい場合もあります。
周りに信頼できる先輩や同僚がいれば、今の状況を話してみるのも1つの方法です。
他の人の意見を聞くことで、自分の置かれた状況を冷静に見ることができますし、自分では思いつかなかった対処法を知るきっかけにもなります。
たとえ解決策が見つからなかったとしても、同じような悩みを持つ者同士で話をすることで、意外にも気分がすっきりし、気力が湧いてくることもあります。
薬剤師になろうと思った理由を考える
自分が薬剤師になろうと思ったきっかけを覚えていますか?
なぜこの仕事を選んだのか、もう一度じっくりと考えてみましょう。
薬剤師として働き始めた当初の意気込みや目標を思い出してみるのもいいでしょう。
新人のころと今とでは、薬剤師の仕事について思い描くものは違っているかもしれませんが、経験を重ねたからこそ深く掘り下げられる部分もあるでしょう。
初心を思い出すことで、次のステージに向かうという目標が見えてくるかもしれません。
一度、仕事を変えてみる
気持ちをリセットしようといろいろな方法を試してみても、やはりうまくいかない場合は、思い切って仕事を変えてみてはどうでしょうか。
新しい環境に身を置くことで、また新たなやりがいを見つけられるかもしれません。
前述したように、薬剤師の資格を生かせる職場はたくさんありますし、国家資格を持つ薬剤師の転職は比較的スムーズにいくことが多いです。
まずは自分に合った環境、自分に合った働き方を探すことから始めてみましょう。
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まとめ

薬剤師の仕事の魅力は、薬を通して患者さんの役に立てること、そして患者さんから直接感謝してもらえることです。
さらには地域医療や在宅医療の推進といった、国全体が抱える課題についても貢献することができる仕事です。
ただ、日々の仕事が忙しすぎたり、あるいは単調すぎてマンネリ化したりしてしまうと、やりがいを見失うこともあるかもしれません。
そんなときには無理せずしっかり休んで、一度自分の状況を客観的に見直してみましょう。
薬剤師がやりがいを感じながら働き続けるには、モチベーションの維持が大切です。
自分のモチベーション維持には何が必要なのか、いろいろな意見を参考にじっくり見極め、もう一度やりがいを持って働ける方法を探しましょう。
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