実はレアで狙い目?クリニック勤務のパート・アルバイト薬剤師とは
病院は薬剤師にとっておなじみの職場ですが、病院のなかでもクリニックとなるとあまりなじみがなくなります。そんなクリニックのなかでもパート・アルバイトとなると、求人数そのものが少なく、実際の働き方が見えにくいと感じている方も多いかもしれません。
しかし、実はクリニック勤務は、ワークライフバランスを重視したい薬剤師にとて、非常に魅力的な選択肢の一つです。今回は、クリニック勤務のパート・アルバイト薬剤師に焦点を当て、その仕事内容からメリット・デメリット、気になる時給相場まで解説していきます。
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クリニック勤務の薬剤師とは
近年は医薬分業が進み、院外処方を行うクリニックが増えています。そのため、クリニックに勤務する薬剤師は減少傾向にあります。まず、病院とクリニックの違いやクリニックの特徴について確認してみましょう。
病院勤務とは何が違う?
病院とクリニックは大きく「病院」としてくくられがちですが、両者は医療法上では明確に区分されており、薬剤師の業務範囲にも違いがあります。
病院: 20床以上の入院設備があります。
薬剤師の業務は、外来患者への調剤に加えて、入院患者の調剤、注射剤の混注、病棟業務(服薬指導)、チーム医療への参画など岐に渡ります。当直や夜勤がある場合もあります。
クリニック(診療所): 入院設備が19床以下、あるいは入院設備がありません。
薬剤師の業務は、主に外来患者への調剤と服薬指導が中心です。入院施設がないクリニックの場合は当直や夜勤もありません。
調剤薬局・ドラッグストアとはどう違う?
クリニックでの仕事は、調剤薬局やドラッグストアとはどう違うのでしょうか。改めて確認してみましょう。
調剤薬局
外来患者さんへの調剤と服薬指導を、クリニックは院内で行い、調剤薬局は院外で行うということですので、基本的な業務は共通しています。正確な調剤、重複投薬の確認、そして患者さんへの丁寧な服薬指導は、どちらの現場でも欠かせません。
両者の大きな違いは医師との物理的距離にあります。クリニックは医師がすぐそばにおり、カルテを共有しながら処方意図をすぐに確認することができます。
調剤薬局ではそこまでの深い理解は難しくなります。病名も直接伝えられるわけではないので、処方箋を通して処方意図を読み取っていかなければなりません。一方で、1人の患者さんに対して異なる医療機関からの処方箋を受け付けられるため、併用薬のチェックなど薬の一元管理という点では優れています。
また、扱う薬が、クリニックの場合は自院の専門科に限定されているのに対して、調剤薬局の場合は幅広い範囲のものを扱うことになります。チェーン店である調剤薬局では、店舗間で異動があることもあります。ルーティンワークを中心に落ち着いて仕事をしたい人にはクリニック、より広い仕事をしたい人には調剤薬局がおすすめだと言えるでしょう。
ドラッグストア
ドラッグストアには調剤を併設した店舗とOTCのみの店舗があります。調剤併設の店舗で調剤部門に勤務している場合は、基本的に調剤薬局と同じ業務内容となります。調剤と服薬指導が主な業務となり、複数の病院からの処方箋を一元管理できる点も共通しています。
一方で、OTCのみのドラッグストアは、OTC医療薬を理解することが必要となります。調剤業務がない分、セルフメディケーションへの深い知識と接客スキルが重視されます。お客さんが体調が悪いときに気軽に相談できる「まちの保健室」の役割が強いと言えるでしょう。
また、店舗のなかで医薬品以外の日用品も幅広く扱っているので、それらも把握して販売しなければなりません。小売店の側面や、店舗管理の割合が高くなります。
全般的に、クリニック薬剤師と比べてドラッグストア薬剤師はさまざまな業務を行うことになります。医療に専念したい人はクリニック、よりバラエティに富んだ仕事がしたい人はドラッグストアが向いていると言えるでしょう。
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クリニック勤務のパート・アルバイト薬剤師の仕事内容
ここからは、クリニック勤務の薬剤師の仕事について確認しつつ、そのなかでパート・アルバイトが担う業務を解説します。
クリニックは小規模なので、そこで働く薬剤師の数も多くはありません。常勤の薬剤師は管理薬剤師1人というところが多いでしょう。パート・アルバイト薬剤師は、一人薬剤師ではなかなか手が回らないところのサポートが中心業務となります。
クリニックでの主な仕事内容は以下の3つですが、いずれも自分だけで判断するのではなく、管理薬剤師の指示を受けつつ、疑問がある場合は相談しながら業務を進めることになります。
調剤業務
