薬剤師と管理栄養士のダブルライセンスは有利?メリットや注意点を解説
キャリアの幅を広げるダブルライセンスとして、この記事では薬剤師の資格と親和性の高い「管理栄養士」に注目しました。
資格取得に必要なステップや学費(教育訓練給付金制度の利用も)、キャリアビジョンを明確にするといった注意点まで、次のステージを目指す薬剤師の検討材料として「管理栄養士」を詳しく紹介します。
薬剤師の転職はこちら
(エムスリーキャリア)
管理栄養士の魅力
薬剤師のダブルライセンスとしておすすめの「管理栄養士」資格について詳しくみていきましょう。
管理栄養士とは
管理栄養士とは、栄養学の専門知識をもとに、食事による健康の維持・改善を支援する国家資格です。
病院・学校・介護施設・企業など、活躍の場は非常に広く、食事指導や献立作成、栄養管理などを行います。
特に病院では、糖尿病・高血圧・脂質異常症など生活習慣病の患者に対して、医師・薬剤師と連携して食事療法の指導を行う重要な役割を担っています。
管理栄養士の仕事内容
管理栄養師の主な仕事内容は以下の通りです。
- 病院での入院患者への栄養指導や食事管理
- 介護施設での高齢者向け献立作成、嚥下機能に応じた食事の提供
- 保健センターでの健康相談、食生活改善指導
- 企業でのメニュー開発や特定保健用食品の研究
- 学校給食の計画、衛生管理
管理栄養師は子どもから高齢者までさまざまな場面で健康をサポートする仕事です。
薬剤師が管理栄養士の資格を取るメリット
薬剤師が管理栄養士資格を取得することにはさまざまなメリットがあります。
まず、薬物治療と食事療法を総合的に支援することが可能となります。
糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病では、薬物療法と食事療法が治療における車の両輪です。
管理栄養士の知識があれば、単に薬を出すだけでなく、「この薬は食前に飲むと効果的だが、その食事内容をどうするか」というところまで踏み込んだ、一歩先の指導が可能になります。
薬のなかには特定の栄養素の吸収を妨げたり、逆に作用を促進したりするものがあります。栄養学の知識を持つことで、薬の効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためのより詳細な指導を行うことができます。
薬剤師は病気になってからの治療が中心になりがちです。
しかし、管理栄養士として活動することで、病気になる前の予防や健康増進に関わることができます。より広い範囲で人々の健康に貢献できるといえるでしょう。
薬剤師と管理栄養士という二つの専門領域を持つことで、企業における健康食品やサプリメントの開発といった、薬学と栄養学の知識が同時に求められる分野で活躍することもできます。
このように、管理栄養士の資格をとることによって、薬剤師のキャリアの専門性と柔軟性が高まります。
管理栄養士になるには
では、管理栄養士の資格を取るにはどのようなステップが必要なのでしょうか。
気になる学費や取得にかかる時間なども含めて確認してみましょう。
管理栄養士になる方法
管理栄養士は、栄養学の領域で唯一の国家資格です。
そのため、管理栄養士になるには、国家試験に合格する必要があります。
管理栄養士になるには、まず栄養士の資格を取らなければなりません。
そのうえで、毎年1回実施される管理栄養士国家試験に合格する必要があります。
そのためのルートは主に以下の2つです。
1 管理栄養士養成課程(4年制大学)を卒業し、国家試験を受験する
2 栄養士養成課程(2年制または3年制の専門学校・短大・大学)を修了して栄養士となり、実務経験を経て国家試験を受験する
薬剤師免許を持っていても、管理栄養士国家試験の受験資格は得られません。
管理栄養士養成課程の大学や専門学校に入学し、所定の科目を修める必要があります。
薬剤師としての学士号を持っている場合、編入学制度を利用できる可能性があります。
編入できれば、在学期間を短縮することができます。
編入試験の受験条件や認められる単位は学校によって異なるため、実際の受験の際には個別に学校に確認するようにしましょう。
参照:管理栄養士・栄養士関係 /厚生労働省
管理栄養士になるためにかかる学費
管理栄養士になるためにかかる学費は大学や専門学校によって異なりますが、めやすは以下の通りです。
- 管理栄養士課程(4年制大学)で 約400~600万円
- 栄養士課程(2~3年制)で 約200~300万円
同じ栄養士養成課程であっても、学校によって学費やカリキュラムは異なります。
学費についても事前に確認し、きちんと準備するようにしましょう。
薬剤師が管理栄養士を目指す際の注意点
難関の薬学部の入試と薬剤師国家試験をクリアした薬剤師にとって、試験対策は得意といえるかもしれません。
