臨床論文で服薬指導をアップデート!

更新日: 2021年8月16日 児島 悠史

美味しくて飲みやすい抗菌薬に変えて欲しい、という患者希望にどう対応するか

臨床論文で服薬指導をアップデート!のメイン画像

今回の論文

J Infect Chemother . 2020 Jan;26(1):86-91.PMID: 31401031
内容:βラクタム系抗菌薬を処方された1ヶ月~5歳の小児を対象にした日本のコホート研究。ピボキシル基を有する抗菌薬を処方された小児では低血糖を起こすリスクが高かった(OR=1.18 [95%CI:1.12-1.24])という結果が示されている。このリスク上昇は、7日未満の短期処方でも観察されている。


ポイント

pointの画像1薬の味は、小児の服薬アドヒアランスに影響を与える重要な要素
pointの画像2ピボキシル基を持つ抗菌薬には、低カルニチン血症・低血糖のリスクがある
pointの画像3「飲みやすい薬に変えてあげたい」という感情だけで対応すると、患者に不利益を与える可能性がある


小児用の抗菌薬には、製剤工夫によってとても美味しいものがあります。しかし、抗菌薬は美味しさや飲みやすさだけで選ぶことはできないことを、きちんと理解してもらう必要があります。

患者の画像1
患者

この子、今日また中耳炎だと言われたんですけど、抗菌薬って出てます?

薬剤師の画像2
薬剤師

そうですね、去年も使われたことのある『クラバモックス(一般名:アモキシシリン+クラブラン酸)』という抗菌薬が処方されています。

患者の画像3
患者

あっ、その薬、うちの子は苦手みたいで、すぐに吐き出してしまって…前回も飲ませるのに物凄く苦労したんです。

薬剤師の画像4
薬剤師

おお、そうだったんですね…。

患者の画像5
患者

先日小児科でもらった薬、この『セフゾン(一般名:セフジトレン ピボキシル)』という薬は同じ抗菌薬なのに随分飲みやすかったみたいなので、こっちに変えてもらうことってできないですか?(※1)

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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