花粉症の薬、効果を実感できない患者さんに対してまず確認したいこと
患者さんの質問に対して、回答に困ったことはありませんか? このシリーズでは臨床論文から得た知識を活用し、より説得力のある服薬指導をめざします。
実際の服薬指導のシーンを想定した会話形式で紹介します。
今回の論文
Am J Rhinol Allergy. 2017 Jan 9;31(1):19-28. PMID: 28234147
内容:季節性アレルギー性鼻炎に対する、ステロイド点鼻薬と経口抗ヒスタミン薬の効果を比較したメタ解析。目の症状に対する効果は変わらないが、総鼻症状スコア・鼻水・鼻の痒み・くしゃみ・鼻づまりといった評価項目では、ステロイド点鼻薬の方が効果的であると示された。
花粉症の鼻症状には、内服の抗ヒスタミン薬よりもステロイド点鼻薬の効果が高い
点鼻薬を「症状がひどくなってから、いざという時になってから使うもの」と誤解している人も多い
吸入薬と同様、点鼻薬でも薬剤師が適正使用に関わることで、その有用性を十分に引き出せる
花粉症の薬の効果を実感できていない人のなかには、ステロイドの点鼻薬をきちんと使えていない、あるいはそもそも使っていないケースも少なくありません。薬の正しい使い方や目的を説明し、QOL改善に貢献しましょう。
内服の抗ヒスタミン薬には数多くの薬剤があります。細かな比較で多少の差は報告されていますが、花粉症に対しては明確な使い分けが必要なほどの効果の差はなさそうです1)。そのため、効果を実感できない場合には類似薬と切り替えてみるのも1つの選択肢になります。ただし、眠気の出やすさ、服用回数、相互作用リスクはそれぞれ異なるため、注意が必要です。