しかし、薬剤師が管理栄養士を目指す際には、試験対策を始める前に注意しておかなければならないことがあります。
なぜ管理栄養士の資格を取るのかを明確にする
薬剤師として働いている人がダブルライセンスを目指す際には、なぜ管理栄養士の資格を取るのかという目的意識をはっきりさせておきましょう。
「患者さんともっと深くかかわりたい」「病気の治療に薬と栄養という二つの面からアプローチしたい」「将来は健康を総合的にサポートするコンサルタントとして独立したい」などさまざまな思いがあるでしょう。
そして、資格取得後にどのような分野で働くか、その分野で薬剤師と管理栄養士の知識をどう活かしていくかを具体的にシミュレーションしてみましょう。
資格の取得を目標にするのではなく、具体的なキャリアビジョンと結びつけておくことが大切です。
目的があいまいなままだと、学業を続けるモチベーションが下がり、途中で挫折する可能性もあります。
学費や生活費についてきちんと準備・試算する
管理栄養士を目指すために仕事を辞めて通学する場合、学費だけでなく、その間の生活費も考慮に入れて準備しておく必要があります。
学費に関しては、後述する教育訓練給付金制度を利用すれば、大きく抑えることができます。
これは社会人として働いていたメリットだといえるでしょう。
学校によっては奨学金が利用できるところもあるので、きちんと確認しておきましょう。
また、家族がいる場合には、学校に通って資格を取ることについて、きちんと話をして理解を得ておくことが大切です。
【Q&A】管理栄養士に関するよくある疑問
薬剤師が管理栄養士の資格を目指すにあたって、よくある疑問にお答えします。
Q.独学や通信教育で管理栄養士の資格は取れる?
管理栄養士は栄養士養成施設での修学が必須条件です。
また、栄養士養成施設に夜間の学部や通信課程はありません。
そのため、独学や通信講座のみで管理栄養士の資格を取得することはできません。
昼間の学校でカリキュラムがきっちり組まれているため、薬剤師として働きながら大学や短大に通うことも現実的には難しいでしょう。
Q.管理栄養士の資格を取る難易度は?
管理栄養士国家試験の新卒の合格率は例年80%前後となっています。
管理栄養師国家試験の特徴として、新卒と既卒の合格率に大きな差があることがあげられます。
新卒の合格率が80%を超えているのに対し、既卒の合格率は10%台と低くなっています。
参照:管理栄養士国家試験実施状況/厚生労働省
ただ、難関の薬剤師試験を突破した薬剤師にとって、学校に通ってきちんと準備することができれば、試験そのもののハードルはさほど高くはないといえるでしょう。
栄養学だけでなく基礎医学や食品学、医療制度などの知識も必要なため、薬剤師としての知識や経験は、管理栄養士の国家試験に対しても大きなアドバンテージになります。
Q.管理栄養士の資格を取るときに教育訓練給付金制度は使える?
教育訓練給付金制度とは、働く人のキャリアアップや再就職を支援するため、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した場合に、支払った費用の一部がハローワークから支給される制度です。
給付金には「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」の2種類がありますが、多くの管理栄養士関連の講座は、給付率の高い専門実践教育訓練給付金の対象となっています。
専門実践教育訓練給付金では、訓練中に支払った教育訓練経費(入学料・受講料)の50%相当額が支給されます。
また、資格取得等により訓練終了後1年以内に就職し、一定の要件を満たした場合、支払った教育訓練経費の20%相当額が追加で支給されます。
この制度を利用するには、雇用保険の被保険者期間など、一定の要件を満たしておく必要があります。
利用できれば学費の面で大きなメリットとなるので、給付の対象となる学校や、自分が給付を受ける条件を満たしているかなど、きちんと確認しておきましょう。
薬剤師の転職はこちら
(エムスリーキャリア)
まとめ
薬剤師がダブルライセンスを取得することは、薬剤師として働くうえでプラスになる選択です。
特に「薬剤師×管理栄養士」は、薬と食の両側面から患者の健康を支えることができる組み合わせだといえるでしょう。
ダブルライセンス取得には時間も労力も必要ですが、「なぜ取るのか」を明確にして計画的に進めれば、必ずキャリアの強みになります。
薬剤師として次のステージを目指す際に、可能性のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
ご相談は無料です。転職コンサルタントに相談してみませんか?