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薬剤師のための転職・求人コラム

更新日: 2025年12月19日 薬剤師コラム編集部

かかりつけ薬剤師の役割や業務内容、かかりつけ薬剤師になるための条件

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かかりつけ薬剤師制度は、高齢化が進む社会のなかで患者さんの健康と安全を守るために、2016年に導入された制度です。
薬剤師の業務は「対物から対人へ」とシフトし、地域のなかで患者さんを支えることが求められています。

この記事では、かかりつけ薬剤師の役割、業務内容、かかりつけ薬剤師になるための条件、そしてメリット・デメリットについて詳しく解説します。
また、患者さんにとってかかりつけ薬剤師は「いらない」存在なのか、その必要性についても考察します。

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かかりつけ薬剤師とは

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かかりつけ薬剤師制度は、患者さんが特定の薬剤師を指名し、継続的に薬学的管理や指導を受けられる仕組みです。この制度により、患者さまは専属の「お薬パートナー」を持つことができます。

かかりつけ薬剤師が導入された理由

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従来、高齢者を中心に、異なる病院で処方された薬の飲み合わせや多剤管理、薬の飲み残しなどが問題視されていました。
社会のなかで高齢者の割合が増加し、医療費の増大が続くなかで、高齢者の健康管理と医療費の抑制という面で、薬の一元管理を求める声が高まりました。

そのような社会的背景のもと、かかりつけ薬剤師制度は、多剤・重複投薬の防止、副作用の早期発見、そして患者さんの健康維持・増進を目的として導入されました。

かかりつけ薬剤師の役割

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かかりつけ薬剤師は、1人の患者さんに対して薬剤師1人が担当することになりますが、その業務内容は多岐にわたります。
ここでは、かかりつけ薬剤師が果たしている役割についてみていきましょう。

服薬情報の一元的・継続的把握

高齢になると、1人の患者さんが複数の病院で診察を受け、薬を処方されることが増えます。これまでは、診察を受けた病院の門前薬局で薬を受け取ることが普通だったため、似たような効用の薬が重複したり、飲み合わせの確認が不十分だったりという問題がありました。

かかりつけ薬剤師は、患者さんのすべての服薬情報を一元的に管理します。これにより、重複投薬や相互作用のリスクを軽減し、薬物服用の安全性を高めます。

24時間対応・在宅対応

調剤薬局が開いているのは、通常、平日と土曜日の昼間となっています。それ以外の時間に患者さんに何か問題が起こっても、薬剤師が対応することは難しい状況でした。
かかりつけ薬剤師を持てば、患者さんは夜間や休日でも薬に関する相談をすることができます。

また、薬局に来ることが難しい患者さんに対しては、必要に応じて在宅での服薬指導も行います。

医療機関等との連携

かかりつけ薬剤師は、患者さんがかかっている医療機関や他の医療従事者と密接に連携し、患者さんの健康状態や治療経過について情報を共有します。

また、在宅介護を受けている患者さんについては、医療機関に加えて介護事業者との連携も行います。患者さんは在宅であっても安心して介護や医療を受けることができるのです。

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かかりつけ薬剤師の業務内容

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では、かかりつけ薬剤師は実際にどのような業務を行うのでしょうか。
ここでは、その仕事内容について詳しくみていきましょう。

かかりつけ薬剤師の業務は、従来の薬の調剤と服薬指導中心の対物業務から、患者さま中心の対人業務へと変化しています。

一元的な服薬管理

かかりつけ薬剤師は、患者さんが病院から処方されたすべての処方薬の情報を把握し、一元的に管理します。状況に応じて医師と連絡を取りながら、薬の重複や相互作用のリスクを最小限に抑えます。

また、かかりつけ薬剤師が把握しているのは病院の処方薬だけではありません。一般の市販薬、健康食品、サプリメントなどについても確認し、患者さんの健康を総合的にサポートします。

患者さんの相談に応じる

かかりつけ薬剤師は、単に薬を渡して、服薬時の注意点を伝えて終わりではありません。薬の効果や副作用、健康維持に関する相談など、患者さまのさまざまな疑問や不安に対応します。

