薬剤師が転職市場で「評価させるスキル」とは?周りと差がつくポイントを解説
これまで薬剤師の転職市場は、「薬剤師資格さえあれば比較的スムーズに転職できる」といわれてきました。しかし近年、その状況は少しずつ変わってきています。
現在は、単に薬剤師の資格を持っているだけでなく、積んできた経験や発揮できるスキルが重視される時代といえるでしょう。
本記事では、薬剤師が転職市場で「評価させるスキル」や、スキルと年収の関係、評価されにくい特徴について解説します。
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薬剤師の転職市場の現状と評価基準
薬剤師の転職市場は、長く「売り手市場」が続いてきました。求人数が多く、転職そのもののハードルも比較的低かったといえます。
しかし最近では、需要と供給のバランスや、採用側が重視する評価基準に変化が見られます。
まずは、現在の薬剤師の転職市場の動向や、どのような視点で評価されているのかを整理していきましょう。
将来的に転職市場で薬剤師が過剰となる可能性
厚生労働省の統計によると、令和6年の全国の薬剤師数は過去最多の32万9045人となっています。この数は今後さらに増え続ける見込みです。
また、令和2年に厚生労働省が示した薬剤師の需給調査の推計では、2045年には薬剤師の供給数が最大45万8000人に達し、その中の12万6000人の薬剤師が供給過剰になる可能性があると示されています。
このような変化は薬剤師の転職市場に大きな影響を与えるでしょう。「人手不足だから採用される」という状況から、「現場で活躍できるかどうかを見極めてから採用される」というように変わっていくと考えられます。
参照:令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 3 薬剤師 /厚生労働省
参照:薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会(とりまとめ(今後の検討課題)) /厚生労働省
薬剤師は調剤に「プラスαのスキル」が求められる
こうした転職市場の変化と並行して、薬剤師に求められる役割そのものも変わってきました。
2015年に厚生労働省が示した「患者のための薬局ビジョン」では、薬剤師の業務は「対物」から「対人」へとシフトしていくことが求められています。
調剤などの対物業務は、今後も薬剤師の重要な役割であることに変わりはありません。しかし、調剤業務だけでは他の薬剤師との差別化が難しくなっているのが現状です。
医療DXの進展や業務効率化が進む中で、調剤技術だけでなく、どのような付加価値を提供できるかが評価の分かれ目となります。今後の転職市場では、この「プラスαのスキル」を持つ薬剤師が、より高く評価されていくでしょう。
参照:患者のための薬局ビジョン 概要 /厚生労働省
必ずしも経験年数だけでは評価されない
こうした背景から、転職市場では「何年働いてきたか」よりも「何ができるか」が重視される傾向が強まっています。
たとえベテラン薬剤師であっても、アピールできるスキルや実績がなければ、転職のハードルは高くなっていく可能性があります。
一方で、薬剤師歴が5年程度であっても、転職市場で求められるスキルを意識的に身につけてきた場合、評価が高まるケースも少なくありません。
そのため、単に「勤務年数が長い」という理由だけでは、必ずしも高い評価につながらないのが実情といえるでしょう。
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薬剤師が転職市場で「評価させるスキル」とは
近年、単に「薬剤師資格を持っている」だけでは、転職市場で他の薬剤師との差別化が難しくなっています。
では、具体的にどのような点が評価されるのでしょうか。ここからは、薬剤師が転職市場で高く評価されやすい要素について詳しく紹介します。
特定分野への高い専門性
転職市場では、「だれでもできる業務」よりも、「その人でなければ任せられない業務」を担える人材が求められています。
専門性を示す代表的なものは、認定薬剤師や専門薬剤師の資格です。これらは、客観的にスキルを示すだけでなく、継続的に自己研鑽を重ねている姿勢もアピールできるため、評価のポイントになります。
認定や専門の資格は、病院薬剤師が取得するイメージが強いかもしれませんが、近年は薬局薬剤師でも取得者が増えてきています。薬局ではまだ希少性が高いため、がん・糖尿病・HIVなど特定領域に専門性を持つ薬剤師は、転職市場でも高く評価されるでしょう。
組織・店舗のマネジメント能力
薬剤師としての専門性だけでなく、組織や店舗運営に関わる力も転職市場では高く評価されます。特に、管理薬剤師としての経験があると、組織に貢献できる人材としての期待値が高まります。
