2度の転職でたどり着いた在宅訪問専門薬局、自分らしく働ける居場所に
ドラッグストア、精神科クリニックの門前薬局、そして在宅訪問専門薬局へ。Kさんは2回の転職活動を経て、現在は在宅訪問を専門とする薬局の管理薬剤師として活躍しています。働く環境に迷いながらも、自分にとっての“心地よさ”を見つめ直し、たどり着いた今の働き方。そこに至るまでの道のりと、これから描くキャリアの展望について、お話をうかがいました。
Kさん流 転職の処方箋
その1. 「我慢する働き方」を続けない
その2. 自分の性格と仕事の相性を見極める
その3. 納得できる年収をあきらめない
非公開求人のご紹介はこちら
大手ドラッグストアから精神科の門前薬局、2回目の転職で在宅訪問専門薬局へ
これまでのキャリアについて教えてください。
Kさん
新卒で大手ドラッグストアに入社し、薬剤師として1年ほど勤務しました。その後、精神科クリニックの門前にある個人薬局に転職して3年ほど働き、現在は在宅訪問専門薬局で管理薬剤師をしています。
最初の転職のきっかけは、頻繁な店舗異動と長い通勤時間で体調を崩してしまったこと、そして患者さんからのクレーム対応などで常に急かされる職場環境でした。「落ち着いた環境で働きたい」と思ったのが大きかったですね。
転職活動はどのように行われましたか?
Kさん
1回目の転職ではエージェントを利用しました。2回目の転職では個人で紹介業を営んでいた知り合いに相談しました。
転職活動では、希望と違う面接を受けたこともありました。
とくに最初の転職活動の時は、右も左もわからない状態で、とりあえず練習のつもりで受けてみようと進めたところもありました。仕事の休日に面接に行って話を聞いてみると「全然希望と違うな」と思うこともありましたね。後からエージェントの担当者に「でも、練習にはなったでしょ?」と言われて、「あ、これは練習だったんだ」と(笑)。そういう経験も含めて、最初は本当に手探りでしたね。
2度目の転職では年収面も重視されたそうですね。
Kさん
精神科クリニックの門前薬局に転職したのですが、当時は自分の優先順位がはっきりしていなかったため、条件を欲張っていくつも掲げてしまいました。条件面では満たされているように見えたものの職場のブラックな部分が目立ちはじめ、精神的に消耗してしまいましたね。
実は、3年勤務したのに年収が50万円も下がってしまって…。同棲を機に家賃補助がなくなり、担当していた学校薬剤師の仕事も同僚に回されてしまったんです。自分の頑張りが報われていない気がして「正当に評価される職場で働きたい」と思いました。
非公開薬剤師求人への応募はこちら
大きな励みとなった転職エージェントの言葉
転職活動で印象に残っている出来事を教えてください。
Kさん
はい。ある面接先で「あなたはとても欲しい人材だから、他社よりも高い年収を提示してでも来てほしい」と言われたことです。最終的には条件面が合わず辞退しましたが、自分のキャリアや経験が高く評価されていると実感できた瞬間でした。
その経験は、Kさんにどんな影響を与えましたか?
Kさん
自分の価値を認めてもらえたことで、自己肯定感が高まりました。転職活動は大変なことも多かったのですが、このような前向きな評価を受けた経験は大きな励みとなりました。今でも思い出して、自分を元気づけることがあります。
信頼できるエージェントと、そうでないエージェントの違いはどんな点にあると思いますか?
Kさん
やはり「ちゃんと自分を見てくれるかどうか」だと思います。自分の得意・不得意や性格を理解して、本当に合いそうな職場を紹介してくれる人は信頼できますね。逆に、条件面だけを見てとにかく案件を勧めてくる人とは合わないように感じました。
何気ない会話が在宅訪問専門薬局への道に
現在の在宅訪問に特化した薬局に巡り会えたのは、どのような経緯だったのでしょうか?
Kさん
もともと大学時代から車の運転が好きで、通学もずっと車でした。そんな話を薬剤師の紹介業をしている知り合いに何気なくしたところ「それなら在宅訪問の仕事、向いているかも」と提案してもらって。
そこで初めて、“在宅訪問を専門にする薬剤師”という働き方を知ったんです。自分の好きなことを伝えることで、新しい仕事の可能性が広がるんだなと感じました。
何気ない会話が新しい職場に導いてくれたのですね。現在の職場環境について教えてください。
Kさん
私が勤務している薬局グループはいくつかの店舗があります。他の店舗は小児科や一般外来などを扱っていますが、私の所属する店舗だけは在宅訪問を専門としています。グループ内でも唯一の形態なんです。
職場の雰囲気はとても静かで、黙々と調剤作業を進められる環境。処方箋はほとんどFAXで受け付けます。あまりに落ち着いているので、ほかの店舗からは“調剤工場”なんて呼ばれることもあります(笑)。
また、外来対応もなく、自分のペースで動けるのが魅力です。時には車を1人で運転して薬剤を届けに行くこともありますね。もともと、人に振り回されず淡々と仕事を進めるのが好きなタイプなので、今の職場はまさに天職だと感じています。
年収アップ以上の成長をつかんだ管理薬剤師のポジション
転職して、業務内容や役割にどのような変化がありましたか?
Kさん
今の職場で初めて管理薬剤師を任されました。今までは服薬指導が中心でしたが、管理薬剤師になり、調剤報酬を安定するための点数や、算定要件を意識するようになりました。
管理薬剤師になり、ほかには施設への配薬や薬剤管理や、在庫管理、役所への届け出など、経営的な視点を学ぶようになりました。最初は不安もありましたが、責任感が生まれ、自分の成長を実感できました。信頼して任せてもらえる環境は、本当にありがたいですね。
また訪問する施設には、がん終末期など重度の患者さんもいらっしゃるので、疼痛管理の一環として麻薬性鎮痛薬を調剤することもあります。その調剤・管理は、法令(麻薬及び向精神薬取締法)に基づく厳格な手順のもとで行われるので、その取り扱いも重要な仕事の1つです。
お話をうかがうと、2度の転職活動が現在の職場で花開いた印象を受けます。転職活動を振り返って、今感じることはありますか?
Kさん
当初の転職の目的は年収アップでしたが、転職活動中「あなたの経歴ではその年収は難しい」とはっきり言われ、とても落ち込みました。それでも諦めずに活動していたら最終的に希望していた年収で採用してくださる会社に出会えました。
さらに、管理薬剤師という責任あるポジションに就くこともでき、結果的に年収も当初の希望を上回りました。辛い時期もありましたが、転職活動を経験したからこそ今の自分があると感じています。
「患者さんの背景を知ること」で広がった視野
現在の職場で印象に残っているエピソードはありますか?