患者さんは、医師に対しては気後れしてしまって必要なことがきけないまま診察を終え、薬剤師にいろいろな疑問を伝えられることがあります。また、診察後に疑問が生じることもあれば、日常生活のなかで不調を感じて、どう対処すればいいかわからないこともあるでしょう。

そのような患者さんが気楽に相談できる相手がかかりつけ薬剤師です。

また、患者さんの相談に応じるなかで問題を感じたときは、医療機関への情報提供や処方提案も行います。

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かかりつけ薬剤師になるための条件

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かかりつけ薬剤師になるためには、以下の条件を満たす必要があります。

3年以上の薬局勤務経験がある

かかりつけ薬剤師になるためには、少なくとも3年以上の保険薬局勤務が必要です。
なお、病院などの保険医療機関で勤務経験が1年以上ある場合は、1年を上限とし保険薬剤師としての勤務経験の期間に含めることができます。

同一薬局に週32時間以上勤務している

患者さんと安定してコミュニケーションをとるために、勤務している薬局での32時間以上の勤務時間が求められます。

なお、育児や介護のために短時間勤務をしている場合、ほかにかかりつけ薬剤師がいる薬局であれば、週 24時間以上かつ週4日以上の勤務でも認められます。

該当の薬局に1年以上在籍している

地域に根ざした存在であることが求められるので、勤務先の薬局に1年以上継続して在籍している必要があります。

認定薬剤師の資格を取得している

薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していることも必要です。
かかりつけ薬剤師をめざす場合は、計画的に取得しておきましょう。

医療に関わる地域活動に参加している

地域ケア会議や地域の行政機関や医療・介護関係団体等が主催する住民への研修会、学校関連などの、医療に関わる地域活動に積極的に参加することも求められています。

単に薬局内で調剤業務を行っているだけではなく、地域医療への貢献や他の医療従事者との連携が重視されています。

これらの条件からわかるように、かかりつけ薬剤師になるには地域に根ざして一定以上の時間勤務していることが求められます。
将来的な見通しを持ってかかりつけ薬剤師を目指していきましょう。

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かかりつけ薬剤師になるメリット

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このように、かかりつけ薬剤師になるにはある程度の時間と、継続的な患者さんや地域とのかかわりが必須となります。
では、このように準備してかかりつけ薬剤師になることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

かかりつけ薬剤師になると、次のようなメリットがあります。

年収がアップする

かかりつけ薬剤師は、患者の服薬状況を一元的に把握し、継続的な服薬指導を行うことで「かかりつけ薬剤師指導料」を算定できます。この指導料は、通常の薬剤服用管理指導料よりも高い点数が設定されているので、勤務している薬局にとってはメリットになります。

かかりつけ薬剤師関連の診療報酬には、そのほかにも、「かかりつけ薬剤師包括管理料」や「地域体制加算」などがあります。

かかりつけ薬剤師はこのように薬局への貢献度が高いため、かかりつけ薬剤師になると給与アップが期待できます。

やりがいが感じられる

かかりつけ薬剤師は、患者さんに指名されて初めてなることができます。患者さんとの深い信頼関係のもとで健康をサポートすることに、薬剤師としてのやりがいを感じられます。

転職に有利

薬局は、かかりつけ薬剤師が在籍することでかかりつけ薬局となることができます。
薬局にとってかかりつけ薬剤師はとてもありがたい存在なのです。

かかりつけ薬剤師として活躍した経験は、転職活動のときに強いアピールポイントになり、採用に結びつきやすいでしょう。

かかりつけ薬剤師になるデメリット

かかりつけ薬剤師は、なるためのハードルや責任が重いぶん、デメリットもあります。

24時間対応が求められる

かかりつけ薬剤師は、患者さんからの緊急の相談に備え、24時間体制での対応が必要となります。薬局全体で体制を整えるため、休みが無いなど、一人に負担がかかることは無いですが、心理的には負担を感じることがあるかもしれません。