クリニック薬剤師の中心となるのはやはり調剤業務です。クリニック内にある薬局スペースで、医師の指示に基づき調剤を行います。 特徴的なのは、「一包化」や「予製」の多さです。クリニックの場合は診療科も固定されており、継続して通う患者さんも多いため、待ち時間短縮や患者さんの利便性を考えた対応となっています。特にお年寄りの多いクリニックでは、飲み忘れ防止のための一包化作業が業務の大きな比重を占めることがあります。また、診察室から直接指示が出るため、スピード感も求められます。
患者対応
窓口で患者さんに薬を渡し、服薬指導を行います。 クリニックは「かかりつけ」として通う患者さんが多く、患者さんとの信頼関係を築きやすいのが特徴です。体調の変化や前回の薬の効き具合など、アットホームな雰囲気でコミュニケーションを取ることができるでしょう。
外部の調剤薬局の場合は基本的には患者さんの病名もわからない状態で服薬指導を行うことになります。しかし、クリニックでは医師とカルテを共有しながらより深く病状を理解したうえでの服薬指導が可能です。
疑義照会
処方内容に疑問がある場合、医師に確認を行います。 クリニック勤務のメリットは、この疑義照会をリアルタイムで行える点です。カルテを直接確認させてもらったり、処方意図をその場で聞くことができたりするため、薬剤師としての判断基準を磨く良い機会になります。
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クリニックでパート・アルバイトとして働くメリット
クリニックでパート・アルバイトという形態で働くことには、小規模な医療機関ならではのメリットがあります。詳しく確認してみましょう。
仕事の内容が固定されている
クリニックの最大の特徴は、診療科が限定されていて、扱う薬も決まっていることです。調剤薬局のように「今日はどの診療科の処方が来るかわからない」という不安がありません。特定の診療科目に特化した業務になるため、一度ルーティンを覚えてしまえば、精神的な余裕を持って仕事に取り組めます。
時間のプレッシャーが軽い
調剤薬局では、特定の時間帯に複数の病院からたくさんの患者さんが来局して忙しくなるといったことが起こります。しかし、クリニックではこのようなことはありません。また、大手チェーン薬局のように「○分以内に投薬」といった厳格なKPI(重要業績評価指標)を課されることもありません。もちろん、患者さんを待たせない工夫は必要ですが、一人ひとりの患者さんに寄り添った対応がしやすい環境と言えます。
長く続けやすい
業務内容が安定しており、人間関係も固定されるため、環境が合えば長く勤める人が多いのがクリニックの特徴です。それほど忙しくなることもなく、薬局自体も広くないので、体力的にも無理なく続けられるといえます。
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クリニックでパート・アルバイトとして働くデメリット
ただ、このようなメリットは、人によってはデメリットにもなります。小規模な職場には小規模ならではの特有の難しさがあります。
人数が少ないので相性が重要になる
クリニックの薬剤師は1〜2名体制のことが多いので、他の薬剤師と合うかどうかが仕事をするうえで重要になります。チェーン薬局やドラッグストアのように異動の可能性もないので、合わなかった場合には逃げ場がありません。
また、「院長(医師)=経営者」であるため、院長との相性が働きやすさを決めると言っても過言ではありません。時給や休みの取り方についても、院長の判断に従うことになります。理解のある院長の場合は非常に働きやすいですが、そうでない場合はストレスが大きくなるでしょう。
また、院長や薬剤師以外にも、受付事務や看護師とも密にコミュニケーションをとって連携することが不可欠です。
午前中などに業務が集中して多忙なことがある
クリニックの診療時間には波があります。特に午前診の終わり際や、土曜日の午前などは非常に混雑し、息つく暇もないほど忙しくなることがあります。逆に、患者さんが途切れると手持ち無沙汰になるなど、業務量の差が激しいのが特徴です。
クリニック全体が少人数なので、「自分の業務だけやっていればいい」ではなく、状況を見ながら臨機応変に忙しい部分をフォローすることも必要となります。特にパート・アルバイトの立場にはそのような機転が求められるでしょう。
福利厚生や教育体制が薬局チェーンほど整っていない
大手チェーン薬局は、全国に店舗を持つスケールメリットを活かし、充実したe-ラーニングや階層別研修、子育て支援などの福利厚生を備えています。対してクリニックは、院長が経営者である個人商店に近い組織です。研修制度はなく、福利厚生も法定基準(社会保険など)に留まるケースが少なくありません。
ただ、クリニックでは、直接医療現場で医師の診療を見ながら疾患への理解を深められるという大きなメリットがあります。また、院長と直接相談しながら勤務時間や休みを決めることができるので、自分に合った働き方ができれば、大手チェーンにはない魅力だと言えるでしょう。
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クリニックのパート・アルバイト薬剤師の時給は?