30代以降で薬局への転職を考える場合は、店舗運営の中心的な役割を担っていたかどうかは重要なポイントです。人・モノ・業務を円滑に回す力や運営への関与は、転職市場で「評価させるスキル」といえるでしょう。
在宅医療など多職種連携を円滑に進める力
チーム医療の考え方が広がる中で、薬剤師には多職種と連携して医療に関わる力が求められています。
特に薬局では、在宅経験のある薬剤師のニーズが高まっています。地域医療において、医師や看護師、ケアマネージャーなど他職種と円滑に連携を進められる力は、転職市場でも評価されるでしょう。
日常的な多職種カンファレンスへの参加や、継続して在宅患者を担当してきた経験は、即戦力であることを示す有力な材料となります。
業務改善のために課題を解決する力
転職市場では、毎日の業務をただこなすだけの薬剤師よりも、現場の課題に気づき、自分なりに改善につなげられる薬剤師が高く評価されます。
- 診療報酬の算定体制の改善
- 業務フローの見直しによる効率化
- 新しいツールの導入によるスタッフの負担軽減
- 廃棄を減らすなどの適正な在庫管理
このように現場の改善に積極的に関わり、成果を出していく力は、どの職場でも重宝されるでしょう。
新人・後輩を育成する教育力
教育担当を経験してきた薬剤師は、業務内容を理解しているだけでなく、薬剤師・社会人として大切な姿勢も伝えられる力があるとして、高く評価されやすいです。
OJTや新人指導では、相手の理解度に応じた説明やミスを防ぐための工夫、現場で自立するまでの継続的なフォローが求められます。さらに、実務実習の指導薬剤師として学生教育に関わる場合は、制度や指導要領を踏まえた計画的な教育力も重要です。
こうした人材育成の経験を持つ薬剤師は、チーム全体のレベル向上に貢献し、組織の将来を支える貴重な存在として期待されます。
患者・医療者と信頼関係を築くコミュニケーション能力
「患者のための薬局ビジョン」の公表後、薬剤師の仕事は調剤や薬の管理といった対物業務から、患者や医療チームとの関わりを重視する対人業務が重視されるようになってきました。そのため、コミュニケーション能力は転職市場でも必要不可欠なスキルとされています。
単に薬の説明ができるだけでなく、患者や医療者のニーズを会話の中から汲み取り、適切にアプローチできることが重要です。こうした対応が、信頼される薬剤師であるかどうかの判断材料になります。
参照:患者のための薬局ビジョン 概要 /厚生労働省
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転職市場における薬剤師のスキルと年収の関係
評価させるスキルを持ち合わせている薬剤師は、転職市場でも高く評価され、給与面でも優遇される場合があります。
ここでは、管理薬剤師や認定薬剤師等の資格をもつ場合の年収への影響をご紹介します。
管理薬剤師の経験で年収に差が出るケース
管理薬剤師の経験は、転職時の給与に影響することも珍しくありません。
薬キャリエージェント調べによると、調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は517万円です。一方で厚生労働省のデータによると、管理薬剤師の平均年収は約735万円であり、全体の平均よりも約200万円高くなります。
このように管理薬剤師の給料が高く設定されているのは、店舗や施設全体の運営を監督する責任の重さが反映されているためです。転職時には、管理薬剤師としての経験や前職での給与実績が考慮されることも多く、給与交渉においてプラスに働くことが期待できます。
参照:第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告 ー令和5年 実施ー /厚生労働省
資格の有無が年収に反映されるケース
認定薬剤師や専門薬剤師など特定分野の資格を持っている場合も、年収が高くなることがあります。
これらの資格は、転職市場での需要が高く、資格手当が支給されるケースも多いため、給与が高めに設定されやすいのです。
薬剤師コラムのアンケートによると、資格手当の平均は約1万8,000円ですが、中には10万円以上の手当を受けている人もいるようです。こうした手当は、「待遇を手厚くしてでも採用したい」という企業側の需要の高さを示す指標ともいえます。
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転職市場で評価されにくい薬剤師の特徴
ここまで見てきたように、同じ薬剤師であっても身につけてきたスキル次第で、転職市場での評価には大きな差が生まれます。
ここからは、転職市場で評価されにくい薬剤師の特徴を整理していきます。
他の薬剤師との差別化につながる実績・スキルが乏しい
転職市場では、調剤・服薬指導といった基本業務ができるだけでは、他の候補者との差別化が難しいです。採用側が見ているのは、「その人ならではの強みがあるかどうか」です。