スキルアップが必要

かかりつけ薬剤師は、患者さんのさまざまな相談に応え、健康状態をフォローするため、継続的に医療の知識を学んでいく必要があります。

また、かかりつけ薬剤師になる条件のなかにある研修認定薬剤師の資格は、3年ごとに更新する必要があります。
更新するためには研修に参加して単位を取得しなくてはなりませんし、費用もかかります。

このように、かかりつけ薬剤師になるには心理的、経済的な負担も伴います。

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患者さんがかかりつけ薬剤師を持つメリット

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かかりつけ薬剤師を持つことは、国によっても推奨されていることですが、患者さんに「いらない」と思われてしまうこともあります。
ここでは、患者さんにとってかかりつけ薬剤師はどのような存在なのかを深掘りしていきます。

まず、患者さんがかかりつけ薬剤師を持つとどのようなメリットがあるかを確認してみましょう。

服薬情報を一括管理してもらえる

複数の病院からいろいろな薬を処方されていても、すべての薬の情報を一元管理してもらうことができます。自分で覚えていたり、家族がすべて管理したりすることが難しくても、専門家である薬剤師に把握してもらえることで、安心して治療に臨めるでしょう。

休日や夜間でも薬の相談ができる

かかりつけ薬剤師には、24時間、休日や夜間であってもいつでも薬に関する相談ができます。急に体調が悪くなったりしても、気心の知れた薬剤師にまず相談できるので安心です。

継続して健康管理をしてもらえる

定期的な服薬状況の確認や健康相談を通じて、継続的な健康管理が可能になります。
在宅介護の場合は、自宅を訪問して残薬のチェックを受けるといったこともできます。
また、医師や介護関係者とも連携を取りながら包括的にフォローしてもらえます。

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なぜ?「かかりつけ薬剤師はいらない」という患者さん

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かかりつけ薬剤師には前述したようなメリットがあるにも関わらず、かかりつけ薬剤師を「いらない」と患者さんが思うのには、どのような理由があるのでしょうか。

費用がかかる

かかりつけ薬剤師指導料として、追加の費用が生じます。これが患者さんにとって負担に感じられることがあります。

あまり病院にかからない

健康であまり病院にかかることがなかったり、継続して薬を飲んでいなかったりする人にとっては、必要性を感じにくいかもしれません。

かかりつけ薬剤師を1人に絞らなければならない

複数の病院にかかっている場合、それぞれの門前薬局で薬をもらったほうが便利だと感じられるかもしれません。

複数の薬局を利用することを負担に感じず、逆に、わざわざかかりつけ薬局を決めたり、担当者を1人の薬剤師に限定したりすることのほうが面倒だと感じる患者さんもいます。

このように、かかりつけ薬剤師が存在する意味は患者さんに伝わりづらい面がありますが、かかりつけ薬剤師は、患者さんの健康と安全を守る重要な役割を担っています。特に、複数の疾患を持つ方や高齢者にとっては、一元的な服薬管理や継続的な健康相談が可能になるため、大きなメリットがあります。

患者さんに、かかりつけ薬剤師に指名していただくには

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患者さんにかかりつけ薬剤師に指名していただくためには、まず質の高いサービスを提供することが大切です。
丁寧な服薬指導と分かりやすい説明を心がけ、患者さんの質問や相談に親身に対応し、信頼関係を築いていきます。

また、病院で処方された薬だけでなく、薬局で購入する市販薬も含めた包括的なフォローができることも伝えられるといいでしょう。
病気やけがで困ったことがあればかかりつけ医を頼るように、薬のことはかかりつけ薬剤師を頼るメリットを感じていただくことが重要になります。

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まとめ

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かかりつけ薬剤師制度は、患者さんの健康と安全を守るために重要な役割を果たしています。

薬剤師にとっては、より専門的なスキルと責任が求められる一方で、収入アップに結びつくやりがいのある仕事として魅力的です。患者さんにとっても、一元的な服薬管理や24時間の相談対応など、多くのメリットがあります。

今後、高齢化社会がさらに進展する中で、かかりつけ薬剤師の役割はますます重要になっていくでしょう。この制度の意義を十分に理解し、患者さんの健康維持・増進に貢献していくことが期待されています。

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