ここまでクリニック薬剤師の仕事についてみてきました。では、気になる時給相場はどのくらいなのでしょうか。
クリニックのパート・アルバイト薬剤師の時給相場
クリニック勤務の薬剤師に絞ってパート・アルバイトの時給を調べた調査はありません。そこで、一般的な病院勤務のパート・アルバイト薬剤師の時給を紹介します。
薬キャリエージェントの調査によると、病院薬剤師の平均時給は約2000円となっています。この時給は、調剤薬局やドラッグストアと大きな違いはありません。
ただ、パート・アルバイト薬剤師の場合は求人や地域による差が大きいのが実情です。薬剤師の多い地域では時給は低くなりますし、地域やへき地のような人手不足の地域では時給が高くなります。
クリニックの場合は、これに加えて院長の考えが反映されます。小規模なクリニックの場合、人件費に当てられる金額はどうしても制限があります。実際にはクリニックでは管理薬剤師が院長の家族ということも多く、正社員の薬剤師の給与は高いけれどもパートの時給は抑えられているということもあるでしょう。
クリニックのパート・アルバイト薬剤師の時給はどう決まる?
クリニックの時給には、主に地域相場、経験値、院長の経営判断の3つの要素が影響します。
まずベースとなるのは、近隣の調剤薬局や病院の時給相場です。これに、特定の診療科目での調剤経験や一包化の速さといった「即戦力としてのスキル」が加味されます。
夕方以降や土曜日の勤務の場合、時給が上乗せされることがあります。
最大の特徴は、院長(経営者)の考えが大きく反映される点です。前述したように、クリニックのパート・アルバイト薬剤師の人件費は抑えられる傾向にあります。
ただ、上司である管理薬剤師にとってはなくてはならない存在になったり、患者さんからの評判が良かったりすると、院長が相場以上の時給を提示してでも長く居てほしいと判断することがあります。個人の貢献度がダイレクトに給与へ反映されやすいと言えます。
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クリニックでパート・アルバイト薬剤師が確認すべきポイント
クリニックは小規模なだけに、職場に合わないとなるとストレスを紛らわすのも難しくなります。入植後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐために、以下の4点は必ず確認しましょう。
診療科目の特性
クリニックでの業務は、その診療科目に特化したものになるため、自分のスキルや希望する働き方と合致するかを必ず確認しましょう。たとえば、小児科であれば粉薬の調剤や監査、保護者への丁寧な説明が中心となりますし、整形外科なら外用薬の扱いが多く、処方内容も比較的シンプルです。
自分がこれまでに経験があり得意とする分野であれば、即戦力として自信を持って働けますが、未経験の分野であれば、どの程度のフォロー体制があるかを知っておく必要があります。扱う薬の種類や一包化の頻度など、具体的な業務イメージを事前に持てれば、安心して働くことができるでしょう。
医師の人柄
少人数のクリニックでは、経営者である院長との相性が、働きやすさを左右する最大の要因といっても過言ではありません。面接時には、単に条件を確認するだけでなく、院長と直接言葉を交わす中でコミュニケーションの取りやすさをチェックしてください。
薬剤師として「疑問点をすぐに確認できる雰囲気か」「専門性を尊重してくれるか」といった点は、日々の業務ストレスに直結します。面接時には、自分に対する院長の対応だけでなく、可能ならば他のスタッフや患者さんへの接し方を観察しておくことが、良好な関係を築くためのヒントになります。
勤務時間の調整は可能か
特に子育てや介護と両立させたいパート・アルバイトの場合、シフトの柔軟性は非常に重要です。クリニックは少人数のため、1人が休むと業務に大きな影響が出ることがあります。そのため、子供の学校行事や急な病気の際に対応してもらえるのか、「中抜け」などの調整が可能かを事前に確認しておきましょう。
また、特定の曜日や時間帯(土曜日や夕方など)に固定で入る必要があるのか、逆に患者数が少ない時期に早上がりがあるのかなど、実態を聞いておくことができれば安心です。
