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臨床論文で服薬指導をアップデート!

更新日: 2021年3月8日 児島 悠史

花粉症の薬、効果を実感できない患者さんに対してまず確認したいこと

臨床論文で服薬指導をアップデート!のメイン画像

患者さんの質問に対して、回答に困ったことはありませんか? このシリーズでは臨床論文から得た知識を活用し、より説得力のある服薬指導をめざします。
実際の服薬指導のシーンを想定した会話形式で紹介します。

今回の論文

Am J Rhinol Allergy. 2017 Jan 9;31(1):19-28. PMID: 28234147
内容:季節性アレルギー性鼻炎に対する、ステロイド点鼻薬と経口抗ヒスタミン薬の効果を比較したメタ解析。目の症状に対する効果は変わらないが、総鼻症状スコア・鼻水・鼻の痒み・くしゃみ・鼻づまりといった評価項目では、ステロイド点鼻薬の方が効果的であると示された。


ポイント

pointの画像1花粉症の鼻症状には、内服の抗ヒスタミン薬よりもステロイド点鼻薬の効果が高い
pointの画像2点鼻薬を「症状がひどくなってから、いざという時になってから使うもの」と誤解している人も多い
pointの画像3吸入薬と同様、点鼻薬でも薬剤師が適正使用に関わることで、その有用性を十分に引き出せる


花粉症の薬の効果を実感できていない人のなかには、ステロイドの点鼻薬をきちんと使えていない、あるいはそもそも使っていないケースも少なくありません。薬の正しい使い方や目的を説明し、QOL改善に貢献しましょう。

薬剤師の画像1
薬剤師

前回に引き続き、アレルギーの飲み薬『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』と、点鼻薬『ナゾネックス(モメタゾン フランカルボン酸エステル)』が出ています。使っていて何か気になることはなかったですか?

患者の画像2
患者

う~ん、なんかいまいち効いていないんだよね。

薬剤師の画像3
薬剤師

あら、そうなんですか。

患者の画像4
患者

この『ザイザル』よりも、もっとよく効く強い薬ってないのかな?

薬剤師の画像5
薬剤師

そうですね、飲み薬に関してはどれも効果は似たようなものですが、合う・合わないもあるので、別の薬に変えてみるのはアリかもしれません(※1)。

ちょっと解説1

内服の抗ヒスタミン薬には数多くの薬剤があります。細かな比較で多少の差は報告されていますが、花粉症に対しては明確な使い分けが必要なほどの効果の差はなさそうです1)。そのため、効果を実感できない場合には類似薬と切り替えてみるのも1つの選択肢になります。ただし、眠気の出やすさ、服用回数、相互作用リスクはそれぞれ異なるため、注意が必要です。

薬剤師の画像6
薬剤師

その前に、ちょっと1点確認させていただきたいのですが、こちらの点鼻薬は使われました?

患者の画像7
患者

ああ、この点鼻薬は使ってなかったな。そんなに症状がひどいわけじゃないから、まだ使わなくて良いかなと思って。

薬剤師の画像8
薬剤師

あ、そうだったんですね。実はこの点鼻薬、症状がひどくなってきてからではなくて、症状が少しでも出始めた日、花粉が飛び始めた日から使える薬なんです。

患者の画像9
患者

えっ、そうなの?

薬剤師の画像10
薬剤師

はい、症状が軽いうちから続けて使っておくことで、花粉症の症状が現れないようにする、ということもできます。既に症状があるようでしたら、今日から使い始めてみてください(※2)。

または

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児島 悠史の画像

児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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