療養型病院から薬剤師外来がある病院へ…直感を信じて選んだ転職
「このままでいいのか?」。患者に寄り添いたい気持ちと病院の治療方針の間で揺れ動いた薬剤師・オケンさん。家庭とキャリアの狭間で、エージェントや仲間からの情報を頼りに新たな職場を模索しました。転職活動中、頼りにしたのは自分の直感。その選択は新たなキャリアの扉を開くきっかけとなりました。
オケンさん流 転職の処方箋
その1.職場での違和感はサイン
その2.条件よりも直感を信じる!
その3.人とのつながりを活かす
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治療方針への違和感。「本当にこれでいいのか?」と揺れた心
オケンさんが転職を考えたきっかけを教えてください。
オケンさん
以前勤めていたのは療養型病院で、院長の方針も“最後は穏やかに過ごしていただく”という考え方でした。それ自体は否定しませんし、最初は納得していました。けれども、積極的な治療をあまり行わない面が気になりました。
感染症に対してもっと効果的な薬があるのに使わない。提案しても“そこまでしなくていい”と言われる…。そういう状況に直面するたびに「薬剤師として、医療従事者として、このままでいいのだろうか?」と疑問が強くなっていきました。職場の人間関係は良好で、病院薬剤師として第一歩を踏み出した職場だったんですけどね。
「違和感」が転職を意識させるきっかけとなったようですね。その頃、オケンさんのライフステージは変わりつつありましたか?
オケンさん
ちょうど30代半ばで、子どもが幼稚園に通い始めたり、2人目が生まれた時期で、収入面やキャリアを真剣に考えるようになったタイミングでもありました。将来の方向性を見直す分岐点だったと思います。
情報収集はエージェント+仲間の声。最後の判断は「直感」
転職にあたって、どんな条件や環境を重視されましたか?また、どのように情報収集をされたのでしょうか。
オケンさん
転職活動の際、「抗菌化学療法認定薬剤師の資格を活かせる職場で働きたい」という思いを軸にしていました。エージェントに複数登録した時は、がん治療や免疫療法に関わる患者さんの感染症治療に携わりたいと伝えていたんです。でも、残念ながらそういうニーズがある病院は少なくて…。
薬剤師仲間や卸業者の営業担当の方からも「あそこが今、募集してるよ」といった情報をもらいました。ありがたいことに声をかけてくれる方も多く、人とのつながりに助けられましたね。
とはいえ、情報と内情にはギャップを感じたこともありました。エージェントからは働きやすい職場と聞いても、実際には離職率が高かったり、他部門との連携が大変そうだったり。条件は良くても、自分の希望するキャリアには合致しないこともありました。
実際、内定を辞退されたこともあるそうですね。それは、どういったことから判断されたのですか?
オケンさん
ある病院の面接を受け、内定をいただきました。でも、面接の場で話を聞きながら「ここは本当に自分がやりたいことをできる場所なのか?」と疑問が膨らんでいたのです。よって、最終的に辞退しました。
条件面は良かったんですが、最後は直感で決めました。頭で考える条件だけじゃなくて、“ここで働きたい”と心から思えるかどうか。直感がストンと落ちる感覚を大事にしました。これまでドラッグストアも病院も経験しましたが、どれも直感を信じて職場を選んできてよかったと思っています。
30代半ばから転職を考えるなら「本能」に忠実に
今、転職を考える30代半ばから40代前半の薬剤師の方々に、どのようなアドバイスをしますか?
オケンさん
転職を考えている同年代の薬剤師に伝えたいのは「条件や年収だけでなく、自分の気持ちが納得するかどうかを大切にしてほしい」ということです。
自分もそうですが、30代~40代は家庭のことや収入面などが重くのしかかる時期です。ですが、それでも“やってみたい”と思える道を選んだ方が、長い目で見た時に後悔しないと思います。
また、30代~40代はキャリアを積む中で、仕事の重みややりがいの感じ方も変わってくる時期だと思います。仕事を通じて心に残っている出来事があれば教えてください。
オケンさん
去年亡くなられた大腸がんの患者さんの話です。
不安感が強く、よくお話される方でした。僕は患者さんの話を聞くのが得意なので、その方のお話にじっくり耳を傾けたんです。すると、亡くなる前に「10年間がん治療やってきたけど、オケンさんに会えて本当に良かった」と笑顔で言ってもらえて。この仕事をやっていて良かったと心から思えた瞬間でした。
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製薬会社など、企業で働くことも視野に入れて、キャリアを考える
今の病院に転職してから、前職の療養型病院と比べてどんなところが変わったのか教えてください。