がん患者から「補完代替医療」について相談されたら・・・
患者さんの質問に対して、回答に困ったことはありませんか? このシリーズでは臨床論文から得た知識を活用し、より説得力のある服薬指導をめざします。
実際の服薬指導のシーンを想定した会話形式で紹介します。
今回の論文
JAMA Oncol. 2018 Oct 1;4(10):1375-1381.PMID:30027204
内容:治療可能ながん患者において、補完代替医療を併用している人の死亡率は約2倍という報告。
「補完代替医療」は、うまく活用すれば身体的・心理的な効果を期待できる可能性がある
ただし、標準治療を拒否すると死亡リスクが倍増するため、試すにしても標準治療の継続は大原則
明らかな身体的リスク、生活に支障が出るほどの経済的負担にも注意
患者さんが自分なりに探してたどり着いた“治療”を頭ごなしに否定されると、医療そのものに幻滅されてしまうかもしれません。どこまでなら許容できるのか、患者さんの価値観も踏まえて考えます。
患者が自分で何かを始める、何かを探すという時は、その背景に何らかの「困った」が発生している可能性があります。場合によっては、薬の効果が不十分だったり、薬の副作用でQOLが低下したりしていることもあるため、薬剤師としてはまずその可能性を確認したいところです。
瞑想やリラクゼーションなどの補完代替医療は、うまく活用することでがん患者の痛みを少し和らげることができる(オピオイドの使用量にも影響)という報告があります1)。そのため、患者の生活や価値観に合致したものであれば、良い選択肢となる可能性があります。