特定分野の専門性や業務改善への取り組みなど、調剤以外にどのような役割を果たしてきたかが評価の分かれ目になります。このような要素が見えにくい場合、「可もなく不可もない人材」と判断されてしまうことがあります。
勤続年数は長いが、担ってきた役割に変化が少ない
勤続年数が長いこと自体はマイナスではありません。しかし、長く働いていても役割や立場に変化がない場合、評価が伸びにくい傾向があります。
例えば、長年勤務していても「調剤や服薬指導などの一般的な業務だけを担当してきた」となると、幅広い業務に対応できるか不安視されることがあります。「年数相応の活躍が見えない」と判断されると、仕事に対して消極的だと思われかねません。
数値・役職・資格など、スキルを客観的に示せる材料が不足している
転職活動時は、自分の強みを第三者にもわかる形で示せるかどうかが重要です。
たとえ業務改善や店舗への貢献があったとしても、数値や役職、資格などの目に見える形で示さなければ、採用側に十分に伝わりません。
- 診療報酬の算定件数
- かかりつけ薬剤師として担当してきた患者の人数
- 認定薬剤師資格を取得後のチーム医療での活動内容
このように、客観的にもわかる具体的な実績やスキルがないと評価を受けるのは難しいでしょう。
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薬剤師が転職市場で評価を得るためのポイント
せっかく魅力的な経験やスキルを持っていても、それを転職活動時に十分にアピールする準備ができていなければ、適切に評価はされません。
ここからは、転職市場で評価を得るために押さえておきたい考え方と行動のポイントを解説します。
転職市場で求められているスキルや人物像を把握する
転職市場で評価を得るための第一歩は、企業が何を求めているかを知ることです。
同じ薬剤師の採用でも、調剤薬局・病院・企業では、求められる人物像や評価のポイントは異なります。
業界や企業の研究を行うことで、
- どのような役割を担える人材が求められているのか
- 即戦力として評価されやすいポイントは何か
- 反対に、評価につながりにくい経歴やスキルは何か
といった点が見えてきます。
採用側の視点を正しく理解することで、自分のこれまでの経験やスキルの中から、その職場に合った「伝えるべき強み」がわかるようになります。
スキルや強みを採用側に伝えられるよう整理する
転職では、「スキルがあるかどうか」だけでなく、そのスキルを採用側にきちんと伝えられているかが同じくらい重要です。
実際、多くの薬剤師は日々の業務の中で素晴らしい取り組みをしていても、それを十分にアピールしきれていないことが多いです。
そのため、まずはこれまでの業務や取り組みを振り返り、自分にはどのようなスキルや強みがあるのかを整理してみましょう。そのうえで、それを「採用側にとってのメリット」として説明できる形にすることが大切です。
そして、面接では単なる業務内容の説明に終わらせず、患者や医療従事者、同僚からの反応など、具体的なエピソードを交えて伝えてみてください。採用側の印象にも残りやすくなるでしょう。
転職エージェントを利用し、客観的に自分の市場価値を知る
自分の市場価値を、自分自身で客観的かつ正確に把握するのは難しいものです。そこで有効なのが、薬剤師の転職市場を熟知した転職エージェントの活用です。
転職エージェントを利用することで、
- 自分の経歴が転職市場でどのように評価されるのか
- 強みとして評価される点、弱みになりやすい点
- 想定される年収やポジションの現実的な目安
といった情報を、第三者の目線から知ることができます。
また、企業ごとの評価ポイントを踏まえたアドバイスを受けられるため、より評価されやすい形で自己PRできるようになります。
「今すぐ転職するかどうかは決めていない」という段階であっても、自分の市場価値を知ること自体が、今後のキャリア戦略を考えるうえで大きなヒントになるでしょう。
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まとめ|転職市場で「評価させるスキル」を磨くことが大切
近年の薬剤師の転職市場では、「何ができる薬剤師か」が問われるようになってきました。調剤業務を前提としつつ、専門性やマネジメント力、コミュニケーション能力などのプラスαで「評価させるスキル」を磨くことが大切です。
一方で、客観的に示せる実績や能力が乏しい場合、評価は得づらくなってきます。これからの転職では、自身の経験を市場の視点で整理し、「どんな価値を提供できるか」を明確に伝えることが重要になるでしょう。
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