社会保険の加入条件
パート・アルバイトで働く場合、年収を一定額に抑える扶養内勤務を希望する方も多いでしょう。しかし、週の労働時間や契約期間によっては、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになります。
自分の希望する働き方が、いわゆる「○○万円の壁」とどういう関係にあるかはきちんと確認しましょう。社会保険に加入すれば手取りは一時的に減りますが、将来の年金額が増えるなどのメリットもあります。クリニック側が社会保険の適用についてどう考えているかを確認し、自身のライフプランに合った働き方を選択しましょう。
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【Q&A】クリニックで働くパート・アルバイト薬剤師によくある疑問
クリニックでパート・アルバイトとして働く際によくある疑問についてまとめました。
Q. 収入は扶養内に収めたほうがいい?
収入を扶養内に収めたほうがよいかどうかはその家庭の状況によります。一般的には、パートで働く人はこれまで 「130万円の壁」と言われてきた社会保険が増える収入を意識して、働く時間をセーブすることが一般的でした。
ただ、パート薬剤師の場合、時給が高い分、週2〜3日の短時間勤務でもすぐに上限に達してしまいます。無理に扶養の範囲に収めようとするより、ある程度働いて収入を増やしたほうが、手取りも将来の年金も増やせるでしょう。
また、これまで解説してきたように、クリニックの場合は、院長が提示する条件のほうが応募するパート・アルバイト薬剤師の希望よりも優先されます。求人に「相談可」とある場合もありますが、基本的には求人情報にある条件で働くことを前提としましょう。
Q. 「年収の壁」とはどういうこと?
「年収の壁」とは、1年間の収入が一定の金額を超えると、税金や社会保険料の負担が発生し、手取り額が減ってしまう現象のことです。 たとえばいわゆる「130万円の壁」の場合、年収が130万円を超えると社会保険料が発生するので、130万円から150万円程度の間は、働いても働いても手取りが増えない「働き損」の状態になっています。時給が高くない場合は150万円以上稼ぐのが大変なので、1年間の収入が130万円を超えないように調整するということが行われています。
ただ、前述したように薬剤師の場合は一般的なパートの約2倍の時給ですので、この壁はそれほど高くはありません。一般的な風潮に惑わされず、自分の時給の場合どうなるかを個別に計算して判断するようにしましょう。
また、時代の流れや政府の判断によって「○○万円の壁」の金額も変化しています。扶養に入るかどうかを考える際には、最新の状況を確認しながら自分の家庭に当てはめて判断することが必要となります。
Q. 病院が未経験でもクリニックで働ける?
これまで病院での経験がなかったとしても、クリニックで働くことには大きな問題とはなりません。とくにパート・アルバイト勤務の場合、仕事の内容は病棟勤務ではなく調剤経験のほうが大切になります。
高度な臨床経験よりも、正確な調剤スキルと丁寧な患者対応が重視されます。未経験の診療科目であっても、基本的な調剤の流れができれば、現場で覚えていくことが十分に可能です。
ただ、調剤がまったく未経験でいきなりクリニックというのは難しいかもしれません。基本的な調剤スキルは身につけておくことが望ましいといえます。
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まとめ
クリニックでのパート・アルバイト勤務は、落ち着いた環境で患者さんと向き合って働きたい薬剤師にとって、非常にバランスの良い働き方です。
少人数ゆえの人間関係の難しさはありますが、もしよいクリニックで働くことができれば、ストレスなくバランスのよい生活ができるでしょう。
もしあなたが「今の慌ただしい環境を変えたい」「一つの診療科を極めたい」と考えているなら、クリニックという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
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